今日は、株式投資において、きちんと見るべき重要指標PER(株価収益率)を学ぶクイズを出します。株価が「割安であるか、割高であるか」を判断する一助となります。

簡単そうで難しいPERの見方をしっかり学びましょう。


いまさら聞けない「PER」で割安株を見分ける方法の画像はこちら >>

今日のクイズ

 株式投資をするとき、投資する銘柄のPER(ピーイーアール:株価収益率)を見ていますか? PER10倍だから株価は割安とか、PER40倍だから割高といった話を聞いたことがありますか?


 今日は、株価の割安割高を測る上で、最も重要な指標である、PERについて学びます。まずはクイズです。


<クイズ>以下【1】~【6】のうち、PERの低い銘柄(PER10倍前後)にみられることが多い特徴はどれでしょう。三つ選んでください。


【1】成長性が低いと思われている
【2】成長性が高いと思われている
【3】利益が不安定と思われている
【4】利益が安定的と思われている
【5】特別利益によって一時的に利益水準が高くなっている
【6】特別損失によって一時的に利益水準が低くなっている


株式の「割安・割高」はどう判断?

 株価の割安・割高を測る指標にいろいろなものがありますが、PERだけは必ず見るようにしましょう。PERは、株価が割安か割高か判断するための重要指標だからです。


 PERとは、株価が1株当たり利益(今期予想)の何倍まで買われているかを示すものです。一般的にPERが高いほど株価は割高、PERが低いほど株価は割安と見なされます。


 以下の式から計算されます。


いまさら聞けない「PER」で割安株を見分ける方法
(注)1株当たり利益とは、企業が一つの決算期(通常は1年)で稼ぐ最終利益(親会社株主に帰属する連結当期純利益)を、その期の発行済株式数で割ったもの。<PER計算例>株価が1,500円で、今期最終利益(会社予想)が100億円、発行済株式数が1億株ならば、<1株当たり利益>=100億円÷1億株=100円<PER>=1,500円÷100円=15倍

 それでは改めて、株を買う時、PERを見なければならないのは、なぜでしょう?


 それは、買い物をする時、値段を聞くことが必要なのといっしょです。どんなに良い物でも、値段が高過ぎたら買うべきではありません。やや品質が落ちる物でも、値段がすごく安かったら「お買い得」かもしれません。


 とてもおいしいラーメンがあったとします。

それを友達に勧めるかどうか決める時、重要な要素として「値段」があります。どんなにおいしくても、一杯1万円だったら、友達に勧められません。でも、おいしいラーメンが一杯800円だったらお勧めしやすいですね。


 株も同じです。どんなに良い会社でも、株価がPERから見て割高だったら買うべきでないし、成長期待が低い会社でも、株価がPERから見て割安だったら、「お買い得」かもしれません。だから、PERを見ないで株を買うということは、値段を聞かないで買い物するのと同じです。


世界中の投資家の共通指標「PER」

 PERを見るべき重要な理由が、もう一つあります。PERは、国内の投資家だけでなく、世界中の投資家が見る共通指標です。特に欧米の投資家はPERを重視します。


 日本株は外国人投資家の売買で動きます。外国人投資家が買うと上がり、売ると下がる傾向が30年以上続いています。そのため、外国人投資家がよく見るPERは、きちんと見ておくべきです。


 PBR(ピービーアール:株価純資産倍率)や、配当利回りも見て良いですが、PERほどの重要性はありません。

なぜならば、欧米の投資家はPBRや配当利回りをほとんど見ないからです。


 それでは、具体例を見てみましょう。


<PERの低い銘柄群:2025年4月28日時点>


いまさら聞けない「PER」で割安株を見分ける方法
出所:QUICKより作成。PERは、2025年4月28日の株価を、今期コンセンサス予想1株当たり利益で割って計算。今期とはINPEXは2025年12月期、他は2026年3月期

<PERの高い銘柄群:2025年4月28日時点>


いまさら聞けない「PER」で割安株を見分ける方法
出所:QUICKより作成。PERは、2025年4月28日の株価を、今期コンセンサス予想1株当たり利益で割って計算。今期とはファーストリテイリングは2025年8月期、MonotaRO・中外製薬は2025年12月期、他は2026年3月期

クイズの正解

 PERの低い銘柄によく見られる特徴は、【1】【3】【5】です。


【1】成長性が低いと思われている
【3】利益が不安定と思われている
【5】特別利益によって一時的に利益水準が高くなっている


 一方、【2】【4】【6】は、PERの高い銘柄によく見られる特徴です。


【2】成長性が高いと思われている
【4】利益が安定的と思われている
【6】特別損失によって一時的に利益水準が低くなっている


 PERが高い低いは、あくまでも株式市場の評価です。株式市場の評価が、必ずしも正しいとは限りません。


 PERが低い銘柄の中に、最高益を更新していく成長株があるかもしれません。それならば、その銘柄は、割安株として「買い」判断ができます。


 一方、PERが高い銘柄の中に、もはや成長できない銘柄が含まれているかもしれません。それならば、その銘柄は割高として、「売り」判断されます。


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「株トレ」 シリーズ2点 書影

(窪田 真之)

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