PlayStation®初の公式ラジオ番組として、2016年4月からレギュラー放送しているTBSラジオ「ライムスター宇多丸とマイゲーム・マイライフ」毎週木曜日よる9時から放送中!
寝食を忘れてゲームにのめり込むほどのゲーム好きで知られるライムスターの宇多丸と、ゲームをこよなく愛する著名人をゲストにお招きし、「人生におけるゲームとの出会い」や「あのゲームとの思い出」「今オススメのゲーム」など、ゲームについて楽しく熱く語り合うトーク番組です。
第239回:声優の植田佳奈さん前編
ラグナロクの中で生きるために働いていた
「マイゲーム・マイライフ」のゲストに声優の植田佳奈さんがやってきました。なんと植田さんは、アーケードコントローラーを5つも所持しているゲーマー。
そんな植田さんが思い入れのあるゲームとして挙げていたのが「ラグナロクオンライン」。
植田「上京してから始めた、ラグナロクオンラインっていうゲームがすごく思い入れがあります」
宇多丸「MMORPG」
植田「そうなんです。リアルタイムでやれるゲームで」
宇多丸「ビッグタイトルですけど、これはまた」
植田「これはハマりすぎて、このラグナロクをやるためにすごいパソコンを買って、ラグナロクをやるために働くっていうか。本当に現実がこっちで、自分がやってるお仕事は出稼ぎっていうくらい、この世界にいました(笑)」
宇多丸「ははははは。こっちでポイントを稼いで(笑)。ゲームに投入できるように」
植田「そうなんです。そうなんです。いかにラグナロクを快適にするために仕事をしているかっていうような日々で。この世界、私めちゃめちゃハマりすぎていて。ゲーム内結婚っていうシステムがあるんですよ。それでマリッジブルーになっちゃうくらい、思い入れがあります」
宇多丸「ゲームの中でマリッジブルー」
植田「そうなんです。
宇多丸「まずその、結婚に至る流れは、ラグナロクオンラインではどういう……?」
植田「ラグナロク内では結婚に至る流れはシンプルで、一緒に冒険しているうちに、『結婚システムってあるのでやってみませんか』って言われたのが最初で。その結婚のシステムをすると、キャラクターが自分の体力を分け与えるとか、自分のキャラクターのところにワープする機能があるんですよ」
宇多丸「ああ~メリットがありますね」
植田「それがあるので、『一緒に冒険するには、結婚してたほうが便利だからどうですか』って言われて、『はい!』って言ったんですけど。結婚式もできるんですよ。で、二週間後に結婚式がありますって言われて、その二週間のうちに一気にマリッジブルーがきちゃって」
宇多丸「私こんな決断しちゃったけど、早かったんじゃないか……」
植田「そうなんです! まだこの人と出会って間もないのに、こんなに短い間にこの人と結婚して、これから一緒に冒険できるのかなって」
宇多丸「ははははは!」
植田「本当になんか、憂鬱になってきちゃって。なんとなく、チャットにも出てたんでしょうね。その結婚の前日になってその方が、『本当に結婚してもいいですか?』って。『最近ちょっと様子がおかしかったから、気になってたんですよ』」
宇多丸「のび太の結婚前夜だよ、もう」
植田「本当それです(笑)。で、『もしよかったら、別にみんなに言えばわかってくれるから、ちょっと考えてもいいですよ』って」
宇多丸「あ、いい人」
植田「めちゃめちゃいい人で。で、その方が結婚のエンゲージリングの代わりに、お花の髪につけるアイテムをくれたんですよ」
宇多丸「ラグナロク内でね」
植田「ラグナロク内です、もちろん! で、その、ラグナロクのアイテムって、結構高価というか、作るのに時間のかかる、初心者にはなかなか手の出しづらいアイテムだったんですけど、それをくださって、『迷ってるんだったら、今決めなくてもいいよ』って優しく言ってくださったことをきっかけに、私もうなんて馬鹿だったんだろう! こんなにいい人に愛されて……」
宇多丸「はははははは!」
植田「もう絶対大丈夫ってなって、結婚式を挙げたっていうのがいい思い出でした」
なお、SNSも発展していなかった当時、リアルでオフ会をするのに手間がかかったこともあり、植田さんはそのゲーム内結婚のお相手とは会わずじまいだったようです。そうこうしているうちに、植田さんもお仕事が忙しくなりログインが減っていったようで。ゲーム配信などがあまりなかった頃のオンラインゲームって、一緒に遊んでいるフレンドが著名な人、という知られざるケースがもしかしたら今よりもずっと多かったのかもしれません。
今回のピックアップ・フレーズ
(大会の経験を経て、植田さんがゲームに対して思うこと)
植田「ゲームって、やってるうちは楽しいんですけど、強くなりたいって思った瞬間に、そこに少なからず苦痛が生まれるんですよ。
宇多丸「なんか言うことがピリピリしているんですよね、全体的に(笑)」
植田「ははははは! 一歩、足を踏み入れるときは、躊躇する瞬間ってありますね」
宇多丸「なるほど。でもわかります。だから遊びじゃなくなる瞬間っていうのがね」
文/朝井麻由美(ライター、コラムニスト)