6月3日、金融庁が「年金プラス2000万円必要」と示して以来、多くのメディアが老後に向けた貯蓄について取り上げています。確かに「2000万円」というのは、かなりインパクトのある数字。

焦りを感じた方もいれば、いまひとつ実感がない、という方もいるかもしれません。



そこで今回は、老後に向けてお金を貯める際に知っておきたいデータや、貯蓄がうまくいきやすいコツをお伝えします。



■老後2000万円問題への反応は?



ことの発端は、2019年6月3日に金融庁が発表した『市場ワーキング・グループの報告書「高齢社会における資産形成・管理」( http://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/tosin/20190603.html )』。



このなかで「高齢夫婦無職世帯の平均的な姿で見ると、毎月の赤字額は約5万円となっている」「収入と支出の差である不足額約5万円が毎月発生する場合には、20年で約1300万円、30年で約2000万円の取崩しが必要になる」といった提言がされたのです。



これに対し、「各自で2000万円を用意しておかなければならないのか」「年金はどうなったんだ」という批判が殺到。7月2日には、審議会の報告書をまとめた担当局長が退任する事態となりました。



この騒動に、世間の人々はどのような印象をもったのでしょうか。総合旅行プラットフォームを運営する㈱エアトリが実施した『「老後の貯金」に関するアンケート』(10~70代の男女959名対象、2019年6月実施)を見てみましょう。



この調査の結果、「老後に2000万円の貯金が必要になる」というニュースに対し、56.2%が「以前からそうなると思っていた」と回答。さらに、回答者の74.2%が「この報道を知った後に何もしていない」と回答しています。



「実感がない」「そうはいっても、どうすることもできない」という層も含まれているでしょうが、この結果を鑑みると、世の中の約半数の人にとって「老後2000万円必要」というのはそこまで衝撃的な数字ではなかった……という分析もできます。話題になる前から、すでに人生100年時代を見据えて、早々に貯蓄に取り組んでいた人が少なからずいることも予想できますね。



■目安額を知るには「ライフプラン作り」から



実際に2000万円を用意するとなれば、早いうちから老後に向けた備えに取り組む必要があります。「まだ何も始めていない」という方は、ライフプランを立てるところからスタートするといいでしょう。



ライフプランを立てるには、まず「老後資金以外に必要なお金の存在」を把握することが大切です。



今後予想される費用を、すべてリストアップしていきましょう。具体的には、「教育費」「マイホームの購入にかかる費用」などに加え、「旅行代」「マイカーの購入費」など自身に必要なものをすべて購入しそうな時期も併せて書き込んでみてください。このスケジュールを参考に、「何歳までにいくら」という目標貯蓄額の目安を定めておきましょう。



■お金を貯めるには習慣づくりから



ライフプランに沿った目標貯蓄額を定めたら、次は「お金が貯まる習慣」を身につけていきましょう。具体的なヒントを挙げていくので、ぜひ実践してみてくださいね。



家計簿をつける

家計簿をつけるメリットは、「自分の出費の癖」を把握できること。細かく記入するのが煩わしいと感じる方は、ノートに毎日の支出を書いておくだけで充分です。思いのほか使いすぎている項目や削減すべき項目を発見できたり、小さな節約を楽しめるようになったりと、さまざまなメリットが期待できます。



お弁当を用意する

「お昼は毎日外食している」という方は、ぜひお弁当を作ってみましょう。たとえば1日1000円のランチを食べていた場合、300円でお弁当を作るようにすると、その差額700円×20日=月1万4000円を貯蓄にプラスできます。年間で考えれば、1万4000円×12カ月=16万8000円。

お弁当づくりの習慣を継続できれば、思いのほか大きな額を生み出すことができます。



購入予定リストを作成する

家にストックがある日用品を新たに買ってしまった、その場の勢いで不要なものを購入した……といった経験はありませんか?



このような浪費は、普段から「購入予定リスト」を作っていれば防ぐことができます。買うべきものの金額や時期を定期的にメモしておくと、予定外の商品での浪費を避けられるでしょう。



■まとめ



2000万円というのは、あくまでも一般的な目安。これまでの就労状況などによっても老後に必要な額は大きく変わってきますので、自分の状況を加味した額を試算してみると良いでしょう。



その上で、お金を貯める習慣がしっかり身に付けば、思っていた以上に老後資金を貯蓄できる可能性もあります。

「2000万なんて金額は無理だ」と最初から諦めてしまわず、今できることからコツコツと取り組んでみてくださいね。



【参考】



『「老後の貯金」に関するアンケート』旅行サイト「エアトリ」調べ