TBSラジオ『井上貴博 土曜日の「あ」』毎週土曜13時から放送中!

11月26日(土)放送後記

ゲストコーナー「あ」の人は…エシカルファッションプランナーの鎌田安里紗さん。
そして議論のコーナーから日本総研の齊木乃里子さんにリモートで参加して頂きました。

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井上「今日のテーマは…『ファストファッションどう思いますか?』ってちょっとぼやっとしてるんですけど、難しいなと思うのがファストファッションってどこまでファストファッションなのかみたいなところもある。新語・流行語大賞のトップテンに選ばれたのが2009年ですか」

鎌田「そうですね」

井上「ZARAとかあとH&M、Forever21のイメージ。そしてやっぱりユニクロなども出発点そっちだろうなって個人的に思いますし、最近で言うと中国生まれのSHEIN。そういったところから大量生産、大量消費と言われる部分とか、どう考えていくのか…」

鎌田「はい」

井上「やっぱり安くてかわいい服買いたいんだけど、こういうニュースも耳にするし、どうしたらいいんだっていう風になってる人もいるので。全員が全く関心がないかというとそんなことはないと思うんです。だけど買うのやめますかって言われると、そこまで行くにはかなり覚悟がいりますよね」

齊木「はい」

井上「うまく周りの大人や私達が意識づけとしてそっちの方向にどう持っていけるか。もちろん学生からすると安く良いものを買えるのは何よりも越したことはないので。でもちょっと環境問題とか、労働者どうなってるか?っていうとこに思いを馳せるヒントを何か与えられないものかなとも思います」

齊木「そうですね。実はもう海外では90年代からこの企業はちゃんとやってるのかとか、労働環境どうなんだみたいな話は問題になったり、運動家が運動を起こしたりっていうような流れは割とあったんです。有名なブランドが海外でそういうアクションがあっても、日本の皆さんはなんか向こうの話というか、他人ごとみたいなことで捉えてきて、今があるという感じなんですね」

井上「はい」

齊木「なので海外でそういうムーブメントが起こり始めた頃に、今の大人は実は若い人たちだったわけ。その時の大人たちが勉強してきてないからこうなってるんだろうなという気も一方でするわけです。なので若い人がとか大人がとかってことではなくて、みんながみんなで学ぶっていうような形で体験も含めてやっていかないといけないんだろうなという風には思ってます」

井上「みんながみんなで学ぶっていう確かにそうなのかもしれないですね。

メッセージも来てまして、ラジオネーム『わか』さん。私は流行を取り入れたい、ワンシーズン毎に色んなファッションを楽しみたい。こういう場合にはありだと思います。実際私も普段着ないような挑戦するような雰囲気の洋服が欲しい時はファストファッションで買っています。買ってみて良ければ、次はちょっとお値段するブランドで似たような服を買ってみようかなと思って利用しています」

田中「お試しでね」

井上「やっぱりちょっと安いものからお試しして、自分に似合うかしらって。やっぱりワンシーズンで買い換えるっていう方もいますしね」

鎌田「だからその服が手放された後にどうなってるかっていうことを私達ってあんまり見ることできないじゃないですか。でも今本当に服のゴミっていうのがすごく問題になっていて。服って複合素材でできていて、例えばポリエステルと綿とナイロンが混ざってるとか。それだとリサイクルもできないんですよ・そうなると焼却か埋め立てるかっていうことしかできなくて、日本で燃やされたりあるいは海外に送られて埋め立てる場所もなくて海辺に捨てられて、またそれが海に飲み込まれてプラスチックなんでマイクロプラスチックとして私達に帰ってくるみたいなこともあるので、処理できないものを生み出し続けてしまう。それがどんどん使い捨てられてしまうってことは本当にやばいよねっていうことは今世界の共通認識になってきてはいますね」

エシカルファッションプランナー・鎌田安里紗さんとファストファッションについて考える

井上「そこがやばいよねっていうのは何かニュースでも見るし授業でも聞くしなんとなく分かってても遠いかも知れない。その中でこんなメールも来ています。ラジオネーム『帳尻マン』さん。

私は全国展開しているアパレルメーカーの倉庫で働いています。そこで全国から返ってくる衣服の返品作業の対応している。週に一度返品される衣服の量は莫大です。以前は返品された衣服は焼却処理するだけでコストもかなりの費用がかかっていた。そこで、返品された衣服を従業員に格安な金額で販売する事業を数年前から始めています。事業はおおむね好評です。大量生産、大量消費されるファッション業界でもSDGsのことを考えて動き始めています」

