国土交通省が、住宅に対して一定のリフォームを行ったときに利用できる“支援制度”の内容や適用要件、目安の減税額などがわかる特設サイトを公開した。適用条件の判定や減税額のシミュレーションもできるというので、詳しく見ていこう。

【今週の住活トピック】
リフォーム支援制度まとめた特設サイトをオープン/国土交通省

住宅をリフォームしたときに使える減税制度や補助制度を紹介するサイト

リフォームをしたときに利用できる支援制度には、大きく分けて「減税」と「補助金」がある。また、リフォームの工事内容が、省エネか、バリアフリーか、耐震改修かなど、どういったリフォームをするかによって、利用できる制度が異なる。かつ、併用できるものと、できないものがあるなど、リフォームに関するある程度の知識がないと、すべてを上手に活用することが難しいのが実態だ。

こうした制度をわかりやすく紹介することで、消費者や事業者が有効に活用できるようにと公開されたのが、今回の特設サイトだ。

複雑な減税制度に関する説明が手厚い

特設サイト「減税と補助金でもっとお得に!~リフォーム支援制度まるわかりガイド~」を見ていこう。

このサイトではまず、減税制度について解説している。減税制度には、住宅ローンを利用して大がかりなリフォームをした場合の「住宅ローン減税」と、性能を向上させるリフォームをした場合の「リフォーム促進税制」がある。どちらも基本的に所得税が減税されるが、リフォーム促進税制の一部は固定資産税も減税対象になる。

「住宅ローン減税」は、いわゆる住宅を買ったときなどに利用するものと同じもの。100万円を超えるリフォーム工事を行い、返済期間10年間以上のローンを利用したときなどに適用される。年末のローン残高(上限2000万円)の0.7%が10年間にわたり控除される。

一方、「リフォーム促進税制」は、政府が促進する性能向上工事、具体的には、耐震、バリアフリー、省エネ、同居対応、長期優良住宅化、子育て対応の6つのリフォーム工事が対象だ。工事を行った年の所得税から、性能向上工事費用相当額(実際にかかった費用ではなく標準的な工事費用を試算)の10%が控除される。ただし、工事の種類によって、適用条件が定められているほか、上限額や対象としてよい工事の範囲などが異なる。

また、固定資産税も減額できるのは、耐震、バリアフリー、省エネ、長期優良住宅化のみで、軽減割合もそれぞれ異なる。

こうした複雑なルールがあるため、特設サイトでは「シミュレーション1」として、どの減税制度が適用される可能性があるか、質問に答えて判定するものを用意している。これはどちらかと言うと、適用される制度がどれかではなく、数多くの減税制度のうち適用対象外になる制度を削っていく形になるので、可能性があるとされた減税制度が実際には適用されない可能性もある。

また、「シミュレーション2」は、可能性のある減税制度の減税額の目安を算出するものだが、実際に入力する際には、工事内容に関する正しい情報が必要となるので、一般ユーザーには判断がつかない項目も多いように思う。リフォーム事業者のサポートがないと、シミュレーションするのが難しいかもしれない。

シミュレーションで減税額もわかる?リフォーム支援制度の特設サイトを国土交通省がオープン

出典:国土交通省特設サイト「減税と補助金でもっとお得に!~リフォーム支援制度まるわかりガイド~」より転載

適用可能性のある減税制度には、それぞれに説明資料がダウンロードできるようになっているが、説明がやや専門的なので、リフォーム事業者に資料を見せながら相談するといった使い方をしたほうが、間違いがないだろう。

消費者向けサイトではリフォームの補助制度や減税の併用について説明

さらに、消費者向けのサイト「リフォームをお考えの消費者の方」もある。

こちらは主に、補助制度と減税制度の概要を紹介している。

まず、補助制度には、「国の補助金」と「地方自治体の補助金」がある。国の補助金は条件が一律だが、地方自治体の補助金は自治体ごとで異なるので、住宅のある自治体の情報を個別に確認することになる。

国の補助金については、3省(国土交通省・経済産業省・環境省)が連携して行っている 「住宅省エネ2025キャンペーン」(高性能の断熱窓の設置、高効率給湯器の設置、既存の住宅の省エネ改修などが対象)がある。使い勝手もよいので、省エネに資するリフォーム工事を行う場合は、要チェックだ。

シミュレーションで減税額もわかる?リフォーム支援制度の特設サイトを国土交通省がオープン

出典:国土交通省特設サイト「リフォームをお考えの消費者の方」より転載

国の補助金にはほかに、「長期優良住宅化リフォーム推進事業」もある。こちらは補助金の額は大きいが、適用条件が極めて細かく、事業者が申請して補助金の交付が決定してからリフォーム工事に着手するなど、むしろ事業者が先導して工事を行うときに活用されるものなので、使い勝手が良いものではない。

どちらの補助金についてもサイトに説明があり、さらに詳しい情報が掲載されたサイトへのリンクもあるので、目を通しておくとよいだろう。

また、減税制度の簡単な説明や併用可・不可の一覧も載っているので、併せて見ておきたい。

シミュレーションで減税額もわかる?リフォーム支援制度の特設サイトを国土交通省がオープン

出典:国土交通省特設サイト「リフォームをお考えの消費者の方」より転載

シミュレーションについては、「減税と補助金でもっとお得に!~リフォーム支援制度まるわかりガイド~」のサイトと同じ画面に飛ぶので、内容は同じだ。

最後に、適用までのステップの説明があるが、あくまで減税制度の適用を受ける手順だ。減税制度はリフォーム工事が終了してから手続きをしても間に合うが、自身が手続きをすることになる。一方、補助金には予算枠があるので、着工後に補助金の予約申請をして、工事終了後に正式な申請をして交付決定を待つなど、あらかじめ補助制度を利用する前提で工事を行う必要があるが、リフォーム事業者が代わって申請などをする流れになっている。

手順を間違うと、適用されるはずの減税や補助金が対象外になることもありうる。自身でも全体の流れは把握しておくのがよいだろう。

リフォームに関する減税や補助制度などは、リフォーム工事や住宅などにそれぞれ細かい要件があり、制度内容が毎年変わることもある。事前にしっかり調べたり、リフォーム工事の事業者に相談したりすることが重要だ。

また、所得税の減税では納めた所得税額が限度になるので、計算上の額が全額控除されるとも限らない。正しい情報を把握することが大切なので、こうしたサイトを上手に利用するとよいだろう。

●関連サイト
国土交通省「リフォーム支援制度まとめた特設サイトをオープン」
特設サイト「減税と補助金でもっとお得に!~リフォーム支援制度まるわかりガイド~」
消費者向けのサイト「リフォームをお考えの消費者の方」

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