◇プロボクシング▽WBC世界スーパーフライ級(52・1キロ以下)王座決定戦12回戦 〇同級2位リカルド・マラジカ(判 定2-1)同級1位・坪井智也●(27日、トヨタアリーナ東京)

 日本人初のアマチュア世界選手権金メダリストで、WBC世界同級1位・坪井智也(30)=帝拳=の王座獲得はならなかった。日本最速タイ記録となるプロ5戦目での世界取り目指し、WBC世界スーパーフライ級王座決定戦に出場。

同級2位リカルド・マラジカ(28)=南アフリカ=に苦戦を強いられ判定負けした。8回の採点公開時は2人が坪井リード、1人が同ポイントだったが、終盤に逆転された形となった。右眉付近に裂傷を負い、試合後は病院に行くため会見をキャンセルした。戦績は坪井が3勝(2KO)1敗1無効試合、マラジカは18勝(12KO)2敗。

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 坪井は「相手に何もさせず完封する」と宣言して挑んだ舞台。小刻みなステップに高速連打。これまで相手を圧倒してきたテクニックが、世界戦の舞台では簡単には通用しない。逆にリーチにまさるマラジカのアウトボクシングを最後まで捉えることができなかった。

 ボクシング関係者は坪井のことを「本物」という。世界選手権の金メダリストということもあるが、それ以上に真似することのできない独自のスタイルを築き上げているからだ。アマで数々のタイトルを獲得し、エリート街道一直線と思われがちだが、「何度も挫折してます。その都度、考えて、考えてここまでたどり着いた」という。

高校時代は手数の少ないトリッキーなアウトボクサー。大学ではこのスタイルでは通用せず、真逆のファイター型にチェンジした。4年連続で全日本選手権で優勝すると「これでいいんだ」と自信たっぷりに世界大会に挑んだが、まったく歯が立たなかった。高校時代の「テクニック」に大学時代の「パワー」をミックスしよう。その上で「誰もやっていないスタイルに作り上げる」と決めた。「まさか2年で結果が出るとは思わなかった」とセルビア・ベオグラードの世界選手権で金という最高の答えを出した。

 「子供の頃は運動神経が悪くて、球技は苦手だった。ただ、反復する力と人を真似する能力はあった」という。ワシル・ロマチェンコ(ウクライナ)、マニー・パッキャオ(フィリピン)、ゲンナジー・ゴロフキン(カザフスタン)ら世界のトップボクサーから「それぞれのパーツをいいこと取りして自分のものにした。いいものには色々なヒントがある」と旺盛な探究心と高い思考力があったからこそ、どん底に落ちてもはい上がることができた。

 デビューから1年半、プロ5戦目で味わった初黒星。より強く、よりたくましくなって戻ってくのか。

アマ世界一に真価が問われる時が訪れた。(近藤 英一)

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