田中「なるほど」

井上「齊木さん、確実にこういった動きにはなりつつあるわけですよね?」

齊木「そうですね。鎌田さんの方がご存知かもしれませんけれど、色んな素材の再利用であったり、逆流通という言い方をしますけれども、要は売るだけではなくて、その売った後またそのお客さんからメーカーなり企業なりに商品がもう一度帰ってくるリサイクルルートみたいなものの確立だったりとかっていうのは少しずつは進んではいますね」

井上「鎌田さん、 ファストファッションは別に悪ではない。1つの選択肢としては良いかもしれないけども、ファッション業界全体としてどういうふうに考えていくのか」

鎌田「そうですね。やっぱり大量に作って消費されるスピードが速くなって、そして廃棄の量が増えてるっていうのは本当に2000年以降顕著に世界中で生産量は2倍になってるし、服の販売価格っていうのは半分以下になってるし、所有期間短くなってるっていうのはあって。でもこれだけ本当に地球の資源ないよって言われてる中で、その仕組みは変えなきゃいけないっていうのは消費者が求めてなくてもやっぱり企業側の責任として企業は変わらないといけないです。みんなで学ばなければならない。

でも企業は消費者が買ってくれないと変われないっていうところもあるので。解決する方法が分かったら解決されてますが…でも本当に企業に責任は絶対にあるし、でも消費者も企業が悪いって言って任せるんじゃなくて自分たちの買い物の仕方も変えないといけないっていうことはありますね」

井上「安ければ尊いっていう文化やっぱ良くないよねって。皆さんどこかに思ってるんだと思うんですけど、でもそれで助けられている人はいて、安いものを欲しがるっていうのも当然の欲求で、商品を安くする企業努力もあって、でもそれだけ安いってことは闇の部分はありませんか?っていうところは絶対にそうですね」

鎌田「だから価格に反映されてないコスト、それは自然環境にかかるコストだったり、払われてない人件費だったりするわけですけど、それが価格に乗っかってないっていうだけなので、誰がコストを負担してるのかっていう話で。物を生み出すのに絶対に資源を使うし、人間も働いてるので、それを安くなくなっちゃったら買えなくなっちゃうっていうのも、もちろん日本の貧困というのも非常に問題ですけれども、じゃあ安く作り続けていいのかっていうと当然そんなことはなくて…どこから解決したらいいのか誰か教えてほしい…どれだけ活動してても思いますけど。でもこのまま続けていくことはできないっていうことはもう自明なのかなと思います」

田中「作られた背景とかっていうのを公開する企業は増えてきている印象はありますか?」

鎌田「増えてますね。2013年にANAプラザというバングラデシュの工場が倒壊して1000人以上の方が亡くなるという事故がありました。皆さんが知ってるような有名なブランドを作ってる工場が全然管理されてなかったので起きちゃった事故だったんですけど、それを買ってたお客さんが自分が使ってたお金が
この事故に繋がっちゃってたんだっていうことを非常にショックだっていうことを世界中で表明するようになって、ブランドさんは、生産背景をもっとちゃんと開示してくれと、そうじゃないと安心してお買い物できないっていう流れはこの10年、世界中で非常に声を上げる人が増えていて、実際に生産過程を開示する企業っていうのは増えてます」

井上「そうなんですね」

鎌田「ただ、まだ十分に透明性は高まってないですし、お買い物をする時にそれを判断する材料が十分に示されてますか?っていうと、今はそうはなってないですよね。でもヨーロッパではもう法律で商品タグに環境負荷とか人権への影響っていうのを書かないといけないっていう法律ができたので、もう今後開示されていかなければならなくなるんですけど」

井上「それはどういう形で書いているんですか?」

鎌田「書き方も今どうするかっていうのは議論があるんですけど、環境への負荷と人権への配慮っていうのがどのぐらいされてるかっていうことが点数なのか、ABCみたいなものなのかで示されて、値段と合わせてそれを見ることができるっていう状況にならないと消費者の知る権利っていうのが使えないよねっていうことで、企業側は情報を開示する義務っていうのが今後求められて行きますよね」

齊木「本当に海外ではその認証機関があったりして、こういうようなところはクリアしていますよっていうその基準を満たしてるところはそのマークがつけられるみたいなものは積極的にファッションの業界でも進んでいますし、あの日本のブランドさんでも工場に招き入れるだったり、あるいはラボに見学に行って実際にその体感ができるっていうようなことだったり、私が今着ているTシャツは後ろのところにQRコードが付いていて、そのQRコードを読み取れば、生産背景が読み取れる。分かる仕組みを作っていたりとか、本当に色んな動きは単発では出てるんですけれど、それを社会的なムーブメントにどれにするのかっていうのはこれからの課題かなという気はしますね」

エシカルファッションプランナー・鎌田安里紗さんとファストファッションについて考える
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