こんにちは。文字起こし職人のみやーんです。
今回は『神田松之丞 問わず語りの松之丞』より「卒塔婆小町と吉岡里帆ラジオ」です。
8月19日、金沢で能楽の『卒塔婆小町』を題材にした講談とオペラを一緒にやる公演を控えた松之丞さん。公演を間近に控えて新作の講談を書き上げなければいけない松之丞さんがその進行状況について話していきます。
神田松之丞:『卒塔婆小町』という能の……それを三島由紀夫が近代能楽集にしたりして結構有名になったっていうものがあって。一部に私の新作、私が書いた『卒塔婆小町』。で、二部がオペラで『卒塔婆小町』。もうすごいメンバーです。篠井英介さんが出たり、あと指揮者だと田中裕子さんっていう物凄い方が出てるんですよ。で、いま現時点でですね、8月12日。このラジオ収録してるのが8月10日。8月19日に公演があるというのに、まだ僕、一行も書いてないです。
どうしたらいいかね? まあ「作ればいい」の一択んだよね(笑)。早く作ってくださいっていう。で、状況を見るとね、チケット完売してんじゃないのかな? 金沢の石川県立音楽堂 邦楽ホールというところでキャパ720ぐらいかな? だからなんか救われるのは720ぐらいだからさ、一人一人に謝ればいいんじゃない? 俺が。720ぐらいに握手して1人ずつ謝ればなんとかなるかなっていう。お金も5000円なの? 安い。5000円だったらオペラだけだって十分元取れるもんね。
これが12000円とか13000円とかの本当のオペラ価格だったらさ、なんか俺が出て本当にできてないっていうのは俺もプロ意識に欠けると思うんだよ。で、それをスタッフにさ冗談めかして「いま、実は『卒塔婆小町、新作を作って下さい』ってオファーがあって。『もちろん一月前に出来てますよ!』って先方に言ってるんですよ。
比較的ゆるい人の集まり、TBSラジオのスタッフですがビビるほどのヤバめな状況(笑)。「だいたい新作なんていうものは落語・講談の人は前日とかにできることが多いですから。下手したら当日とかもあるので」という松之丞さん。ちょこちょこ入る主催者からのそれとない確認メールにも「順調です」と言い張る松之丞さん。さすがです(笑)。
神田松之丞:それでもうとうとうさ、10日前ぐらいかな? 主催者の人から連絡があって。一部が講談で二部がオペラだから、二部のオペラの監督の方が「松之丞さんの新作っていうのはどんな感じなんでしょう?」みたいな風に聞いてきたのよ。具体的に。「松之丞さんの新作とオペラがちょっと被っちゃうと、なんかお互いにつぶしあいみたいになっちゃうから、どんなトーン、どんな空気なんでしょう?」みたいな感じで言われたから、「そうですね……まあ、能の『卒塔婆小町』の良さを活かしながら、三島由紀夫の近代能楽集の雰囲気も出し、そして僕のオリジナリティーをそこに加味してる感じですかね」っつって。
で、その指揮者の田中裕子さんという方。東京音楽大学の指揮科を卒業されていて。俺もよくわかってなかったんだけど。俺、クラシックには疎すぎて、どのぐらいの人かわからないんだけど、超その筋では有名な人なんでしょう? しかもその後、芸術大学の大学院の指揮科の修士課程を首席っていう、まあ超エリートだよね。でも俺、「超エリートでもどうせブスなんだろ?」って思ったの。ブスだったら俺もさ、別にブス相手にできなくても恥をかかないみたいなの、あるから。……お前はどんな精神状態で臨むんだよ?
