オランダで経験値を積み上げる板倉 photo/Getty Images
今季リーグ戦全試合にスタメンフル出場
今季の欧州リーグで活躍を続ける日本人の一人が、オランダのエールディヴィジでプレイする板倉滉である。2019年にマンチェスター・シティからフローニンヘンにレンタルで加わって3シーズン目を迎えた日本代表DFは、ここまでリーグ戦全試合にフル出場と、主力の座を担い着実に経験を積み重ねている。
24歳とこれから選手として脂が乗る時期に差し掛かる板倉にとって、注目されるのが夏のステップアップ移籍だ。厚い信頼を寄せるフローニンヘンのダニー・バイス監督からもその才能を絶賛されるなか、これまでオランダからステップアップをはたした日本人選手の後に続くことができるのかは期待されるだろう。
では、これまでオランダで活躍しステップアップした選手たちを見てみよう。
2010年冬にVVVフェンロからロシアの強豪CSKAモスクワにステップアップしたのが本田圭佑。移籍直後のシーズンで2部落ちを経験するなど挫折も味わったオランダ時代だが、2008-09シーズンには16ゴール14アシストの大活躍でMVPを獲得し、チームの2部リーグ優勝と1部復帰に貢献した。翌シーズンも好調を維持したままより高いレベルでの挑戦を求め、23歳でチャンピオンズリーグに出場していたCSKAモスクワに移籍。その後、ワールドカップで活躍するなど日本代表でも中心を担う選手に成長した。
本田に続いてVVVフェンロから移籍をはたしたのが現在日本代表の主将を務める吉田麻也。2011-12シーズンにレギュラーの座をつかみシーズン通して安定した活躍を見せた日本代表DFは、オーバーエイジ枠としてロンドン五輪で主将としてチームの4位躍進に貢献し、24歳で挑戦の場をイングランドに求めた。7年半在籍したサウサンプトンでは、トビー・アルデルヴァイレルトやフィルジル・ファン・ダイクら、後にビッグクラブへ引き抜かれる選手たちとポジション争いを繰り広げるなど、プレミアリーグにおいて日本人選手の地位を高める働きを見せた。
近年では21歳の若さでステップアップした堂安律が挙げられる。フローニンヘン移籍1年目からサポーターが選ぶシーズンMVPに選出されるなど着実に経験を積んだ日本代表MFは、2019年夏にエールディヴィジの強豪PSVからの誘いを受け移籍した。
彼ら3人の移籍の特徴を見てみると、本田に関してはCL出場クラブでの経験を優先し、吉田はリーグレベルの高さを求めての挑戦、堂安は同リーグでの強豪への移籍とそれぞれのパターンに分かれている。同じステップアップでもリーグ全体のレベルを考えるのか、それとも欧州カップ戦に出場できるようなクラブを求めるかで移籍先やその後のサッカー選手としてのキャリアにも違いが見られてくるだろう。
オランダで確かな実績を積み重ね評価を高める板倉がどのようなステップアップを求めサッカー選手としてのキャリアを築いていくのか。24歳の日本代表DFのこの夏の去就には注目したい。