「貯金が思うように増えない」「家計の何を見直すべきか分からない」と悩んでいませんか? 家計のどこかに潜む「無駄」を見つけ出し改善することは、着実に貯金を増やし、将来の不安を解消することにつながります。今すぐ始められる家計改善への5ステップを解説します。


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家計の見直しは「見える化」から!簡単5ステップ

 家計改善を一度に全てをやろうとすると、始める前からモチベーションが下がってしまいます。家計を見直すには順序があります。一つずつ順を追って行えば、難しくありません。


【ステップ1】わが家の「収入」と「支出」を明らかにする

 家計改善の第一歩は、わが家の家計の「現実」をシビアに知ることから始まります。まずは、世帯全体の収入と、毎月何にいくら使っているのかを明らかにしていきましょう。


 専業主婦(夫)で家計を管理している場合でも、意外と配偶者の収入を知らずに、なんとなくやりくりしている人もいます。また、共働き(ダブルインカム)の場合は、収入元も複数になるため、全体像が見えにくくなりがちです。まずは、夫婦それぞれの収入と支出がどのくらいあるか、明確にしていきましょう。


手取り収入を把握する

 まずは「収入」です。それぞれの年間の収入から、手取り収入がどのくらいか確認しましょう。給料や事業収入から、社会保険料や税金(所得税、住民税)を引いた金額が手取り収入となります。この手取り収入が、実際の家計のやりくりに使えるお金です。


支出を把握する

 続いて「支出」を計算しましょう。住宅ローンや家賃、食費、水道光熱費、通信費、小遣いなど、毎月家から出ていく全てのお金を洗い出します。現金払いのものだけでなく、クレジットカード、電子マネーなど全ての支払い方法の支出が対象です。


家計の見直しはどこから手を付ける?節約&貯金につながる5ステップ
支出を把握する

 こまごまとした支出を全て把握するのは大変ですから、家計簿をつけるか家計簿アプリを活用するのがおすすめです。

もし家計簿をつけたことがない場合、2~3カ月記録すれば、おおまかなわが家の支出がつかめてくるでしょう。


  以下は主な家計の費目例です。より細かく把握したい場合は、さらに費目を細分化しても良いでしょう。


主な家計の費目例 住居費 家賃・住宅ローン、管理費・共益費、固定資産税など 水道光熱費 電気代、ガス代、水道代 通信費 携帯電話代、固定電話代、インターネットのプロバイダー料金 など 食費 食材費、外食費 日用品代 日用品代、消耗品代など 衣服・美容費 衣料品代、小物代、美容院代、化粧品代など 医療費 病院の診察代、薬代など 交通費 電車代、バス代、ガソリン代など 教養・娯楽費 書籍代、習い事代、レジャー費など 子ども関連費 学費、子育て用品代など 保険料 生命保険料、医療保険料など

【ステップ2】支出を「固定費」と「変動費」に分ける

 全ての支出を洗い出せたら、今度は次の2種類に分類します。分類する基準は、「金額がほぼ固定で毎月発生するか」「日々のやりくりで金額が変わるか」という点です。


 例えば賃貸住宅の家賃は、一度契約すれば契約期間内に変わることはほぼないので、固定費です。食費は節約レシピを作るなど行動次第で今よりも低く抑えることができるため、変動費になります。


「固定費」毎月ほぼ決まって出ていくお金

 一度契約したり設定したりすると、毎月(または毎年)決まった金額が発生する支出です。


例:住居費(家賃や住宅ローン)、水道光熱費、保険料(生命保険、医療保険、自動車保険など)、通信費、サブスクリプション料金(音楽・動画サービス、ジムの月会費など)、教育費(学費、塾の月謝など)


「変動費」やりくりによって金額が変わるお金

 食費、日用品費、交際費、レジャー費、小遣い、医療費など


 このうち、真っ先に手をつけたいのは固定費です。なぜなら、固定費は一度見直し削減に成功すれば、その改善効果がその後も継続するからです。それなら少しでも早く見直したほうが、その分、見直しの恩恵も長く受けられるでしょう。


