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著者の窪田 真之が解説しています。

以下のリンクよりご視聴ください。
「 利回り3.4%、NTT「買い」継続、エヌビディア祭り佳境。どうなる日経平均? 」


エヌビディア株が決算発表後に急騰、日経平均は上値重い

 先週(営業日5月20~24日)の日経平均株価は、1週間で141円(0.4%)下がって3万8,646円となりました。 エヌビディア(NVDA) 株の急騰を受けて、先週はナスダック総合指数が最高値をさらに更新しましたが、日経平均は上下とも大きくは動かなくなりつつあります。


日経平均・ナスダック総合指数の週次推移比較:2021年末~2024年5月24日
エヌビディア祭り、佳境に。日経平均どうなる?(窪田真之) 
出所:2021年末の値を100として指数化、QUICKより楽天証券経済研究所が作成

 先週最大の注目イベントは、米国半導体大手エヌビディアの決算発表でした。エヌビディアが22日に発表した2024年2-4月(2025年1月期第1四半期)決算は、売上高が前年同期比3.6倍の260.4億ドル、純利益は7.3倍の148.8億ドルで、市場予想を大幅に上回り、株価は決算を好感して、急騰しました。


エヌビディア株の週次推移:2022年末~2024年5月24日
エヌビディア祭り、佳境に。日経平均どうなる?(窪田真之) 
出所:ブルームバーグより楽天証券経済研究所が作成

 エヌビディア株が決算後に上昇するか下落するかによって、「エヌビディア祭り」【注】とも言われる、米国の生成AI関連株ラリーが続くか、いったん終わるか、決まると考えられていました。

生成AI関連の中核株とみられているエヌビディアの株価動向が、米国株全体に与える影響が大きく、さらに日本株にも与える影響も大きいと考えられていました。


【注】エヌビディア祭り
エヌビディアを中核とした、米国の生成AI関連株のラリー(上昇)を、「エヌビディア祭り」と表現することがあります。


エヌビディアは、生成AI向け半導体の9割以上を独占的に供給、生成AI向け半導体の需要急増に供給が追い付かない中で、異例の高い利益率を得ています。生成AIが世界中のビジネスを変革させる期待から、株式市場ではその関連銘柄が急騰して世界の株式市場をけん引しています。


ただし、生成AIそのものは現時点でまだ開発段階で、大きな利益を生んでいるわけではありません。生成AI関連で実際に高い利益をあげているのは、生成AIへの投資急増で恩恵を受けるエヌビディアなどに限られることから、エヌビディアが生成AIラリーの中核となっています。


 注目のエヌビディア決算が強く、エヌビディア株が急騰したことによって、ナスダックが先週も最高値を更新したことが、日本株にとっても強材料となりました。日本でも、半導体製造装置など、エヌビディア関連株が上昇しました。


日経平均は小動き

 米国株が強いことが、日本株にとっても強材料となっています。ただし、日本株は足元、強弱材料が拮抗(きっこう)し、上下とも大きくは動きにくくなっています。


日本株の主な強材料

【1】米景気堅調、米国株が強いこと(米金利高止まりは弱材料)
【2】日本も景気堅調、前期(2024年3月期)決算は、想定以上に強かった


日本株の主な弱材料

【1】日本企業の業績モメンタム低下。今期(2025年3月期)業績予想が保守的(低め)
【2】中国景気低迷(足元、回復期待はあるが不透明)、米中対立による世界経済分断


 足元、特に注目されているのは、日本の企業業績のモメンタム低下です。ちょうど、2024年3月期決算が出そろいました。

前期(2024年3月期)実績は想定以上に強かったが、今期(2025年3月期)の企業業績(会社予想)が保守的(低め)であることが、日本株の上値を抑えています。


東証プライム上場3月期決算、主要841社の連結純利益(前期比%):2020年3月期~2025年3月期予想
エヌビディア祭り、佳境に。日経平均どうなる?(窪田真之) 
出所:楽天証券経済研究所が作成、2025年3月期について会社予想を発表しない一部企業については市場予想を使用

日本株の投資判断

 日本株は割安で、長期的には上値余地が大きいと考えていますが、目先、円高に反転するときや、米国株が反落するときは、ショック安となるリスクもあり、注意が必要です。


 時間分散しながら、割安な日本株を買い増ししていくことが、長期的な資産形成に寄与すると考えています。


 先週(5月23日)に、予想配当利回り3.4%の NTT(9432) の買い推奨レポートをお届けしました。個別銘柄に投資する場合、先行きに不透明感がある時は、NTTのような景気変動の影響を受けにくいディフェンシブな高配当利回り株に投資するのもよいと思います。NTTの投資判断について、詳しくは、以下のバックナンバーを参照してください。


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(窪田 真之)