TBSラジオ「宮藤さんに言ってもしょうがないんですけど」毎週金曜日よる9時から放送!

9月まで「ACTION」の中で放送していたコーナーが番組になりました。様々な職業・立場の方々に「宮藤さんに言ってもしょうがない」愚痴を聞いていきます。

知らなかった苦労を知ることで、明日からきっと、優しくなれる。 そして、それぞれの職業から考える世の中への要望も聞くと、社会の構造的問題も見えてくる!

10月16日の放送は、放送作家の愚痴前編。今回は、放送に入りきらなかったトークも入れた完全版です。

■U野さんは37歳。14年目の元ハガキ職人。大学出てからずっと。ラジオ、テレビ、BS、いろんなジャンルを。

■Kさんは36歳。主に情報系の番組を担当。以前ADだったところを、制作会社を辞めて、放送作家に。

■S野さんは23歳の4年目。芸人さんが関わる番組を中心に、テレビラジオ、芸人の座付き作家や、YouTubeのネタ出しも。

Y本興業の放送作家コース出身。
「企画書の著作権があやふや…」放送作家の愚痴・前編の画像はこちら >>

宮藤:37歳は若手ですか?

U野:キャリア的にはそれなりにやってるんですが、まだまだ上の作家さんがたくさんいらっしゃるのと、若い振りをしていただいているお仕事がたくさん。ラジオ番組を担当することが多いんですが、AD的な業務も一手に引き受けて、メールを出したり、水を買いに行ったり。

宮藤:作家でそこまで!?

U野:お菓子のチョイスが大事になってきます。

宮藤:ラジオって、作家とADの境目があいまいですよね?

K :私もメール出しをやってます。

宮藤:どういう作業?

K :届いたメールをひたすらプリントアウト、プリントアウト、プリントアウト。読むのはディレクター。そこで取捨選択。私はその前の段階です。

U野:僕は、メールを出しては、赤ペンを。面白いところとか住所に赤ペンを。

宮藤:僕は高田文夫先生に憧れて放送作家になろうと思ったんですけど。

最初はたけしさんのラジオを聴いていて、笑い声がちょいちょい入ってきて、笑い声と一緒に面白い合いの手が入ってきて、この仕事をやりたいなと。だから、憧れの3人なんですよ!今日!

3人:・・・(苦笑)

宮藤:S野さんは、世代的に下ですよね。自分の将来は…

S野:よく聞くんです、上の先輩方でも苦労している話を。僕は23歳なので、あと何年そんな感じでやるのかな…って、怖くなったりしますね。

宮藤:あとは、事前のアンケートに書いてあります。Kさん、私たち世代が一番不幸と言われてると。

K :上の人ってずっといるじゃないですか。一方で、どんどん若い面白い人たちも出てきてるから、どうしたらいいんだろうって思いますよね。

宮藤:若い振りした方がいいのか、ふんぞり返ってデキる風を装って大御所になっていくのかですよね。30半ばの世代が、一番働いてるわけでしょ。

U野:会社に勤務されてる若い世代のADの子たちは、一番最初に帰っちゃうんですよ。夜9時になったら。

宮藤:働き方改革が!

U野:若い方はまず帰って、残るのが、30半ばのフリー作家とフリーディレクター。いくら働いても良いという(苦)

宮藤:改革が及んでない!難しいですね…

U野:で、下からの突き上げも。

「企画書の著作権があやふや…」放送作家の愚痴・前編

宮藤:僕、番組をやってた時期が短いのもあって、番組が終わる経験はもちろんしてるんですけど、続く番組から呼ばれなくなる経験はしたことなくて。

U野:あります。だいたい1月下旬くらいにプロデューサーに呼ばれるんです。

一同:(笑)

U野:遅すぎるとリニューアルに関わってくるので。だいたいソファー的なところで、堅苦しくない感じで。で、「3月いっぱいで…」ということが何度か。

宮藤:3月いっぱいで、番組は続くけど、君は続かない!ってことですよね。

U野:番組をより良くしたいという…

宮藤:言葉を選べば選ぶほど失礼になりますね!番組を良くするために君は必要ない!ってことですもんね。「あ、来たな…!」って感じ?

U野:年が明けるとだいたい、風の噂で入ってくるんです。スタッフが変わるらしいぞと。

上の人が変わると、連れてきた作家も一緒に変わるパターンもあれば、作家だけが残る気まずいパターンも。

宮藤:どうですかKさんは。

K :半年に1回とか、定期的にやっている特番に呼ばれて。オンエアが終わって普通に生活をしていたら、いつの間にかその特番の続編が放送されてる…呼ばれないまま、続いていたっていう。

宮藤:そのときはソファーは無いんですね。

K :何もなかったですね。

U野:ソファーがあるだけ良かったのかな…

S野:僕は、会議に行ったら、そこで番組がリニューアルしてたこと知るということがありました。大事な話を、僕がいないところでしていて、僕が行った時には、番組が全然違うものになってる!大幅にリニューアルされた番組の会議として。

宮藤:うわー…。俺ね、バラエティの会議やってたら、僕以外の作家は別の番組も同じで、ディレクターも一緒で、違う会議が始まっちゃって、惰性でその会議にも出てたことあります。あれ?俺、あの番組見てるけど、入ってないよなぁ…でも、番組は見てて意見は言えるからいたけど。いつまで経っても当然クレジットされないし、ギャラもないし。

でも、「宮藤君だけ帰って~」って言われるよりはまだいいかって。

U野:帰るタイミングを見失ってたら、違う番組の会議になってることありますね。

宮藤:何なんでしょう、フリーって何なんでしょう。何だと思ってるんでしょう。

「企画書の著作権があやふや…」放送作家の愚痴・前編

S野:宮藤さんに言ってもしょうがないんですけど、これ僕の仕事ですか!?っていう仕事をめっちゃ振られます。

宮藤:例えば?

