レヴァークーゼン相手の勝利を喜ぶクニアト(左) photo/Getty Images
選手としての実績はほぼ無し
まさかDFBポカールの決勝まで勝ち進むとは誰が予想しただろうか。
今季ドイツの国内カップであるDFBポカールで快進撃を続けていたアルミニア・ビーレフェルトは、先日行われた準決勝でレヴァークーゼンを2-1で撃破。
レヴァークーゼンは昨季王者であり、アルミニアは明らかな格下だった。それだけにこの結果はかなりのサプライズと言える。
アルミニアといえば、以前は奥川雅也、堂安律も在籍していたクラブだ。しかし現在はドイツ3部となるドリッテ・リーガに所属していて、近年は苦しい戦いを続けてきた。
それが今季のDFBポカールではウニオン・ベルリンを撃破したところから、フライブルク(3-1)、ブレーメン(2-1)、レヴァークーゼン(2-1)とブンデスリーガ1部のクラブを次々と撃破。シュツットガルトと決勝で激突することになった。
いったいアルミニアに何が起きているのか。注目を集めているのは、チームを指揮する39歳のドイツ人青年監督ミシェル・クニアトだ。同監督は若い頃に選手としてゴスラーSCやSCヴィーデンブリュックに在籍していた経験を持つが、選手としてはほぼ実績がない。2014年より指導者の道へ進み、パーダーボルンのセカンドチームなどで経験を積んできた。アルミニアを指揮するのは2023年からだ。
現在ドイツ代表を指揮するユリアン・ナーゲルスマンを思わせるキャリアだが、ドイツからは時折こうした指揮官が出てくる。
クニアトはレヴァークーゼン相手にも攻撃的な姿勢を貫き、恐れることなくプレスをかけ続けた。
そこから36.56km/hのトップスピードを誇るとされるFWジョエル・グロドウスキーのスピードをシンプルに活かすなど、1部のクラブ相手に堂々の戦いを披露している。
独『Bild』もクニアトとは誰だと注目しており、また1人ドイツから面白い青年監督が出てきた。
「レヴァークーゼンは97分にわたって命懸けで戦うビーレフェルトの選手を相手に対抗する術を見つけられなかった。指揮官クニアトの興味深いところは、参考にしている指揮官がいないことだ。彼は常に独自のやり方でチームを指導してきた。当初は彼に懐疑的なファンもいたが、今では彼のために記念碑を建てようとしている。2部リーグへの復帰が実現すれば本当にそうなるだろう」
リーグの方でも4位につけており、昇格の可能性がある。将来的にクニアトはブンデスリーガ1部のクラブに引き抜かれる可能性があり、3部のクラブがDFBポカール決勝進出は衝撃が大きい。果たして決勝でシュツットガルト相手にどう戦うのか。とんでもないミラクルで残り1勝だ。
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