TBSラジオ「ACTION」(月-金15:30~17:30)。

金曜日のパーソナリティは、ライターの武田砂鉄さん。

コラムコーナーのテーマは、
なぜ政治家は失言を繰り返すのか?を考える

武田:塚田国土交通副大臣。本州と九州を新たに結ぶ道路事業の調査に関して「安倍総理と麻生副総理の意向を忖度した」と自分で発言して、撤回して、その後辞任を表明したということなんです。1日の福岡県知事選の決起集会で、塚田さんが「自分の忖度で国直轄の調査に引き上げたんだ。私が忖度したんだ」と言ったことが問題視されたあとに、3日の国会答弁で「我を忘れて事実と異なる発言をした」と撤回したんです。我を忘れて事実と異なる発言をする人って、なかなかいないですよね。

幸坂:そうですね。

武田:もし我を忘れて発言してしまうような人は、そもそも政治のお仕事は向いてないんじゃないかと思うんです。安倍さんの出身地である山口県と、麻生さんの出身地である福岡県を結ぶ道路なので、非常に忖度のしがいのある道路だったと思うんですけど(笑)

幸坂:はい(笑)

武田砂鉄「なぜ政治家は失言を繰り返すのか?」を考えるの画像はこちら >>

武田:彼が辞めることで済む問題か。むしろ政権の体質が濃縮されていると思うんです。公共事業の予算に忖度を働かせることがあってはならないので、「辞めることで終わらせたい」「選挙があるからその影響を最小限にしたい」ということかもしれないけれど、「忖度はなかった」と麻生大臣は言っている、でも塚田大臣は辞める、ではなんの責任について辞めるのかがよく分からないですよね。

幸坂:そうですね…。

武田:失言という言い方も「いや、それ本音だろ!」と思うから失言ではないのかもしれない。

失言は政治の世界を賑わしていますが、どういう発言が多いのかというのを、元々衆議院議長で自民党の長老である伊吹文明さんという方が「政治家が発言するときに気を付けるべき6つの“た”がある」と発言してるんです。

◆「立場をわきまえる」

◆「正しいと思っていることを言うとき」

◆「大人数の前で話すとき」

◆「旅先で笑いを取ろうとする」

◆「他人の批判」

◆「例え話は危険」

幸坂:はぁ~。

武田砂鉄「なぜ政治家は失言を繰り返すのか?」を考える

武田:今回は地元だから旅先ですよね。支援者がいる中で、面白おかしく話がしたいと思ってポロっと出てしまう。旅先の地方だと、笑いを取ろうと例え話をして、それが失言に繋がるという流れなんですよね。

幸坂:サービス精神とかもあるんですかね?

武田:仲良しこよしでやってきた人に対して答弁するときに、そういった話をしがちなんでしょうけどね。6つの”た”は、かつて今村復興大臣が、「東北でよかった」という発言をしたときに辞任に追い込まれて、そのときに伊吹さんが発言したんです。
幸坂:はい。

武田:そのくせ、先月21日に自民党の田畑議員が準強制性行容疑で告訴されたんですけど、伊吹さん自身が「いろんなことがあるけど、問題にならないようにやんなきゃだめだよ。同じことをやるにしても」と、とんでもない最低の発言。

武田砂鉄「なぜ政治家は失言を繰り返すのか?」を考える

武田:失言して辞めてない人はたくさんいるんです。麻生太郎は去年の財務事務次官のセクハラ問題に関して「“セクハラ罪”という罪はない」と言ったり。

最近だと桜田五輪大臣が、競泳の選手が白血病を公表されたときに「がっかりしてる」という、とんでもない発言をしたけど辞めていない。

今回、塚田氏が辞めると聞いたときに「そうか、辞めるんだ!」と辞めることに新鮮味を覚えている自分が本当にまずいなと思って。
幸坂:う~ん。

武田:最近政治家の間で「先日の発言を撤回させて頂きます」とか、「誤解を与えたのでお詫びを申し上げます」とか。「僕の言いたい真意が、あなたたちに伝わらなかった。あなたたちの理解力不足によって、こんな感じになっちゃいました。じゃあ、すみませんでしたごめんなさい」みたいな流れがあって、発言者の責任が問われないということがすごく増えてきてる。

武田砂鉄「なぜ政治家は失言を繰り返すのか?」を考える

武田:「揚げ足を取るな」とか「言葉尻りを捉えるな」とよく言われるんだけど、僕なんかは言葉尻りだろうが揚げ足だろうが、丁寧に掬い取っていきたいと思うんですよね。何故なら、そこに表れているのは本音の言葉だからだと思うんです。

◆4月5日放送分より 番組名:「ACTION」
◆http://radiko.jp/share/?sid=TBS&t=20190405160000

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