ガラス価格は4月に上昇も需給バランスは脆弱、長期的には最終需要の回復がカギ
太陽光発電用ガラスの価格は4月にようやく上向いたが、主に在庫の増大が響き、バリューチェーンの大半で採算性が悪化した。BOCIはガラスに関しても受注の減速と段階的な生産力の拡大を背景に、在庫調整のミニサイクルが4月で途切れる可能性を指摘。
中国シリコン業協会(CSIA)によれば、N型のポリシリコン価格は今週、1kg当たり60元の大台を上抜けたが、P型は数週間前に比べて19%下落した。在庫水準が膨らむ中、ウエハーメーカーはよほど安価でない限り、新規の発注に消極的。
BOCIによれば、高コスト企業は短期的に生産調整を迫られる可能性がある。ポリシリコン、ウエハー、モジュールの価格は大半の企業(mg-Si=ケイ化マグネシウムなどのサプライヤーも同様)で現金コストに近い水準にあり、下落余地は限定的とみられる。
うちガラス価格は3月の急ピッチの在庫調整(5週間で31%削減)を背景に、ようやく上向きに転じ、価格の上昇を実現させた例外的なケースとなったが、BOCIは二つのリスクを指摘している。うち一つは、4月の1平方メートル当たり1.5-2.0元の値上げは全体像を反映しておらず、前面ガラスのみの数字。背面ガラス価格は同1.0元低下し、全体の平均値上げ幅は同0.5元に届かなかった。
太陽光発電ガラス価格に対する楽観見通しは投資家だけでなく、業界関係者にも広がったが、3月に稼働を開始した生産施設は日産計4,400トン規模(世界生産量の約4%)と、15カ月ぶりの高水準。建設中の施設も多く、BOCIは今後、需給バランスが容易に悪化する可能性を指摘。
(Bank of China int.)