S野:若手なので、いろいろやらせてもらうのはありがたいんですが…若いからって、「SNS詳しいでしょ?番宣のTwitter書いといて!」って。俺の仕事じゃないけどな~って思いながら「次回は〇〇です!」みたいなのを書いたりとか。あとは、プロデューサーの仕事だったりする、出演者の事務所に送る依頼書を書かされて…

宮藤:何だろうね、書く仕事は作家に振って良いっていう。両手ふさがってるんですかね。

S野:だから、そういう上の人たちが、自分が楽するために僕が存在してるみたいな感覚。そういうことを振られたときは。

K :すごくわかります。

断ったら、もう声をかけられないんだろうな…と思うと、何でもやります!っていう感じになりますよね。

U野:あります。大好きじゃなくていいけど、嫌われたくない。ディレクターやプロデューサーの趣味の企画書をお手伝いしたり。こういうアプリを作りたいみたいな。アプリは番組に全く関係ないんですけど…タワーマンションにご飯を運ぶみたいな。僕が企画書を書いたことがあったりとか。

宮藤:その企画書は通ったんですか?

U野:聞いてないです。

宮藤:思い出したんですけど、ちょっと呼び出されて、「こういうこと考えてるんだけど、面白いと思わない?」と言われて。人として面白くないって言えないじゃないですか。「あぁ、面白いですね~」って言うじゃないですか。「じゃぁ、ちょっとまとめてきてくれる?」って言われて、「はい…」ってまとめて、これいつ仕事になるんだろうな?って思って、そのまま連絡とれないままやらなくなった…結構多いですね。どんどん思い出してきましたね。悔しい!俺、少ない方だと思いますけど。事務所に所属してるんで。

「企画書の著作権があやふや…」放送作家の愚痴・前編

U野:宮藤さんに言ってもしょうがないんですけど、企画書の著作権ってあやふやなんです。

宮藤:無いですよね!

U野:自分発信で、こういう企画どうですか?って書くものもあれば、ディレクターから企画書が送られてきて、ここを直してくれっていう仕事もあって。企画書が10個くらい送られてきて、直す。それを直したものが、番組になったりするんですけど、番組になったときには僕は呼ばれてない…。

宮藤:放送「前」作家ですね!

一同:(笑)

U野:おそらくこの番組だろうな…というのが通ってたりします。文言とか、僕が書いたやつなんじゃないかな?って。

K :私は、企画書をたまに直してとは言われますけど、全然採用されないですね…。

S野:「タイトルとか文言をわかりやすく整理しといて~」って急にベースの企画書が送られてきて、直して送ったら、テレビでその番組をやってたり。僕は全然入ってないんですけど、

一同:(笑)

S野:もう、名付け親が…

宮藤:番組に関わってない!!

S野:テレビで見て、あれ…?って。僕の手元から旅立っちゃって。

「企画書の著作権があやふや…」放送作家の愚痴・前編

K :宮藤さんに言ってもしょうがないんですけど、放送作家って結局、人間関係なんです。

宮藤:フリーだからっていうのもありますよね。

K :会議でネタを出しても、結局何を出したかというより、誰が出したかで決まっちゃうことがあります。

U野:そうですね。同じ企画をADと上の作家さんが出しても、作家さんが出したものが採用されたり。

S野:そうですね。まず、会議で僕の話を聞こうというモチベーションになってくれてない。

宮藤:わかるわー!「あの、例えば…」って言ったときに、誰も顔を上げてくれない。俺の話聞く気ないんだなって。事前アンケートに書いてありますけど、総合演出に気に入られないといけないんだ。

K :その人が、自分としては面白いんだろうな…ということを言った時に、リアクションした人が気に入られるというか。

宮藤:真っ先に笑った人とか!会議どうですか?長時間やってます?

K :今、リモートですね。上の人たちだけ、数名で集まってたりして。会議室に集まっている人とリモートの人の温度差がすごい。リモートじゃない人たちで盛り上がって、あとは置いてけぼり…

宮藤:リアクションしても、画面越しになっちゃうし。

K :それを、家で一人で待ってるっていうか…。下っ端のものからして、次の話いきませんか?って言えないですからね。

U野:僕は、呼ばれる会議と呼ばれないものがありますけど、呼ばれてる方では、まずゴシップとかが。だれだれが結婚したとか、楽し気に話している先輩の作家さんの話を、聞く側で。

宮藤:心はリモートだ。雑談って、例えばどんな感じの雑談を?俺の頃は、時計自慢!時計買ったね!〇〇さんに勧められて!って。その時間すごく嫌でした。

K :この前あったのが、その方が、この前行った焼肉店にいた変な客。こんな客がいたっていうので盛り上がってて…これ何の時間だろう…って。

宮藤:それをリモートで1人で聞いている私。そうですよね。あのテレビ見た?とか。あれ聴いた?っていうところから始まることもありますよね。

U野:そうですね、話を合わせるために、総合演出の方が見てる作品は、あらかたチェックするようにしてますね…

宮藤:わかりました。あのー、全然まだ始まってない。とりあえず前編終了ということで。

◆10月16日放送分より 番組名:「宮藤さんに言ってもしょうがないんですけど」
◆http://radiko.jp/share/?sid=TBS&t=20201016210000

編集部おすすめ