って思ったら、これが美人ちゃんなのよ。僕より年上なんですけど、やたら腕組んでる写真が多くてさ。「田中裕子 画像 指揮者」とかで検索すると出てくると思うんですけど。
まさか田中さんもさ、いまをときめく神田松之丞がさ、一行も書けてないと思ってないよ。全然ときめかないわけよ。いや、びっくりこくだろうね。でも俺は全然余裕があるんですよね。何だろうね。
指揮者の田中裕子さんも驚きそうな松之丞さんの書いてなさっぷり(笑)。そんないまをときめく松之丞さん、美人つながりで吉岡里帆さんとラジオ番組で会った話へと移っていきます。
神田松之丞:でも俺、美人には結構慣れててね。だからね8月12日、この放送してる時にはもうそれ終わってるから、まあRadikoタイムフリーかなんかで聞いてほしいんだけど。とうとうあの女優の吉岡里帆ちゃんと会ってきましたよ、僕。J-WAVEのURの番組でね。俺はさ、もう吉岡里帆ちゃんと会えると思って。で、俺のいいところっていうのはミーハーじゃないんで。「吉岡里帆ってどん兵衛のCMで星野源かなんかと共演してて。ごんぎつねだっけ? やったら男に媚び売った演技してた女だろ?」っていうぐらいの感じしか知らないのよ。
だけど俺の中で基本的に、なんかそういうミーハー心が本当にないから。まああの「小娘」としか思っていなくて(笑)。別になんか昔の『ダウンタウンなう』の映像とか見てても、「面白くてサービス精神がある一生懸命な子なんだな」みたいな。一生懸命でサービス精神があるやつがたまたま顔がよく生まれてきて、たまたま胸が大きくて成功したんだなっていう……。でもその「たまたま」っていうのが才能だからさ。すげーな、なんて思って。
吉岡さんが多分『ダウンタウンなう』かなんかを見て気に入っていただいたみたいで、J-WAVEに呼んでいただいたんですよ。でもやっぱさ、J-WAVEに初めて行ったんだけどさ、歩いてるやつ歩いてるやつもみんな敵に見えるね。不思議だね、あれ。とにかく服がおしゃれなのよ。俺、なんかこういう現象って昔あったな……と思う時にさ、大学時代に昔、結構風俗に明け暮れた頃にさ、池袋に行ったら歩いている女が全員風俗嬢に見えた時があったのよ。完全に脳がいかれている感じなんだけど。それと同じようにJ-WAVEに入っていった瞬間に全員が敵に思えてきたの。
おしゃれすぎて全員が敵に見えてしまうようなアウェイの雰囲気のJ-WAVE。番組前の打ち合わせでも普段のTBSラジオとのギャップに戸惑ったようです。
神田松之丞:そんなのどうでもいいんですが、とにかくJ-WAVE、もう入るなり、なんか敵に見えてきて。結構前のラジオで言いましたけど『anan』の人たちってさ、もう人を見た目で判断するじゃん? だから俺がクソダサい格好で行った時に鼻で笑われた感じを思い出してさ。でもそれをグッと奥で出さないようにしてるみたいな空気を感じながらJ-WAVE。そしたら打ち合わせ段階でさ、J-WAVEってTBS ラジオと全然違って。具体的なことを言うとなんかディレクターの首が飛ぶって言ってたから言えないんだけど、「このタレントの名前は出さないで下さい」とかってあるのよ。
うちなんか何もないじゃん。「宮川賢とか吉田照美はもう老害で……」みたいなを話ずっとしてるでしょ? 「だいたいいい歳こいて金髪になっているやつはダメなんだ」みたいなことをうちの作家が言い出していてさ。「あいつもしかり、こいつもしかり」みたいな。俺は言っていないですけど、「春風亭小朝しかり。いい歳こいて金髪になるっていうのはもう正常じゃないんだ」みたいな話をずっとしてたじゃない? そこまではラジオでしてねえよ(笑)。
だから言いたい放題やってんだけど、やっぱりJ-WAVEはいろいろ他のタレント配慮するとか、事務所の関係とかね。その吉岡さんの番組が……とかじゃなくて、全体的にそういう空気があるんだって。それはお互いが円滑になるようにっていうさ。だから無法地帯じゃないんだなって。まあ、ほんのちょっとね、なんかフォローするんですけどね。
で、俺そのスタッフにさ、「吉岡里帆さんってどんな人なんですか?」って聞いたら、「真面目でとってもいい子ですよ」みたいなことを言うわけ。で、「そうなんだ」って。で、いよいよ「出番です」みたいなこと言われてさ、こっちも年上だしさ、別に吉岡里帆より俺の方がそもそも面白いし。吉岡里帆なんか座布団に座っても5分も持たないですよ。まあ、かわいいだけですから。そんなもんは。話芸で持たせる自信はあいつには全然なくて。
