クイズを通じてふるさと納税の制度内容を学びます。ふるさと納税とは、応援したい自治体に寄付をして返礼品を受け取る制度です。
今日のクイズ
今日は、ふるさと納税についてクイズを出します。
ふるさと納税とは、自分が応援したい自治体(市区町村・都道府県)を選んで寄付ができる制度のことです。寄付した自治体から返礼品が贈られてくるという魅力もあります。一定の条件を満たせば、ふるさと納税の寄付金控除が受けられます。
そこで今日は、ふるさと納税クイズを通じて、制度内容を理解していただこうと思います。
それではクイズです。
ふるさと納税について説明した以下【1】~【8】のうち、七つは正しい内容ですが、一つだけ誤った内容です。誤った説明は【1】~【8】のうち、どれでしょう?
【1】ふるさと納税とは、自分が応援したい自治体(市区町村・都道府県)を選んで寄付をする制度です。「ふるさと納税」寄付金控除が受けられます。寄付した自治体から返礼品が贈られるという魅力もあります。ただし被災した地方自治体などに「返礼品無し」で寄付することもできます。
【2】ふるさと納税をした自治体から寄付者に贈られる「返礼品」の仕入れ額には上限も下限もありません。
【3】ふるさと納税をした自治体から贈られる「返礼品」の仕入れ額には、寄付金額の3割以下というルールが定められています。また、返礼品の調達費のほかに送料や仲介サイトなどに支払う手数料も合わせて、寄付金額の5割以下と定められています。
【4】ふるさと納税の寄付金控除を受けると、実質2,000円の負担でふるさと納税ができます。年収などの条件によって決まる上限額の範囲内で寄付をすれば、寄付額から2,000円を差し引いた金額だけ自身の納税額(所得税および住民税)が減ります(ほかに寄付金控除を受けていない場合)。
例えば、上限内で5万円ふるさと納税をすると、ご自身の納税額が4万8,000円減ります。5万円寄付して4万8,000円納税額が減るので、実質2,000円の負担で5万円寄付したのと同じになります。
【5】ふるさと納税の寄付金控除を受けるためには、「確定申告」をするか、「ワンストップ特例制度」を利用するか、どちらかの手続きが必要です。
【6】1年間にふるさと納税をする自治体の数が五つ以内であれば、確定申告をしなくても、ワンストップ特例制度を利用することでふるさと納税の寄付金控除を受けることができます。
【7】ふるさと納税で人気を集めている返礼品に「訳あり」があります。「訳あり」返礼品には、傷あり・傷もの、規格外、不ぞろい品などがあります。いずれも流通市場には出せない、あるいは出しても著しく価格が低くなるものです。
味や品質は変わらないのに価格が低くなるものが多く、ふるさと納税の返礼品として「量を多めに入れられる」場合があります。生産者にとっても、廃棄せずに返礼品として出荷できるというメリットがあります。
【8】ふるさと納税返礼品の「訳あり」と似たコンセプトで、「緊急支援品」も人気を博しています。緊急支援品は、新型コロナウイルス感染拡大の際に消費が大幅に落ち込んだ外食向け高級食材などが中心でした。最近コロナ関連の緊急支援品は減る一方で注目が高まっているのは、中国・ロシアの輸入制限によってダメージを受ける水産物です。
「訳あり」と「緊急支援品」は厳格な使い分けがあるわけではないので、一つの返礼品が「訳あり、緊急支援品」と両方の分類に入っている例もあります。いずれも、フードロス削減・生産者支援に加え、支援品としての魅力から注目されることがあります。
正解をお伝えする前に、以下、ふるさと納税の最近の話題をお伝えします。
生活防衛型のふるさと納税が人気に
日本でもインフレ率が高まりつつあります。2月時点で総合インフレ率(CPI(消費者物価指数)総合指数の前年同月比上昇率)は4.0%まで高まっています。中でも上昇率が高いのは、お米などの食料品や電気料金などの「生活必需品」です。生活実感としてのインフレは非常に高くなっています。
そうした中で、生活防衛としてふるさと納税を活用する人が増えています。
価格高騰で驚かれている「お米」は常に人気です。トイレットペーパーやキッチン用品・バス用品などの生活必需品・消耗品に注目する人が増えています。また、「訳あり」「緊急支援品」も常に人気です。
正解
「ふるさと納税」について誤っている説明は【2】です。
ふるさと納税をした自治体から寄付者に贈られる「返礼品」の仕入れ額には上限があり、寄付金額の3割以内と定められています。
かつて、ふるさと納税の獲得競争が過熱した際に寄付金額を超えるような返礼品が登場したことから、2019年に上限規制ができました。このルールを守らない自治体はふるさと納税制度から外すこととされました。
また、地方振興という趣旨から、返礼品は地元産品に限定するというルールも同時にできました。
ここからは、ふるさと納税についてもっと詳しく知りたい方のために、制度概要を解説します。
ふるさと納税とは