【ステップ3】「固定費」を徹底的に見直す

 いよいよ、削減効果が大きい固定費の見直しに進みましょう。一つ一つの費目について、「もっと安くできないか?」という視点で考えてみましょう。


住居費

・賃貸の場合

 一般的に「家賃は手取り収入の30%以内」が目安とされています。もしこの割合を超えている場合は、次の更新時に家賃がより安い物件への引っ越しも視野に入れましょう。

引っ越し費用はかかりますが、長期的に見れば大きな節約につながる可能性があります。


・持ち家の場合

 住宅ローンの金利を定期的にチェックし、より低金利の住宅ローンへの借り換えを検討しましょう。金利がわずかに下がるだけでも、総返済額に大きな差が生じることがあります。


※借り換えには諸費用(手数料など)が発生する可能性や、金利変動リスクがあります。


家計の見直しはどこから手を付ける?節約&貯金につながる5ステップ

保険料

「一度契約したらそのまま」という方が多いですが、家族構成やライフステージの変化に合わせて、必要な保障内容が変わります。


・見直しのポイント
  • 保障内容の重複:複数の保険に加入していて、保障が重複している部分はないか?
  • 過剰な保障:家族構成や資産状況に対して、保障額が過剰になっていないか?
  • 不要な特約:必要性の低い特約が付帯していないか?

 専門家(ファイナンシャルプランナーなど)に相談し、本当に必要な保障だけに絞り込むことで、保険料を削減できる可能性があります。


水道光熱費

 契約プランを新電力・ガス会社へ切り換えることで、料金をより安く抑えられる可能性があります。


 日常的には、特に電力消費量の大きい「エアコン」「冷蔵庫」「照明」の三つを意識しましょう。


「エアコンは『自動』運転にし、2週間に一度はフィルターを掃除する」「冷蔵庫の温度設定を季節ごとに変える」「食器洗いや洗濯はまとめて行う」「風呂は続けて入り、入らない間はふたで保温する」といった省エネテクで、チリツモ効果が期待できます。


通信費

 インターネット回線はプロバイダーの乗り換えキャンペーンを利用したり、格安SIMを利用したり、料金プランをこまめに見直したりすることで、費用を安く抑えられる可能性があります。


 料金プランを月2,000円安くできれば、年間で2000円×12カ月=2万4,000円もの節約になります。自分のスタイルに合ったサービスを見極めましょう。


教育費

「子どものため」という思いから、つい際限なくお金をかけてしまいがちな費目ですが、冷静な評価が求められます。


見直しのポイント
  • 効果を見極める:現在の習い事や塾が、子どもの成績向上や才能の育成に本当に役立っているか、定期的に効果を評価しましょう。
  • 本当に必要か検討する:全ての習い事を続けるのではなく、本当に必要だと感じるものに絞り込む勇気も必要です。
  • 代替案を考える:コスパの高いオンライン学習サービスや、地域の公営施設での活動など、費用を抑えつつ同等の教育効果が得られる代替案がないか検討してみましょう。

 固定費は一度見直せば、その効果が毎月続く「自動節約装置」のように機能します。少し手間はかかりますが、最初に取り組むことで、家計改善の大きな手応えを得られるでしょう。


【ステップ4】変動費を安く抑える工夫をする

 固定費の見直しで大きな成果が得られたら、次に日々の努力が反映されやすい変動費の節約に取り組みましょう。変動費は、工夫次第でまだまだ削減の余地があります。ゲーム感覚で楽しみながら、無理なく続けられる方法を見つけることが大切です。


