4月の鶏肉需給は、牛肉や豚肉からの需要シフトもあり、鶏肉の荷動きは月間を通して堅調だった。

消費者の生活防衛意識の高まりでより安価なものを求める流れから、引続きササミや手羽先など副産物の引合いも強まった。
一方、モモは不需要期入りで相場は徐々に下げ基調となり、相変わらず荷動きの弱さを指摘する声もみられた。相場展開をみると、モモは週を追うごとにジリ下げで推移し、最終週の週間平均相場は日経加重平均で630円台前半まで下落した。ムネはわずかに下げたものの、月間通して概ね350円台と横ばいで推移した。

この結果、4月の月間平均は日経加重平均でモモが639円(前月660円)、ムネが356円(364円)となり、正肉合計で995円(1,024円)と2022年7月以来、1年9カ月ぶりに1千円を割った。前年同月比ではモモ151円安、ムネ54円安と、前年が4月に入ってもモモが800円近い水準を維持していたこともあり、前年価格を大きく下回っている。

〈供給見通し〉

日本食鳥協会がまとめたブロイラー生産・処理動向調査によると、5月の生体処理羽数は前年同月比1.7%増と予測する半面、処理重量は0.4%減とわずかに減少するとしている。
また、6月は羽数0.8%減、重量2.4%減と減少する見通しだ。5月を地区別にみると、北海道・東北地区は羽数1.7%増、重量0.1%減、南九州地区が羽数1.4%増、重量0.5%減といずれも重量は微減すると予測している。ただ、羽数の増加がこれを相殺することで、基本的には順調な生産が続くものとみられる。また、5月中旬から月末にかけて大手の食鳥処理工場移転に伴う稼働停止が予定されているものの、他工場への振り替えを行うなどで、その影響は軽微なものにとどまるとみられる。

一方、農畜産業振興機構の需給予測によると、5月の鶏肉輸入量は前年同月比10.0%減の4万6,500tと予測。ことしに入ってからはブラジルの輸入回復に伴って単月で5万tを超える輸入量が続いていたが、これがある程度一服し、5月は4万t台半ばの水準に落ち着くものとみられる。
ブラジルをはじめ、主要供給国の生産も概ね順調に推移していることから、今後も安定した調達が見込まれる。

〈需給見通し〉

ゴールデンウイーク(GW)期間中は堅調な売れ行きだったようで、連休明けもそれなりに発注が入っているもよう。ムネはここから夏場の需要期に向けて順調な荷動きが続くとみられるが、モモの動きはマチマチ。ただ、相場がさらに下落することで、量販店での特売用の需要が増えることに期待する声も。一方で、副産物関係はササミ、手羽先を中心に依然引合いは強く、本来であれば不需要期となる手羽元も「この時期にしては動いている」(関東の荷受け筋)ようだ。副産物関係は供給量が限られているだけに、この先も比較的タイトな状況が続くものとみられる。
凍結品はというと、モモは前述の通り、このまま相場が下がり特売用などフレッシュでの需要が高まれば、年末の需要期に向けた凍結玉の確保が進まないことも危ぐされる。

〈価格見通し〉

連休明け7日の相場は日経加重平均でモモ646円、ムネ358円といずれも2日の前市から上げに転じた。モモはここから夏場の底値に向かって下げ展開となることが予想される。そうはいっても急激な下げは考えにくく、引続きジリジリと下げていくものとみられる。一方、ムネは昨年来、底堅い需要を背景に安定した相場展開となるなか、5月も基本的に横ばいでの推移が見込まれる。ただ、需要動向によっては、ここから反転する可能性もある。
これらを勘案すると、5月の月間平均は日経加重平均でモモが630円前後(農水省市況650円前後)、ムネが350円前後(370円前後)と予想する。

〈畜産日報2024年5月10日付〉