TBSラジオ『パンサー向井の#ふらっと』毎週月曜日~木曜日 朝8時30分から放送中

滝沢カレン著『馴染み知らずの物語』 パンサー・向井評「油断し...の画像はこちら >>

6月19日(月)は、月曜パートナーの滝沢カレンさんが初めて出す新書『馴染み知らずの物語』のお話。
世界中の名作小説のタイトルから、カレンさんなりの新しい物語を想像して書いたこの作品。


すでに読破したという向井さんがたっぷり感想を語りました。

油断して読み飛ばすところがない

向井:『馴染み知らずの物語』僕も読ませていただきました。

滝沢:ありがとうございます。嬉しい。

向井:面白すぎて、カフェで読んでるときに、まず笑いをこらえるのに大変。

滝沢:そんなつもりないのに(笑)

向井:知ってる物語。皆さんも聞いたことある、例えばカフカの『変身』とか、『変身』というタイトルを聞いて、カレンさんがあらすじを見て、そこから広げていってるので、皆さんが読んだことあるカフカの『変身』とも全く違う。「え?そんなものに変身しちゃうの。」とか『若きウェルテルの悩み』にしても「え?そんな悩みなの?」とかっていう面白さはまずあるんですよ。

滝沢:嬉しいです。

向井:で、もうどこを取ってもパワーワードっていうのはまさにカレンさんもそうで、1個1個の表現が、もう面白い。例えば「キラキラした輝きの顔をした女性が立っていて」みたいな文章があるとして、カレンさんの表現が「キラキラした輝きの顔を首に乗せた女性が」とか。なんでそんな言い回しになるの?みたいな。キラキラした女性が立っていた、でいいところを、「顔を首に乗せ」とかっていう言い回しってないじゃないですか。

他の作家さんだったらありえないような表現、言い回しがもうどんどん出てくるから、逆に言うと1個も油断して読み飛ばすところがない、っていうか。

滝沢:本当ですか。

向井:だからシンプルな、例えば「はい」っていうセリフだとしても、「はいよ」って書いてあったりするので。

一同:(笑)

向井:この「よ」何なんだよ?とか。普通の作家さんが書く「はいよ」だったら、あんまり引っかからないかもしれないですけど、なんかカレンさんが一生懸命想像して書いている、っていうのがわかるからこそ、1文字、1文字に何か意味があるんじゃないか?とか。なんかこの「よ」がめっちゃ面白くなったりするんですよ。

滝沢カレン著『馴染み知らずの物語』 パンサー・向井評「油断して読み飛ばすところがない」

信じられない結末を迎える、滝沢カレンの『みだれ髪』

向井:『みだれ髪』めちゃくちゃ面白いですよ、これ。

滝沢:本当ですか?

向井:与謝野晶子さんの『みだれ髪』。

滝沢:『みだれ髪』はもう終わりの「。」まで見えて書き始めたりしたんです。もうこれにしよう!って思ったものもあるし。

向井:信じられない結末を迎えますからね、皆さん。本当に誰1人予想できない結末になります。

この『みだれ髪』は。

滝沢:嬉しい!最大の褒め言葉ですね。

向井:これ見えてたんだ?

滝沢:見えてる。それぐらいもう書きたい!って思うものもあれば、『蟹工船』とかはやっぱり蟹が前に出過ぎてるじゃないですか。題名があまりにもはっきりしすぎててもちょっと難しいときがあって、蟹を出さなきゃいけなくて、まず工船も出さなきゃいけない、ってなると、やっぱり何か自分の中では、まず浦島太郎が浮かんじゃったんですよ。『蟹工船』を書こうと思ったときに。でも浦島太郎みたいにしたら大変だ、浦島太郎さん側に悪い、みたいな。

向井:似すぎちゃうと著作権とかに引っかかるかもしれない(笑)

滝沢:だからそういうのは書きながら、これもしかして『浦島太郎』みたいになっちゃってないかな、とか思って書き換えたり。

向井:なるほど。

滝沢:やりながら消して。

向井:修正するパターンも?

滝沢:ありましたと思います。"

向井:いやもう、与謝野晶子さんの『みだれ髪』なんかは、まず髪が絡まりまくった人が出てくるっていう。

滝沢:最初はね。

向井:最初、スタートはね。まじで読んでほしいです

編集部おすすめ