偏向報道とは、テレビや新聞などマスメディアによって恣意的に情報操作や印象操作された報道のことで、結果的に国民を自分たちの都合のよい方向に誘導し、間違った認識を持たせることを目的にしたものである。



安倍政権は叩くがアベノミクスの成果は報道せず、加計学園や沖縄の米軍基地、徴用工訴訟、韓国軍による海上自衛隊機への火器管制レーダー照射事件など、安倍政権やアメリカ批判はするものの、中国・韓国批判はしないという事例が多いのが特徴的だ。



そんな偏向報道を問題視している、テレビの偏向報道を監視する団体「放送法遵守を求める視聴者の会(以下:視聴者の会)」が、12月上旬に有料会員と無料会員に対して「視聴者の会が株式を購入するべき偏向報道番組のスポンサー企業」についてアンケートを実施した。



これは偏向報道のスポンサー企業の株を購入し、株主総会で注意喚起活動を行うのを目的としている。対象となったのはテレビ朝日『報道ステーション』、TBS『NEWS23』、TBS『サンデーモーニング』の番組に出稿している企業。



まず、テレビ朝日『報道ステーション』だが、セブン&アイHD(61%)、サントリー(27%)、大東建託(6%)、ヤマダ電機(6%)となり、圧倒的にセブン&アイHDの株式購入を希望する会員が多かった。



テレビに偏向報道7割、偏向番組スポンサーの商品を買いたくない3割

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報道ステーションのスポンサー企業(画像提供:視聴者の会)




次にTBS『NEWS23』だが、Panasonic(48%)、ライオン(31%)、小林製薬(10%)、三菱自動車(8%)、アートネイチャー(3%)で、半数近くがPanasonicの株式購入を希望。



テレビに偏向報道7割、偏向番組スポンサーの商品を買いたくない3割

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NEWS23のスポンサー企業(画像提供:視聴者の会)




最後にTBS『サンデーモーニング』だが、ダイワハウス工業(33%)、アース製薬(25%)、三井不動産(24%)、日本海運(日本通運)(18%)で、『報道ステーション』『NEWS23』の結果と比べると、票がわかれる結果となった。



テレビに偏向報道7割、偏向番組スポンサーの商品を買いたくない3割

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サンデーモーニングのスポンサー企業(画像提供:視聴者の会)



■百田尚樹氏、上念司氏、ケント・ギルバート氏などで構成



そもそも視聴者の会とは2015年11月に発足した団体で、代表理事は作家の百田尚樹氏、理事・事務局長は経済評論家の上念司氏、理事は米国カリフォルニア州弁護士のケント・ギルバート氏、ジャーナリストの有本香氏、顧問には経済学者の田中秀臣氏といったメンバーで構成されている。



視聴者の会の目的は、「国民にとって大事な話を正確に伝え、フェアな議論を放送の中で行ってほしい。視聴者の知る権利に応えていただきたい」というもので、放送法第4条が求めている放送の公平さや、事実の正確な報道を訴える視聴者の会の活動は国会でも取り上げられている。



■7割の人が「テレビに偏向報道がある」



視聴者の会では、平成30年3月30日と4月1日の2日間、テレビの一般視聴者を対象に偏向報道に対する意識調査を行っている。



対象は日本在住の男女で、調査方法はテレビや新聞などが世論調査を行うときに使うRDD方式(Random Digit Dialing)という手法を利用。これはコンピュータで無作為に数字を組み合わせて番号を作り電話をかける方法だ。

電話番号には固定電話と携帯電話の両方が含まれる。



RDD方式で日中に電話に出るのは高齢者が多いため、より精度の高い調査を実施するためにも補正したという。どういう補正かというと、総務省が行っている人口ピラミッドに基づいて、世代別のサンプル数を決め、各世代のサンプル数に達するまで電話し続けるというものだ。



電話をかけた数は18,543件で、有効番号3,949件のうち、「拒否」「18歳以上の人が期間中不在」を除いた、有効回収は1,000件となった。調査の結果、7割以上の人が「テレビに偏向報道がある」と回答し、「偏向報道がたくさんあると思う」については、30、40代が約38%、50代が約27%、60代が約15%となった。



■3割の人が「偏向番組スポンサーの商品を買いたくない」



さらに3割の人が「偏向番組スポンサーの商品を買いたくない」と回答。

高齢者層ほどテレビへの信頼性も厚いため、不買傾向は低いのではと予想していたのだが、意外にも60代が一番高く約40%、次いで50代の約30%だった。逆に「絶対に買いたい」「買いたい」をあわせても全体で10%もない。



「この調査費用には1,000万円ほどかかったため、一時的に会計が赤字になり、3月末までに株が買えず株主総会に行けなかった」と上念氏。



さらに視聴者の会ではウェブ調査も実施し、8割が「テレビに偏向報道がある」、4割が「偏向番組スポンサーの商品を買いたくない」と、電話調査よりもさらに厳しい結果となった。



■テレビ視聴時間は女性のほうが男性より1時間長い



男女でのテレビ視聴時間の違いでは、1日あたりの視聴時間は、60代以上女性が4.35hと一番長く、次いで60代男性の3.67hで、一番短いのが18~29歳の男性の1.73hだった。全世代で男性より女性のほうがテレビを見る時間が1時間ほど長い。



このことから安倍政権の一番の反対者は女性の60歳以上で、逆に支持しているのは男性の40歳以下で、日経新聞のレポートとぴったりあっていると上念氏は推測。



以上の調査結果から考えると、偏向番組に広告を出すということは、企業イメージを低下させるだけでなく、不買運動を誘発してしまう可能性があると言える。テレビ離れと言われているが、いまだにテレビの影響力が強大なことも確かだ。今回の発表を受けて、偏向番組やその番組のスポンサー企業の動向に注視したい。