釧路市出身の柔道家、平沼大和さん(28)は、2023年から3年間、ミャンマー代表チームの監督を経験した。国情が不安定で、練習環境が整わぬ中で、選手たちを育成し、東南アジア大会の団体戦で同国初のメダル獲得に成功。

現在はJOC(日本オリンピック委員会)の情報・科学スタッフとして活躍する平沼さんに、その経験から得た指導・普及活動のやりがいを聞いた。(甲斐 毅彦)

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  始まりは、柔道界のレジェンド、井上康生氏(48)=現・JOC常務理事=からの突然の連絡だった。「ミャンマーが代表監督を探しています。どうですか?」

 思いも寄らぬ提案だったが、平沼さんは柔道一筋だった経験を海外で生かすチャンスと考え、二つ返事で「行きます」と答えた。

 軍事政権が計画的に建設した首都ネピドーは想像以上に殺風景だった。ナショナルチームの指導を始める前からあ然とすることの連続だったという。「柔道場は雨漏りはするわ、練習中に牛が入ってくるわ…。朝行ったら畳の上で、のら犬が走り回っていることもありました」。まずは練習環境を整えることから始まった。

 ミャンマースポーツ省から求められた使命は「国際試合で結果を出すこと」。まだ経験が浅い男女約20人の選手たちに、基礎から教えたのはもちろん、ミャンマー語を独学して、コミュニケーションを図った。努力が実り、昨年12月の東南アジア大会での団体戦で3位入賞。

ミャンマー柔道史上初のメダル獲得に成功した。「選手たちは名誉と報奨金に加えて、徴兵からも免れることができた。選手たちは喜んでいたし、僕もやりがいを感じました」。

 帰国した現在は井上氏の秘書を務める傍ら、JOC一員として、柔道に限らず五輪種目の競技力向上のための情報分析に励む。「海外での指導を経験し、目線が変わりました。普及や強化に自分なりの意見が持てるようになりたい」と意気込んでいる。

  ◇平沼 大和(ひらぬま・やまと)1997年10月28日、釧路市出身、28歳。東京に移住後の小4から柔道を始める。大泉学園中3年で全中予選都大会で2位。群馬・常磐高で国体出場。中大に進学し、3年時には全日本学生体重別選手権団体戦で、後に五輪連覇を達成する阿部一二三(当時日体大)と66キロ級で対戦し引き分けた。卒業後は一般社団法人スポーツひのまるキッズ協会へ。

22年にはカナダ代表アシスタントコーチを務めた。165センチ、75キロ。家族は両親と妹、弟。

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