食費

 家計の中でも大きな割合を占めやすく、工夫次第で削減効果が高い項目の一つです。


 月の予算を決め、1週間単位または1日単位に振り分け、予算内で買い物することで支出を抑えやすくなります。まとめ買いや作りおきなど、食費と手間の両方を抑える工夫も検討の余地があります。調理家電を活用し、自炊の手間を省力化するのも良いでしょう。


家計の見直しはどこから手を付ける?節約&貯金につながる5ステップ
作り置き
 

日用品費

 消耗品が多い日用品は、買い方を工夫することで節約が可能です。


  • 大容量・詰め替えパックの活用:洗剤やシャンプーなど、わが家の定番品は、大容量サイズや詰め替えパックを選ぶと単価が安くなります。
  • セールやポイント活用:ドラッグストアやネットストアの大型セール期間にまとめ買いしたり、ポイントアップデーを活用したりするのも賢い方法です。

交際費

 人付き合いは大切ですが、支出を抑える工夫もできます。


  • 上限を決める:「飲み会は月2回まで」など、自分なりの上限を設定し、本当に参加したいもの、必要なものに絞り込みましょう。惰性で参加している集まりがないか、見直す良い機会にもなります。
  • ランチメニューを活用する:特に夜でなければいけない理由がなければ、ディナーよりもランチにしたほうが安価なメニュー設定になっているため、支出を抑えられます。
  • 飲み方に合った注文をする:安易に「飲み放題付きコース」を選ぶのではなく、自分がどのくらいお酒を飲むかを考えた上で、単品注文の方が安くなるケースもあります。

レジャー費

 楽しみを我慢するのはストレスになりますが、賢く楽しむ方法はたくさんあります。


 映画館や美術館は、曜日や時間帯、年齢などに応じた割引が設定されていることがあります。自分に合った日を選びましょう。


 旅行は早期割引や旅行会社が定期的に行うセールなどを活用し、安く行けるプランを選びましょう。よく飛行機に乗るなら、普段使いのクレジットカードはマイルが貯まりやすいものをセレクトしましょう。


小遣い

 夫婦の小遣いは、世帯の「手取り収入の10~20%」が適切とされています。貯金を考えるなら、できれば10%を目指したいところです。夫婦で話し合い、貯蓄を共通の目的として設定できれば、スムーズに受け入れられやすいでしょう。「予算内なら、それぞれの使い道には互いに干渉しない」といったルールを決めると、ストレスを抑えることができるでしょう。


夫婦の家計管理、三つのコツ|共働きなのにお金が貯まらないのはなぜ?


【ステップ5】定期的に家計の見直しを繰り返す

 固定費の見直しが完了し、変動費のやりくりにも慣れてきたら、実際に効果が出ているかを確認しましょう。


 ステップ1の「家計を把握するシート」を見直し、現在の支出を書きこんでみてください。見直し前よりも、支出が抑えられていれば、成功と言えるでしょう。


 この定期的な家計チェックは、ぜひ夫婦で行ってください。夫婦で共有することで、「子どもがお金のかかる年齢になるから、教育費を増やしたい」「そのために削れそうなのはレジャー費かな」「それほど車に乗らなくなったから、手放してカーシェアサービスにしてもいいかもしれない」といった改善点も見つかりやすくなります。


 家計の見直しは、一度行えばそれで終わりではありません。家族の構成やライフステージの変化に合わせて、よりフィットするような調整が必要です。


まとめ:家計の見直しは「見える化」と「継続」が成功の鍵

 家計の上手な見直し方と、その具体的な5ステップを紹介しました。


  • わが家の「収入」と「支出」を明らかにする
  • 支出を「固定費」と「変動費」に分ける
  • 「固定費」を徹底的に見直す
  • 変動費を安く抑える工夫をする
  • 定期的に家計の見直しを繰り返す
  •  この流れに沿って一つずつ行うことで、スムーズに進められるでしょう。


    「何から手を付けたら良いか分からない」という方は、まずは手順通りに一歩一歩、家計の改善を進めていきましょう。


    (しま)

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