レアル加入以降、なかなかプレイタイムを伸ばせずにいるアザール photo/Getty Images
移籍金に見合わぬ出場時間
昨夏レアル・マドリードが大金を投じて獲得した男は、このまま“失敗補強”の烙印を押されることとなってしまうのだろうか。白い巨人において、ベルギー代表FWエデン・アザールの立場が怪しい。
2019年夏の移籍市場における目玉補強。前年にポルトガル代表FWクリスティアーノ・ロナウドを失ったレアルにとって、アザールの獲得は間違いなく大きな意味を持っていた。しかし、加入から1年半が経過しようとしている今もまだ、同選手はスペインでその真価を発揮することができていない。移籍情報サイト『transfermarkt』算出の市場価値は入団時の1億5000万ユーロから、今や6000万ユーロにまで下落。先日はスペイン『AS』も「アザールはレアル史上最悪の補強になるかもしれない」と、このベルギー代表FWの現状には苦言を呈している。
そんなアザールが周囲から厳しい目を向けられる最大の要因が、稼働率の低さだ。
ボーナス込みで1億1500万ユーロ(約142億円)もの大金を彼の獲得に投じたとされるレアルにとって、これは腹に据えかねる結果と言えるだろう。この移籍金をアザールのプレイタイムで割ると、出場1分あたりの金額はなんと約6万1800ユーロ(約766万円)。現状のパフォーマンスに対して、割りに合わないことは明白だ。
チェルシー時代は加入直後から大車輪の活躍を披露したアザール photo/Getty Images
過去の自分や周囲と比較すればどうなる
参考までに、チェルシー時代の数字も見てみよう。アザールはレアルへと移籍するちょうど7年前の2012年7月1日にリールからブルーズへと加入しているが、当時の移籍金は3500万ユーロ(当時レートで約34億円)だった。この移籍金を加入後1年半時点での主要コンペティションにおけるプレイタイム5636分で割ると、1分あたりは6210ユーロ(約60万円)。チェルシーとレアルでは消化試合数に差があることや、当時のユーロ換算のレートも考慮しなければならないが、その差はおよそ706万円。現在の数字とは文字通り“桁違い”の差がついている。
ほかにも、アザールと同時期にレアルへ加入した選手たちの数字を比較してみる。
もちろん、加入前の期待値に応じて移籍金は高騰していくものであって、一概に他の選手と比べることはできない。しかし、仮にアザールが先ほど例に挙げた選手の中で最も試合に出ているF・メンディと同等のプレイタイムを得ていたとすれば、出場1分あたりの金額は約3万3000ユーロ(約410万円)にまで下落するのも事実。そうした観点から見れば、これは決して無視できない数字と言わざるを得ない。
レアル加入以降、その移籍金に対するコストパフォーマンスの低さが気になるアザール。