ふるさと納税は、自分が応援したい市区町村に実質2,000円の負担で寄付ができる制度のことです。寄付した自治体から返礼品が贈られてくるという魅力もあります。年収などの条件によって決まる上限額の範囲内で寄付をすれば、寄付額から2,000円を差し引いた金額だけご自身の納税額(所得税および住民税)が減ります。

例えば、実質2,000円の負担で5万円まで寄付できる方の場合、応援したい市区町村に5万円を寄付して寄付金控除の手続きをすると、2,000円を差し引いた4万8,000円【注】だけご自身が納めるべき税金が減ります。
【注】「ふるさと納税」を実施し、確定申告を行うと、所得税、住民税(都道府県民税および市町村民税)の納税額が減ります。5万円を寄付した場合、(1)所得税・(2)都道府県民税・(3)市町村民税の納付額の減少額を合計すると、ちょうど4万8,000円となります。
確定申告なしで税額控除を受ける方法もあります。
ふるさと納税で寄付を行う自治体の数が五つ以内ならば、ワンストップ特例制度が使える
「確定申告で寄付金控除の手続きをしてください」と言われても、確定申告をした経験がない方にとっては、とても難しいことです。しかし、諦める必要はありません。確定申告をしなくても、ふるさと納税の寄付金控除を受けられる方法があるからです。それが「ワンストップ特例制度」です。

1年間に「ふるさと納税」で寄付する自治体の数が五つ以内であれば、確定申告をしなくてもふるさと納税の寄付金控除を受けることができます。それが「ふるさと納税ワンストップ特例制度」です。ふるさと納税を行う際に、寄付を行う自治体に「ワンストップ特例の適用を受ける申請書」を提出する必要があります。
ワンストップ特例制度を使う場合、所得税は減りません。住民税だけで「ふるさと納税額-2,000円」分、納税額が減ります。

「楽天ふるさと納税サイト」 などを通じてふるさと納税(寄付)を行う際、「税金控除申請に必要な書類送付」について「必要(ワンストップ特例申請書)」を選択すれば、あとで寄付をした自治体から申請書が送付されます。

