現地時間2月21日、ベルリン国際映画祭に出品した映画『Minamata(原題)』のワールドプレミアが開催された。レッドカーペットには主演を務めたジョニー・デップ(56)が登場、会見では水俣で起こった悲劇への思いを語った。


映画『Minamata』は、第二次世界大戦中に従軍カメラマンとして活動した故ウィリアム・ユージン・スミス氏が、『ライフ』誌編集長からの依頼により日本の水俣病患者たちのドキュメンタリーを制作する実話を描いたストーリーだ。スミス氏と妻のアイリーン・美緒子・スミスさんが共著した『写真集 水俣』をベースに制作された。

スミス氏は、戦場で受けた傷の痛みを和らげるためにアルコールが欠かせなかった。日本へ取材に行く直前には自殺も考えたほどで、来日後も取材より酒を優先していたそうだ。プレミアの会見でジョニー・デップは、アルコールや薬物に悩まされた自身の過去とスミス氏の姿をこのように照らし合わせた。

「アルコール依存で無茶苦茶になった人物が、人生の目的と新しいページを見つけるんだ。」
「なんだか、聞きなじみのある話だね。」

ジョニー・デップは元妻で女優のアンバー・ハードと2017年に離婚したが、その後アンバーはジョニーからDV被害に遭ったと告白した。
これに対しジョニーは名誉棄損を訴え、裁判が泥沼化。裁判でアンバーは、ジョニーがアルコールや薬物を摂取すると「モンスターになる」と表現したことで話題になった。

そんなジョニー・デップは水俣で起きた悲劇について、次のように語っている。

「この事実は、信じることが不可能なほどだ。誰にも助けられず、何もできなかった。衝撃だった。
この実話に興味がある人がいれば、絶対に伝えるべきだと思った。メディアやアートの力を利用できるなら、事実を伝えて人々に目を向けさせるべきだ。」
「このような映画は、日常的に制作されるものではない。この映画を世にもたらすことで、少しでも人々の関心や興味を呼び起こすことができればいい。」
「映画の出演者は全員、アイリーンとユージンの物語を伝えることに強い責任を感じ、すべての情熱を映画制作に注いだ。」

なおワールドプレミアには、アンドリュー・レヴィタス監督や映画で共演したビル・ナイ、キャサリン・ジェンキンスのほか、真田広之、美波、岩瀬晶子、そして故スミス氏の妻アイリーン・美緒子・スミスさんらが出席した。テーマ曲は坂本龍一が担当している。



画像は『HanWay Films 2020年2月21日付Instagram「Today’s the day Johnny Depp and the Cast and crew of @andrewlevitas MINAMATA are at the @berlinale press conference」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 寺前郁美)