笹川友里がパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「DIGITAL VORN Future Pix」(毎週土曜 20:00~20:30)。この番組では、デジタルシーンのフロントランナーをゲストに迎え、私たちを待ち受ける未来の社会について話を伺っていきます。
5月2日(土)の放送は、先週に引き続き、株式会社JALカード 代表取締役社長CEOの西畑智博(にしはた・ともひろ)さんが登場。顧客データをベースにしたAI活用、企業DX成功の鍵について話を伺いました。

「AIバーチャル顧客」で的確な提案を実現…JALカードCEO...の画像はこちら >>

(左から)西畑智博さん、笹川友里


西畑智博さんは1984年に東京大学工学部を卒業後、日本航空株式会社(JAL)に入社。1995年からはJALにおけるeビジネスの立ち上げと推進を担いました。2014年に執行役員に就任し、2018年からイノベーション推進本部長、2019年から常務執行役員・デジタルイノベーション本部長として、DXと新規事業創造を推進。2022年6月に現職に就任し、CEOとして、データ・ビジネス・カンパニーへの進化を掲げ、データ・ドリブン経営の実現に取り組んでいます。

◆マイルの仕組みとDXは相性がいい

今回は西畑さんに“DX領域”について話を伺いました。西畑さんは、DXの大きな特徴として“24時間365日、いつでもどこでもお客さまとつながれること”を挙げ、「マイル(搭乗などでたまるポイント)は、まさにDXと非常に相性がいい仕組み」と言います。

その理由について「JALが発行するマイルはデジタルなポイントのようなもので、数字で動いていくものです」と説明します。JALカードは、JALグループ利用者がさまざまな場所でカードで決済するたびにマイルが貯まるたまる仕組みを構築しています。

西畑さんが重視しているのがたまったマイルのつかい道です。飛行機に特典航空券として乗れることはもちろん、例えば、クラシックコンサートや歌舞伎公演のチケット、オペラ、ミュージカルなど、マイルを交換することで楽しめる仕組みを数多く用意しています。


「“非日常”というものを我々は意識しているので、普段できないようなワクワク体験をマイルで楽しんでもらいたい」と強調します。これに笹川も「生活がより豊かになっていくというか、彩りが増えるようなご提案をされているんですね」とコメントします。

◆AIが変えるマーケティングの進化

続いて、西畑さんは、クレジット業界におけるAI活用について大きく2つの軸があると言います。その1つ目は生産性を上げて便利にすること、もう1つはマーケティングに活用し、売り上げを伸ばしていくことです。

そのなかで、より力を入れているのがマーケティング領域での活用です。既存の顧客の統計データをもとに、興味関心や年代、性別などからペルソナ(※)を作成し、その人物像を“AIバーチャル顧客”として再現。さらに、そのペルソナ同士をAI上でディスカッションさせます。
※ペルソナ…JALカード会員情報(属性・利用明細データ)を基に購買店舗・サービス・種別でクラスタリングをおこない作成したデータ

これは、従来のマーケティングでおこなわれてきた市場調査を進化させたような取り組みです。新しいサービスを始める際、実際に顧客を集めて「この商品はいいと思いまですか」「買いますか」と意見を聞く手法は昔からありますが、人を集めるには時間も手間もかかります。それを、JALカードの豊富なデータから“AIバーチャル顧客”を作成することで、どんな人に提案すれば響くのかを見極め、的確なアプローチによって売上を伸ばしていく狙いです。

西畑さんは「この取り組みをNTTデータさんと一昨年から一緒にプロジェクトを組んでやっていまして、進化を続けているところです」と補足します。企業側は、本当に必要としている人に商品を届けることができ、利用者側も、自分に合った提案をちょうどいいタイミングで受け取ることができます。


さらに、マイルという付加価値が加わることで、旅や日常の体験はより豊かなものになっていきます。西畑さんは「うまくいかないこともマーケティングを学ぶ勉強だと思っています。そういう世界のほうがおもしろいと思っているんですよね」と前向きな姿勢を崩しません。

◆「WILL・CAN・MUST」で切り拓くキャリア

組織を率いるうえで大切にしている考え方として、西畑さんは“個の力とリーダーシップ”を挙げます。若い頃は、まず個人としての力を磨くことが重要で、年齢や立場が上がるにつれて、求められるリーダーシップの比重が大きくなります。

さらに、社員にも伝えているのが「WILL・CAN・MUST」というフレームワークです。「WILL」はやりたいこと、「CAN」はできること、そして「MUST」は会社や社会から求められること。この3つの輪が重なる場所こそが、自分のやりがいやモチベーションを最も感じられる場所であるという考え方です。

そのうえで、西畑さんは、この3つの輪の重なる場所を目指すために、いろんな準備をするべきとし、「会社とか組織はちゃんと人を見ているから、自分のWILLを宣言しながら、CANを続けて、(WILLとは)違うMUSTだったとしても、言い続けていれば、必ず3つの輪が重なる仕事がやってくる。そこでできるかどうかが私は重要だと思っています」と話します。

そして最後に、番組恒例の“テクノロジーが変える近未来の風景”について伺うと、西畑さんは「ますます人間は便利になっていくと思いますし、そうなるように、テクノロジーを利用していかなきゃいけない」と言及します。また、大切なのは、便利になること自体ではなく、クリエイティブなこと、幸せに生きることに力を注げる社会こそが理想だとし、「『豊かな人生を送りたい人の、一番の理解者。
』がJALカードのブランドスローガンですので、そこを目指してこれからも頑張ってまいります」と語りました。



次回5月9日(土)の放送は、三井不動産株式会社 執行役員 DX本部長 宇都宮幹子さんをゲストに迎えてお届けします。身近な街や空間を手がける三井不動産が、不動産×DXで描く未来の都市の姿とは?

<番組概要>
番組名:DIGITAL VORN Future Pix
放送日時:毎週土曜 20:00~20:30
パーソナリティ:笹川友里
番組Webサイト: https://www.tfm.co.jp/podcasts/futurepix/
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