英北部のグレーター・マンチェスター州の高校では昨年、理科室で40年間も使われてきた骨格標本が本物の人骨であったことが判明し、葬儀が執り行われたことが話題になった。このたびオーストリアでは、放射線量が非常に高いウラン鉱石が学校理科室に置かれていたことが発覚し、生徒らが一時避難する事態となった。
地元メディア『thelocal.at』などが報じている。

原子炉への使用や核兵器への転用にも可能なウランを含む鉱石が見つかったのは、オーストリア・ザルツブルクの「セイクレット・ハート・スクール(Sacred Heart School)」の理科室だ。この日、放射能についての講義を行うため学校を訪れていた反核運動家のトーマス・ネフ氏が、生徒たちを前に理科室内の放射線量の測定をしていた最中の出来事だった。

ネフ氏は放射能の恐ろしさが分かっていなかった60年代に流行したという、暗闇で文字盤が光るラジウム腕時計を教室に持ち込み講義を始めた。時計は完全に密封された状態であったが、放射線量計測器が示す数値は通常の20倍の放射線量を記録した。

続いてネフ氏は自然界にある放射線量を測定しようと理科室内を歩き回った。
すると突然、測定器がまるで壊れんばかりに異常な反応を示した。化石、鉱石などが置かれた展示物の前だった。

ネフ氏はその時の様子を「まるで測定器が爆発するかのようでした」と語っているが、測定値はラジウム腕時計の放射線量の100倍、通常値の1700倍というあり得ないものだった。

「これは大変だ。何かがおかしい」と直感したネフ氏は、講義を中止し学校に状況を説明。生徒らは直ちに避難を強いられ、校内では専門家による調査が始まった。


ネフ氏は「もしこのウラン鉱石をバッグの中に1年間入れて持ち歩くとすれば、被曝量は210ミリシーベルトとなります。オーストリアでの年間の自然被曝量が2.8ミリシーベルトですから、この数字がいかに高いものかお分かりになるでしょう」と驚きを隠せない。ちなみに被曝量が年間100ミリシーベルトを超えるとガンの発生率が高くなるという。

ザルツブルクではこの事件以来373校で緊急調査が実施され、11の学校から38ものウラン鉱石が見つかっている。現在は放射線量が低いひとつの鉱石を除き、グラーツ大学の放射線ラボに保管されているとのことだ。

出典:http://www.mirror.co.uk
(TechinsightJapan編集部 A.C.)