隣の芝生は青く見えるといいます。



自分が勤めている会社より、他の会社のほうが良く見えてしまう…それが大企業ならなおさらでしょう。

そんな大企業に勤める人には羨望の眼差しが注がれやすいようですが、人が羨む大企業の中の人にも悩みや不満があるようです。実際に、大企業を辞める人も少なくありません。



今回は、大企業ならではの「がっかり」ポイントや、大企業からの転職を遂げた人たちが抱いていた不安の正体を紹介します。



隣の芝生が青く見える人たちの視点



リスクモンスター(株)が第2回「隣の芝生(企業)は青い」調査( https://www.riskmonster.co.jp/pressrelease/post_151/ )を20~69歳の男女個人1,000人に実施しています。知人や友人の勤め先のことを羨ましいと思ったことがあるかという質問に対し、41.7%の人が「ある」と回答していました。



羨ましいと最も感じているのは…

知人や友人の勤め先に対する羨望の有無を回答者の内訳ごとに見ていくと、男性(37.8%)よりも女性(46.0%)、既婚者(40.5%)よりも未婚者(42.8%)の回答が高く、年齢別で見ると、20代(48.5%)がもっとも高い回答率でした。



何を持って羨ましいと感じているかというと、「給与が高い」「福利厚生が充実している」「会社に安定性がある」などのポイントを挙げている人が多かったようです。



羨ましいと思う企業はあの会社!

知人・友人の勤め先を羨ましいと感じている人に対して、企業名を調査したところ、1位「国家公務員」(19.5%)、2位「地方公務員」(18.9%)、3位「トヨタ自動車」(6.5%)、4位「パナソニック」、「三菱商事」(2.1%)となっており、公務員以外の企業を見ると、知名度のある大企業の名が挙がりました。



このように多くの人からの羨望の的となっている大企業で働く人たち。実は、大企業で働いていても辞めてしまう人がたくさんいます。大企業にも、芝生の外からは見えにくい大企業特有の実情があるようです。



■大企業にあるがっかりポイント



誰もが憧れる大企業に就職できても、想像と違っていたために退職した人もいます。一体どんな点にギャップを感じたのでしょうか。



職場のメンバーとばかり過ごしがち

「世界をステージに働きたいと金融機関に入ったが、金融業自体が国内志向の事業ばかりだった。世界どころか社内から出ることもなく、同じ職場のメンバーとばかり過ごす生活に嫌気がさした」というAさん。



Bさんは、「職場の閉鎖的な環境。ずっと自分の席で働き、お昼はいつも同じメンバー。毎日同じことの繰り返しで、うんざりした」と語ってくれました。



上下関係や年功序列が厳しい

「社長に逆らえない上司の姿が印象に残っている」



「若手にも大きな役割を与えるという会社に入ったが、頑張って結果を出しても給与に反映されなかった」



という声も…。もっと認められたい、どんどん挑戦したいという気持ちはあるのに、その会社では限界があることに不満を感じるようです。



変わらない、変えられない規則やルール

Cさんは、「幅広い事業を手掛け、新たなジャンルにも積極的に挑戦する企業だと思って入社しました。ところが、実際は古くからのルールばかり。やりたいことも却下の連続で驚いた」と話してくれました。



■大企業に勤める人たちが抱える不安とは?



一流企業を飛び出した人たち。働いていたときに感じた不安の内容を聞かせてもらいました。



成長できないかも…

大手IT企業で働いていたAさんは、会社の同僚や先輩、上司を見ていて不安になったといいます。



「中途採用で入社。大手有名企業だから社員は本当に有能で、刺激的な毎日が送れると思っていました。しかし、実際はそうではなかった。デキる人たちはほんの一握り。

その人たちにぶら下がって生きているだけの人が9割で刺激がなかった」



実は転職してもAさんは同じ思いを経験したようで、「大企業は数が多いぶん仕事ができない人も多い。そういう人たちに飲み込まれて生きていくことになりそうで怖かった」といいます。



現在は外資系のIT企業に転職して張りのある仕事をしているそうです。



ポストが空きそうにない

「誰でも受け入れる、仕事をしない人、成果があがらない人を放っておける大企業特有の寛容さで、ポストが全く空かない。次のステージに進めない」と語ってくれたのは大手電機メーカーで勤務していたBさんです。



上司から、ずっと「次は上の役職にあげてやる」と言われ続けていたものの、3年目に「ポストに空きが見つからないからだめだった」とため息をつかれたときに転職を決意。転職先ではチームマネージャーとして活躍しています。



自分の能力への不安

大手外資系金融に勤めていたDさん。



「会社の看板を背負っているから自分は稼げているのではないか、もし放り出されたら自分は稼ぐ術や力があるのだろうかとキャリアを積むほど不安になっていった」と話します。現在、Dさんは独立して金融関係の仕事をしています。学生相手に金融や経済の基礎知識を教えたり、本を書いたり、セミナー講師をしたりと毎日大忙しの様子。



「金融のことを叩きこんでくれた会社には本当に感謝している」と語る姿が印象的でした。



大企業を辞める人は、給料や福利厚生などに不満は少なくても、安定であることを前提とした組織体制や、規則的な仕事内容、変わらない慣習などに不満を感じてしまう傾向があるようですね。上昇志向が高く、少人数で実力が認められやすい成果主義型の人ほど、大企業という大きな基盤に甘んじることなく、更なるステージを求めるのかもしれません。



■まとめ



ことさら青く見える大企業の芝生。でも大企業だからこそ経験する不安や不満もあるようですね。



企業規模や知名度ではなく、自分がどんな働き方を続けていくのか、自分のキャリアをどのように築いていきたいかを考えることが大事なのかもしれません。自分の軸を持って就職・転職先を選んでいきたいですね。



参考

リスクモンスター(株)第2回「隣の芝生(企業)は青い」調査( https://www.riskmonster.co.jp/pressrelease/post_151/ )



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