TBSラジオ「ACTION」(月-金15:30~17:30)。木曜日のパーソナリティは、羽田圭介さん。

13日(木)のゲストは、NTTの時報や留守番電話サービス、銀行のATMなどの声を担当されている中村啓子さん!

時報、留守電、ATM、駅…誰もが聞いたことのある声!中村啓子...の画像はこちら >>
中村:ナレーターの仕事って「制作者側の狙いって何かな?」と考えて、それを聞いていらっしゃる方の心に届けることだと思うので、いきなり声を出して練習ではなくて、ちょっとじっくり目を通して内容を把握することが大事ではないかと思います。

羽田:なるほど、声に出せばいいということではなくて、その前が大事なんですね。

中村:まずは、静かに黙読をしてその意図を捉えるということ。あとは、聞いていらっしゃる側のお顔や思いを想像して喋るということを大事にしています。例えば、時報は音だけで時刻を知っている方もいらっしゃる。だから、とにかく明瞭にはっきり読む。あとはモノレールやリムジンバスの声をしているのですが、自分自身をそこに置いてみると、旅から帰ってきたときにあんまりテンション高い声だと疲れますよね。「これから寝たいのに…」と。自分をそこに置いてみて、聞いている方の立場になって、なるべく静かに「お疲れ様でございました」という気持ちで読もうとしたりしています。

時報、留守電、ATM、駅…誰もが聞いたことのある声!中村啓子さん

幸坂:そもそもナレーターになろうと思ったきっかけって何だったのでしょうか?

中村:たった一つなんですけど、小学校の国語の授業中ですね、先生に指されて教科書を読んで座ろうとしたときに、隣の席の子が「啓子ちゃん、いい声しとるね。アナウンサーになりゃいいのに」って(笑)それまで私は誰にも声を褒められたことがないし、自分の声を意識したこともなかったのですが、その一言で舞い上がってしまったんですね(笑)「私、声が良いのか!じゃあ、声の道に進もう!」という単純な理由で(笑)この単純さが今に繋がっています。

羽田:NTTの時報のナレーションにどうやって選ばれたのですか?

中村:時報に選ばれたというよりは、NTTの声として選ばれて、その一環として時報の声の仕事も頂いたのですが。

この理由は、私の声の周波数成分が電話の音声伝送に使われる周波数にぴったり当てはまったそうなんです。

時報、留守電、ATM、駅…誰もが聞いたことのある声!中村啓子さん

幸坂:そういうところも審査基準なんですね。

中村:だから色んな人のボイスサンプルを機械にかけて、一番合う人ということで選んでくださったんですね。人が音として聞き取れる周波数の幅というのが、20ヘルツから2万ヘルツなんですね。電話では伝送工程で300ヘルツより低い声で、3400ヘルツより高い声だとカットされて聞こえなくなるんですね。これは家電の場合ですが。それで私の声がその周波数に合ったということなんです。

羽田:でも当時の電話はそうなのかもしれないけど、今のモノレールのナレーションやデジタルの電話とか、広い音域で伝えられるはずじゃないですか。それでもずっと中村さんが起用されているということは、周波数以外のこともあるってことでしょうね。ずっと選ばれているということは。

中村:ありがたいことですね。あと、NTTさんとしては長く同じ人の声を使い続けなければならないということで、無理なく自然な発声をしていて、長持ちしそうな人という観点でも選んで頂いてます。

羽田:なるほど。声を作っていなくて自然に出ているか。

中村:選んで頂いた方にも「まさかこんなに長持ちするとは思わなかったよ」と言ってもらえて(笑)想像以上だったみたいです。

時報、留守電、ATM、駅…誰もが聞いたことのある声!中村啓子さん

羽田:時報の声を収録するのは、どれくらい時間がかかったのですか?
中村:これは1時間ですね。

幸坂:えっ、1時間ですか!?
中村:24時間分をちょうど1時間でしたね。

羽田:24時間分を1時間!?

中村:録り方の説明させて頂くと、「◯時」の0時から11時、「◯分」の部分、「◯秒」は10秒毎、で「をお知らせします」というのをバラバラで録音して、それを音声合成で繋ぎ合わせています。

幸坂:それって疲れないですか?延々と1時間言うんですよね?

中村:たった1時間ですけど、明瞭度を重視されるので、足りないときは「もう一度」と言われたり。

羽田:一定の明瞭度をキープするのは大変じゃないですか?

中村:そうですね。音程的にも前後が自然に繋がるようにしなくちゃいけないので。1時間と言えども、かなり神経を使って、終わったあとはクラクラとしてしまい。貧血みたくなってしまいました(笑)

幸坂:集中力も使いますしね。

中村さんに、時報の声や留守電、ATMの声。

さらには、シチュエーションによっての声の使い分けなど!たくさん実践していただきました。

◆6月13日放送分より 番組名:「ACTION」
◆http://radiko.jp/share/?sid=TBS&t=20190613153000

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