毎週月曜日は東京新聞との紙面連動企画。

今日は、国際面に掲載されていた「韓国 コメなぜ安い?」という記事に注目しました。

先週のメールでもありましたが、コメの価格は、日本でもまだ落ち着いたとは言えない。正直、まだ高いなという状況。そこで今日は韓国のコメ事情について聞いてみようと思います。

日本と韓国、コメを巡る状況はとても似ています!

まずは、韓国のお米の基本情報から。韓国経済に詳しい、亜細亜大学アジア研究所所長、奥田聡教授に教えていただきました。

亜細亜大学アジア研究所所長 奥田聡教授

「売ってるコメ自体は最近すごく美味しくなりました。かつてはちょっと落ちるかなということもあったんですけども、主に日本のコメの系統を入れて、品種改良が韓国の中で進みまして、とってもおいしくなりました。白米をそのまま食べるという食習慣は似てますし、やはり日本と同じで、量で言うと、ここ50年くらい見ると、だんだんだんだん落ちて来ています。傾向はおんなじです。

価格という面ではですね、日本の場合は不作の上にインバウンドが増えたということで急に上がってしまったと。で韓国もコメの出来が24年にあまり良くなかったのに国がたくさん買い入れてしまったんですね。それで品薄になってしまった、それが25年になって表れて、今もそれが尾を引いているということですね。そうですね、3割くらいは上がったということでしょうか。

高くなったという声はネット上でもよく聞かれます。」

色々と日本と似ています。生産品種も、白米をそのまま食べる食習慣も似ていますし、若者を中心に食生活の洋風化が進みコメの消費量が減っていることも同じ。また、コメ生産者の高齢化で作り手が減少傾向であることも共通している点も。

そんな中、韓国でも去年コメの価格が高騰しました。韓国では20キロで売るられていることが多いそうで、以前は20キロ4000~5000円だったものが、6000円を超えてしまいました。

価格が高騰した昨年10月、韓国政府は保有米を放出し、消費者には消費クーポン、割引券を政府の負担で配布しました。その結果、完全には抑えきれてはいないが、まあまあ、といった値段まで下がりました。

生産者を守り、コメ作りを守る!

元の安い値段まで下げないのはなぜなのか?韓国のコメ生産に対する考え方を、再び奥田先生に伺いました。

亜細亜大学アジア研究所所長 奥田聡教授

「あまり安くしてしまうと、今度農家の所得という面もありますし、農家としては、コメはすごく安いというところもありますので、農家所得への影響を考えると、あんまり安くしたくないというのが本音。だから難しい立場だと思います。 韓国は農家に対して『直接支払い』といって補助金を出してるわけですね。それで農家の所得を嵩上げすることをやってると。

韓国は未だに北朝鮮との対立がある臨戦国家ということがあるから、コメは作り続けてほしいという立場。

ところが、米価を安くし過ぎたということがある、それから人々が食べなくなったということがあって、農家がだんだんと作らなくなっちゃったところを、なんとか作って下さいと言って支援してる、そういう構図かと思いますね。

コメが主食だということがあるし、災害あるいは戦争ということになった場合に米をどんだけ国の中に持ってるかということはすごく大事。食糧安全保障っていう考え方ですけれども、この考え方が日本に比べると非常に強いということは言えると思いますね。」

政府が、コメの生産量を守ろうとしているんです。そのために安くし過ぎない値段で、落ち着かせようとしているわけです。しかし、日本では現在5キロで4000円くらい。とすると、韓国の20キロに合わせると1万6000円!日本と比べるとずいぶん安いですよね。

これは、『直接支払い』と先生おっしゃっていた補助金の支援。奥田先生の試算では、生産金額のおよそ3割程度の金額が投入されています。こうした補助金で、しっかり生産者を支援して、コメを作り続けてもらおうとしているんです。一方の消費者には保有米の放出や、消費クーポンといった対策をして、農家と消費者を分けて対応しているんです。

コメを巡る政策の枠組みを変えるのは、今!

一方、日本では減反政策を長く続けていたため、そのブレーキが効きすぎてしまった。その減反政策は公式的には止めたと言いますが、転作奨励といって、コメをやめたらお金がもらえるんです。

これは、事実上の減反政策ですよね・・・。

こうした状況に、奥田先生は、たしかに減反を始めた時はお米が余って仕方なかったのかもしれない。でもあれから何年経ちました?今のままでは心配とおっしゃいます。

亜細亜大学アジア研究所所長 奥田聡教授

「例えば10年後どうなるかなんて考えるだに恐ろしいことなんですよね。そうした場合に、今の農政の在り方っていうんですかね、減反を事実上維持してるというやり方をすると、さらに足りなくなってしまうということは考えられる。で、それを嵩上げするためには、コメを巡る政策の枠組みを変えないといけないだろうと。

これ、遅くすればするほどコメが日本国内で作られなくなるという構造になっていっちゃうから、ちょっとした不作やインバウンドの増加があると、昨年一昨年みたいなことに、またなりかねないという、そういう構造になってると思いますね。

足りなきゃ輸入すればいいじゃないかという考え方もあると思うけれども、そりゃ輸入が出来ればの話で、コメは国際商品としては物動量がすごく薄いんですね。コメなら何でもいいわけじゃないじゃないですか。極端な話、意地悪されて売らないなんてことがあったりすると飢餓に直面するということになりますよね。だからこそ、しっかりとした生産基盤というものが求められるということじゃないでしょうか?」

日本でほとんどお米が作られなくなるということも、そして、世界の情勢が不安定な中、売ってもらえない!輸入できない!となることも考えられる。(これは本当に怖い話です!)。

コメの生産は、支援して作ってもらう新しいフェーズに入っている。そうした時代には、韓国のやり方を部分的にモデルとするのも一つと思うと奥田先生。

最近、日本では、農家への直接支払いをやった方がいいのでは?という声が多くなってきており、機は熟してきてるかもということでしたので、変わるタイミングは今、なのかもしれません。

生産者の減少など様々な問題がある中、政府が本質的な解決策を示していないまま。このままでは、あまりにも不安定。しっかりした対策が望まれますね。


(TBSラジオ『森本毅郎スタンバイ』より抜粋)

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