俺は2時間とか『中村仲蔵』とかできるし。『中村仲蔵』の後に『淀五郎』もつけちゃったりなんかしたら、もうそれも感動がすごい。照明を暗くしたりしてね。吉岡里帆なんかぜんぜん『中村仲蔵』の「な」の字も知らないですから。まあ、僕は『卒塔婆小町』の「そ」の字も知らないですけど(笑)。こんなラジオやっている間にもお前、新作書けよ!っていう。まあ、あるんですけど。とにかく俺は格が違うと思っているから。世間はね、吉岡さんの方がはるかに格上だって思いがちでしょうけど。僕は座布団の上で何ができるのかで勝負してますから。まあ、そんな風に思いながらさ。そうしないと吉岡里帆ちゃんのオーラに負けちゃうから。ガチャンなんて開けてJ-WAVEに入っていくの。
そしたらもうおしゃれスタッフが7、8人ジロッと俺の服装を見てさだ。「まあ、ダセえな」って空気を出すのよ。でもお前らと違って俺は座布団で『中村仲蔵』ができるし、『淀五郎』も中入りの後に……ってもういいよ、その話。
松之丞さんによる座布団の上の話芸マウンティング、炸裂! そんなこんなで吉岡里帆さんと対面した神田松之丞さん。実際のトークはどうなったのかというと……。
神田松之丞:どっかり座って、「よろしくお願いします」なんつってさ。60分ぐらい録ったかな? で、URの番組だからさ、スポンサーがちゃんとついているから、「マンションとかアパートとか、お住まいの家は?」みたいなさ、そういう不動産のあれなのかな? だからそういうのもちょっと話したりして。でも、、それもなんか盛り上がっちゃってさ。俺、たぶんいろんな人と対談してきましたけど。まあRadikoタイムフリーで聞いてほしいんですけどね。そのJ-WAVEの吉岡さんの番組ね、いちばん楽しかったですね。
だからなんだろう? いろんな人と対談してきましたけど。で、吉岡さんもなんか本音で喋ってくれるみたいなさ。瞬くうちにね、なんか吉岡さんが上手いのか、手のひらに乗せられるようになっていて。最終的に吉岡さんが60分の収録の22分ぐらいの段階で「もう帰ってください!」って俺に言っていたの。ある? そんなこと。あのごんぎつねが。あのごんぎつねでとにかく男に媚びてるだけの女が「もう帰ってください!」って言うから「ああ、すげえな」と思って。そんな感じでさ、とにかくハネて。すごいやりやすくて。だから本当にいいパーソナリティーなんだなってちょっと思っちゃったね。だから引き出しが本当にすごいっていうか、なんだろうね。なんか吉岡里帆さんのその空気感の中で僕も戯れてたら、あっという間に60分終わって。
普通になんか友達みたいに喋れるっていうのが、あの人のだから懐のデカいところなんだろうね。だから普通に写真撮って、それで終わって。すごいいい気持ち、みたいな感じがあったな。だからそういうことを考えると、俺はその吉岡里帆ラジオさ、ちゃんとタイムフリーで聞かなきゃいけないじゃん。あと、徳光和夫の民謡のラジオもたしか8月12日にあったと思うんだよ。だからそうやって吉岡里帆のラジオなんか、俺は自分のラジオ好きだからさ、5回ぐらい聞くじゃん。で、徳光和夫の物も3回聞くとなると、『卒塔婆小町』を書いてる時間がないんだよね。とにかく。とにかくない。だからまあ、どうしようかなと思ってね。とりあえずいま、鏡の前で謝り方の練習だけ、背筋を整えて袴をはいて……っていうのを考えてますけどね。そろそろじゃあ、CMです。
ということで吉岡里帆さんとのトークがハネまくった様子。松之丞さんさんにこれだけ言わせる吉岡里帆さん、すごいなー。「吉岡里帆さんのラジオ、5回ぐらい聞き直す」ということであれば、たしかにこれは『卒塔婆小町』を書いている暇、ないですねえ(笑)。そんな追い詰められた状況の松之丞さん、この後のトークでは爆笑問題・太田光さんの週刊新潮の報道などについて話しながら現実逃避していきます(笑)。
◆8月12日放送分より 番組名:「神田松之丞 問わず語りの松之丞」
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