今やチームに最も欠かせない選手のひとりとなっている旗手 photo/Getty Images
復帰戦となった徳島戦で抜群の存在感
メダルに手が届かなかったオリンピック、切磋琢磨してきた同世代の仲間たちとの別れ……。今夏に様々なことを経験し、一回りも二回りも大きくなろうとしている頼れる男がチームに帰ってきた。
18日に行われた明治安田生命J1リーグ第29節で、徳島ヴォルティスの本拠地へ乗り込んだ首位の川崎フロンターレ。ベスト16で敗退することとなったACLから中3日と難しい状況ではあったが、FW知念慶の2ゴールなどで3-1とし、嫌なムードを払拭してみせた。他会場で行われた試合で2位の横浜F・マリノスが敗れたため、1試合未消化ながら勝ち点差を「4」まで広げている。
そして、この一戦で存在感を放っていたのが、怪我から復帰してインサイドハーフに入った旗手怜央だ。今季初黒星を喫した第26節アビスパ福岡戦で前半半ばに負傷し、戦線離脱を余儀なくされていた旗手。約1ヶ月ぶりのピッチではあったが、徳島戦では持ち味である縦への意識や推進力で早速チームを牽引してみせる。1-1で迎えた42分には、ペナルティエリア手前でボールを受けると、3人に囲まれてスペースがない中でも華麗なターンで前を向き、勝ち越し弾の起点を作った。
また、フィジカルの強さを活かした安定感のあるボールキープ力、どこからでもゴールを狙うシュート意識、あらゆるところに顔を出すポジショニング能力など、改めてチームに欠かせない選手であることを証明してみせたのではないか。相手との接触によって右太ももを痛め、82分にピッチを退くこととなった。しかし、試合後に鬼木監督が同じくこの一戦で負傷交代していたマルシーニョの状態とともに「まだちょっと僕の方も確認できてはいませんが、2人はそんなに問題ではないんじゃないかと思っています」と明かしており、今後への影響は少なそうだ。
1-1のドローで終えた第25節サンフレッチェ広島戦後には、ベンチで人知れず涙を流している姿も見られた。もともと責任感の強い選手だけに、旗手が今抱いている想いや背負っているプレッシャーの大きさは計り知れない。