送られてきた申請書に必要事項を書き込み、「マイナンバー」関連の必要書類を添付して返送すれば手続き完了です。返送用封筒は入っている場合と入っていない場合があります(自治体により異なります)。入っていない場合は、自分で返送用封筒を作成して返送してください。
申請書を自治体から送付してもらわなくても、以下サイト内の「特例申請書をダウンロードする」からご自身で作成することもできます。自治体から申請書が送られてこない場合はご自身で作成する必要があります。
【楽天市場】ふるさと納税|ふるさと納税はじめてガイド - ワンストップ特例制度について (rakuten.co.jp)
ご自身でダウンロードして作成する場合、「税金控除に必要な書類送付」については「不要(電子データで自分で取得)」を選択します。
大切なことは、ワンストップ特例申請書は寄付する度に送る必要があることです。一つの自治体に1年間に2回寄付する場合でも、毎回送らなければいけません。
また、申請書は寄付した翌年の1月10日までに自治体が受け取らなければならないことにも注意してください。2025年のふるさと納税であれば、2026年1月10日までに必着で提出してください。
万が一「ワンストップ特例申請書」を締め切り前に提出できなかった場合でも、確定申告をすれば寄付金控除を受けることができます。手間はかかりますが、その場合は確定申告で寄付金控除を受けるようにしましょう。
また、間違えて「ワンストップ特例申請書」を1年以内に六つの自治体に送ってしまった場合は全て無効になるので注意が必要です。しかしその場合でも、確定申告をすれば寄付金控除が受けられます。
一部の自治体で「ワンストップ申請オンラインサービス」が利用可能に
2022年以降、ワンストップ特例申請の書類提出手続きがオンラインでできるようになりました。対応自治体もどんどん拡大中です。オンラインで提出すれば、書類提出や郵送が不要となります。ぜひ利用をご検討ください。
詳しくは以下をご覧ください。
ワンストップ申請オンラインサービス
「ふるさと納税」最初の一歩!何はともあれ、まず、ご自身の「寄付上限額」を知ろう
年収、家族構成、扶養家族の人数などの条件により、自己負担額が2,000円を超えない範囲で寄付できるふるさと納税の「寄付上限額」が決まります。まずその上限額を知らないことには、ふるさと納税は始められません。

まず、以下の楽天ふるさと納税サイトの「かんたんシミュレーター」から、ご自身がふるさと納税の寄付金控除を受けられる「寄付上限額」の目安を調べる必要があります。
楽天ふるさと納税「かんたんシミュレーター」
ここで、「年収(2025年の見込み額)」「家族構成」「扶養家族」に関する情報を入力していただくと寄付上限額(目安)が表示されます。
そこで表示される金額の上限いっぱいではなく、まず一部を使ってふるさと納税を始めるのが良いと思います。
確定申告をする予定であれば、何件に寄付してもOKです。一方、ワンストップ特例制度を使うのであれば、寄付をする自治体の数を年間で5件以内におさえて、1自治体への寄付額を決める必要があります。
なお、12月になって2025年の年収額がほぼ分かるようになり、寄付上限額いっぱいまでふるさと納税を行う際には、「かんたんシミュレーター」ではなく「詳細版シミュレーター」で正確に計算した方が良いと思います。
楽天ふるさと納税「詳細版シミュレーター」
次に、寄付する自治体を選びましょう。ワンストップ特例を使うならば5自治体まで。
返礼品が魅力的な自治体や応援したい自治体から選ぶのが良いと思います。楽天ふるさと納税サイトを使えば、気に入った返礼品を自由自在に検索できます。
同時に、ふるさと納税の寄付金控除を受ける方法を決める必要もあります。確定申告を行うか、確定申告不要の「ワンストップ特例制度」を利用するかのどちらかです。
確定申告をしたことがない人は、確定申告が不要の「ワンストップ特例制度」の利用をおすすめします。しかし、そのためには、1年間に寄付する自治体を5件以内にする必要があります。
一方、医療費控除や寄付金控除などを受けるために確定申告をしたことがある人は、確定申告によってふるさと納税の寄付金控除を受けることがおすすめです。確定申告をする場合は、寄付する自治体の件数に制限はありません。
また、今までに確定申告をしたことはあるけれど、今年は確定申告をする予定がなく、「わざわざ確定申告するのは面倒」という方はワンストップ特例制度から始めたら良いでしょう。
次に、寄付する時期を考えましょう。
次に考えるべきことは寄付する時期です。例年、年末近くになってからバタバタとふるさと納税をする方がいらっしゃいますが、理想は1~3月、4~6月、7~9月、10~12月と分散した寄付です。なぜならば、寄付する時期によって受け取れる返礼品が異なるからです。寄付する時期を分散することで、季節に応じたさまざまな特産品を楽しむことができます。
多数の自治体に時期を分散しないで寄付すると、返礼品が一時期に集中する問題もあります。お米のように保存の効くものであれば問題ありませんが、生鮮食料品などは冷蔵庫に入りきらなくなることもあります。旬のものを旬のときにいただくには、時期の分散が望ましいと言えます。
(窪田 真之)