このゴールデンウィーク、高速道路の渋滞もずいぶんすごかったですが、今日は、大渋滞の時、大雨や大雪の時などの、いざという時のために、車に積んでおく防災用品のお話です。

大雪でホワイトアウト。
事故をきっかけに開発!

おそらくウチが日本で初めて「車に防災」と銘打った防災ボックスを作ったのでは?という、静岡市のファシル株式会社・代表取締役、八木法明さんに、車用防災ボックス誕生のきっかけを伺いました。

ファシル株式会社代表取締役 八木法明さん

「これきっかけはですね、十年くらい前に、北海道で一回ホワイトアウトがあったんですね。で、その時に50代くらいのお父様が自分の娘さんを送りに行って、その迎えの時に、普段行き慣れた道なんですけども、ホワイトアウトで道が分かんなくなって、ガソリンが無いということで、娘さんを連れて降りて歩いて行って、結局、納屋の前で娘さん抱っこしたまま亡くなったっていう事故があったんですよ。

で、ちょうど防災の仕事やってたもんですからね、もし車の中に何かこうカイロとかポンチョとか、暖を取るようなものが、もしあったら、もう5分とかね、誰か見つけてくれたかもしれないと思ってちょっと調べたんですね。

でも、その当時はほとんどどこも無くて、トヨタ自動車さんだけは、ちょっと大きな黒いリュックの中に、バッテリーが上がった時に使うようなブースターとか、大きなジャンパーとか携帯トイレが少し入ってたのがあったんですけども、もっとこうコンパクトで、もっと細かいものは入って無かったんですよ、他の自動車メーカーも一切。」

ちょっと意外な気もしますが無かったんですね。それで作った、ということなのです。

(トヨタのはバッテリー上がりの対策というアイテムですね。)

こちらが、その防災用品ボックス。

いざという時に備える。車に積んでおく「防災ボックス」とはの画像はこちら >>

コンパクトな箱に入れることに一番こだわりました。小さくないと邪魔になって積み続けてもらえないから、と。(箱のサイズは26cm×12.8㎝×16㎝)

中身は、携帯トイレが二種類。反射材付きのグローブ。

3WAYのポンチョ(防寒と雨具とトイレの目隠しとに使える仕様。)水とクッキー、カイロ、ホイッスル、防塵のマスク、使い捨て簡易ライト、車の窓ガラスに書ける防災ペンなど12アイテム。ホントに必要最低限ということでした。

いざという時に備える。車に積んでおく「防災ボックス」とは


ちなみに、携帯トイレは、開発時、国内の携帯トイレを全部集めて自分で試して、一般的な容量の500mlだと容量が足りないと実感して、700mlと、容量を大きくするなど工夫して、車に積むのに最適なものを集めています。

車に防災用品!?あんまり気にしてなかった!

こうして誕生した防災用品ボックスですが、街の人は車に防災用品を積んでいるのか?聞いてみました。

「いや、積んでないですね。全然無いです、あんまり気にしてないですね、はい。

そうそう、まったく普段から意識してなくて。」

「近所にしかお出かけしないんで、めったに乗らないんで、何も入っていないです。」

「食料品ですか、東北とか雪の深いところ行ってたんで、店がなかなか無いので積んでましたね。お菓子とか水ね。降りられないというか、動かなくなったりね、たまにあったんで、雪で。」

「なんか必要だなって思って、ハンマーみたいなのは入れてんのかな?入ってるかな~?わかんない(笑)。あとは携帯トイレくらい。今日、積んで来たよね。今日は実は愛知県から来たの。

なので、途中で渋滞になるから携帯用トイレを持って来たくらいです。そうそう、トイレ途中で行けなくなったらどうしようと考えて。すごかったですよ、30キロくらい。」

東北で、大雪のために車が動かなくなった経験があった方は、水とお菓子を入れていました。あとは、ゴールデンウィーク中の高速道路の大渋滞を覚悟して、今朝、携帯トイレを積んできたという方もいました。

が、車の防災用品?あんまり考えたことがなかったな、という反応の方が多かったです。みなさん、ご自宅の防災セットはありますよ、と言うのですが、車には無いんです。

純正オプションで、標準装備ではないので・・・

この防災ボックスは2018年の発売。つまり、発売からはもう結構経っているのにもかかわらず、こういうボックスがある、とほとんど知られていませんでした。

ところが、発売後にメーカー各社から問い合わせが相次いだ、と言うんです。いったいどういうことなのか?再び八木さんのお話です。

ファシル株式会社代表取締役 八木法明さん

「ありがたかったのは、ホンダさんが採用して頂いて、今も採用頂いてるんですけども、それがきっかけで今、ダイハツ、三菱、いすゞ、日産、日野自動車とか、7社くらいの純正の車載用には採用して頂いてますね。

いや、ただですね、これ純正品というのは標準装備じゃないんですよ。

ですから、カーディーラーの営業マンが言わない限りは売れないんですね。純正のオプションなんですね。クルマ屋さんはどっちかっていうと、ナビとかドライブレコーダーを勧めますけども。

面白いのは、自動車メーカーさんに採用されて半年後くらいに、なんとなくこう、お客さんのフリしてお邪魔してですね、『車の防災って聞いたんですけど』って言ったら、『いや、そんなものウチにありません』って言われたんですけどもね。意外と知らない方、まだまだ多いと思いますね。

ただ、キャンペーンをやると、新車を購入するとコレを差し上げるとかをやってらっしゃる、そうするともう1000個単位で動くわけですよ。今の時代、そういうのもらったら嬉しいもんだと思うんですけども、だから本当はディーラーさんが、売るんではなくて差し上げるといいんですけどね。」

純正品として、各社採用していました。しかし標準装備ではないんです!

だから、ディーラーの営業マンが売ってくれないと、車を買うお客さんたちは知らないまま・・・。新車購入の際に、付けてくれたら嬉しいですけどね・・・。

まずは知ってもらうことから、と、今は、レンタカーやカーリースの車、企業の営業車に積んでもらえないかと働きかけるために、八木さんは日本中を飛び回って、目にする機会を増やして知ってもらう努力を続けています。

これからは大雨や台風がある時期、またお盆には渋滞もひどくなります。いざという時は、車の中かもしれません。

改めて車の防災、確認してみるのも大事ですね。