日本賃貸住宅管理協会が、暑さが厳しくなって賃貸住宅での「入居中トラブル」が増える季節に合わせ、賃貸住宅の入居者を対象にした、夏場に起こりやすい「入居中トラブル」やその対処方法に関する実態調査を発表した。どんなトラブルが起こりやすいのかを理解したうえで、どういった対応をすればよいか考えていこう。
【今週の住活トピック】
「入居中トラブル」実態調査を発表/日本賃貸住宅管理協会
夏に発生した入居中トラブル、1位は「害虫・害獣の発生」2位は「不快なにおいの発生」
日本賃貸住宅管理協会(以下、日管協)によると、夏(6~9月)に発生した入居中トラブルで最も多いのは「害虫・害獣の発生」で、これは年間ランキングでも最多だという。夏のランキングで年間ランキングより3つランクアップしたのは、2位の「不快なにおいの発生」。年間より4つランクアップしたのは、4位の「エアコンの故障・不調」だった。

出典:日本賃貸住宅管理協会のプレスリリースより転載
日管協では、「高温多湿となる夏はゴミや排水口からの臭気が発生しやすく、不快なにおいを感じやすくなり」、「エアコンの稼働時間が増えることでフィルターの目詰まりや機器の負荷が高まり、故障・不調の発生件数が増加すると考えられる」と分析している。
発生したトラブルは、「管理会社・管理人・大家に対応してもらった」が最多
では、入居中に発生したトラブルはどう対応したのだろう? 調査結果によると、「管理会社・管理人・大家に対応してもらった」が42.5%で最多だった。次いで、「特に何もしていない」(36.3%)、「自分・同居の家族で対処した(修理・清掃・グッズ購入など)」(26.4%)となった。

出典:日本賃貸住宅管理協会のプレスリリースより転載
また、「入居中トラブル対応への満足度」(「非常に満足」+「やや満足」の合計)を調査したところ、「管理会社・管理人・大家に相談・対応してもらった」では満足度が71.1%であるのに対し、「自分・同居の家族で対処した」は58.7%で満足度が低くなった。
入居中のトラブルはどう対応するのがよい?
では、実際にトラブルが発生したときに、どう対応するのがよいのだろうか?
大まかにいうと、トラブルの原因が何かによるだろう。「害虫が出た」「不快なにおいがする」という場合、まずは、自身のごみの処理や清掃方法に問題がないか確認したい。生ごみは水分を切って、ごみ袋に入れて口をしばる。排水口などを定期的に清掃する。といったことをせずにごみを放置していると、においや虫が発生するもとになるからだ。
一方、害虫の発生源が共用部のごみ置き場などの場合、上下階を流れる配水管から悪臭がしている場合などは、管理会社や大家などに相談するのがよいだろう。
「エアコンの故障」については、エアコンを自分が設置したのか、当初から設置されていたものかで、対応が分かれる。大家側が設置した設備については、賃貸借契約書などで確認できる。設備が故障した場合の連絡先なども書かれているので見ておきたい。
また、猛暑でエアコンが効かないと困るからと、大家側が設置したエアコンの修理を無断で依頼するのはNGだ。管理会社や大家に連絡して、対応方法を相談する必要がある。
建物の構造が原因のトラブルは自分の責任ではないと放置して、被害が広がったような場合に、入居者の責任を問われることもある。例えば、換気をしていてもカビが発生したような場合、カビが発生していることを管理会社などに連絡しよう。早く除去しないと、自身の健康被害や建物の劣化などのリスクがあるからだ。
また、騒音トラブルは、管理会社などに相談するのがよいだろう。近隣住人が騒音を出している場合に直接文句を言いに行くと、近隣トラブルに発展する危険性もあるのだ。
日管協では、暮らしに役立つ豆知識や困りごとの対処法などの情報を提供する、情報メディア「くらしとかんり」を開設した。
さて、賃貸住宅は、わが家ではあっても、あくまで大家の持ち物を借りているもの。そのことを踏まえて、適切に使用するよう心掛け、トラブルが発生したら、必要があれば賃貸借契約書の内容なども確認して適切に対応しよう。トラブルが次のトラブルを生む、というようなことがないようにしたい。
●関連リンク
「入居中トラブル」実態調査を発表/日本賃貸住宅管理協会
情報メディア「くらしとかんり」/日本賃貸住宅管理協会