1月下旬に過去最多の患者数を記録したインフルエンザですが、ピークを越えた今も、東京や神奈川では「警報レベル」となっています。そんな中、医療系ベンチャーと協力企業の社員や家族が参加して、職場でのインフルエンザの感染拡大を防ぐための実証実験が行われています。
まずはどんな実験なのか?詳しいお話を、オンライン診療サービスを手掛ける株式会社MICIN(マイシン)・取締役の草間亮一さんに伺いました。
★もしかしてインフル?自宅で医師に相談◆株式会社MICIN・取締役 草間亮一さん:「基本的には、インフルエンザの「検査キット」を家に置いてもらう。朝起きたときや夜に帰って来たとき、インフルかなと思ったらアプリを立ち上げてもらい、取り組みに協力する医師とオンライン上で繋がる。イメージはLINEのテレビ電話。先生と話しながら検査キットを使って結果を見せて、もしインフルの疑いが強い時は、すぐに病院に行ってくださいとアドバイスをもらえる取り組みになっています。」▼取り組みの流れ(プレスリリース「MICIN、規制のサンドボックス制度の認定を取得」より)
▼検査キットの中身

▼鼻水を専用の検査薬に溶かして、小さな“窓”に垂らします(画面右)。「A」「B」どちらかの真下にラインが表れれば、インフルエンザA型・B型の疑いアリ(「C」はコントロールの意。検査薬がうまく染み込んでいるかどうかを確認するためのもの)

今回の実験は、国の実証実験制度「規制のサンドボックス制度」を利用したものです。基本的にインフルエンザ患者の診断は対面診療が原則なので、画面越しにお医者さんが出来るのはアドバイスまで。利用者は事前に検査キットの説明会に参加する必要がありますが、「インフルエンザかもしれない…」と思ったらアプリ上で問診を受け、画面越しの医者の指示に従って検査を行います。その結果医師が病状を判断し、「出勤を控えるべき」「医療機関にかかるべき」などの助言が得られる、という流れです。
★感染拡大を防げ!社内で蔓延するインフルエンザ実際に、この実験に参加している企業にも話を聞きました。
「少しくらいの熱なら…」と無理して出社し、あとで検査してみたらインフルエンザ。結果的に社内に蔓延させる原因となってしまった、というのはよくある話。この実験では出社前に罹患の可能性がわかるので、トッパンホールディングスの梅木さんも感染防止に期待を寄せていました。
★端からジワリジワリさらに、街でサラリーマンの方々に今シーズンのインフルエンザについて伺うと、こんな話が出てきました。
●「会社にも沢山いる。本社でも7~8人出た。他の所もたくさん出て結構多いですね。」●「事務所に600人いますが、2週間前までは20人ほどかかった。端から順々に行った感じ。発症源が一番端の人で、周りの一角が休んだ。」●「流行ってます。偶然にも後半2人は、社内の端の方から感染が始まっていると話していました…。もちろんマスクの着用や手洗い、うがい、アルコール消毒など、会社として対策を取っているところも多いようですが、予防接種を打ったのにインフルエンザにかかったという人もいました。
★実用化に向けて会社としては職場の感染拡大を防げる一方、社員はインフルエンザの疑いがあれば無理せず病院に直行できる。両者にとってなんともメリットの大きそうな実証実験ですが、3月中旬の期日を迎えたのち、順次検証を行っていくそうです。最後にMICINの草間さんは、今後についてこんな思いを聞かせてくれました。
◆株式会社MICIN・取締役 草間亮一さん:「今年は初めの第一歩で、検査キットを家でも安全に使えるのかを検証する年。まずは安全性が確認できたら、次のステップとしては、診療として安全性を確認できるかということ。現場の先生が見てもこの取り組みが安心安全と示され、結果として世の中が変われば、子育て中の人や忙しく仕事をする人の役に立てると思います。」インフルエンザは重症化すると、インフルエンザ脳症や肺炎など、重い合併症を引き起こす可能性もあります。少しでも役立つよう、引き続き実験を続けていきたいと話していました。
◆2月18日放送分より 番組名:「森本毅郎 スタンバイ!」内「現場にアタック」
◆http://radiko.jp/share/?sid=TBS&t=20190218063000