西九州新幹線のN700S「かもめ」が姿を現しました。白と赤のデザイン、毛筆の「かもめ」、号車ごとに違う座席など、N700Sの特徴を持ちながら、JR九州らしい個性的な車両になって登場しています。

N700Sの特徴を生かした6両編成

 2022年秋に、まず武雄温泉~長崎間での開業が予定されている西九州新幹線。その車両が2021年12月22日(水)、日立製作所笠戸事業所(山口県下松市)で公開されました。

 西九州新幹線の車両は、東海道・山陽新幹線で2020年7月1日に運転を開始したN700Sを、いわば西九州新幹線用にカスタマイズしたもの。「編成の長さを柔軟に変更できる」というN700Sの特徴を生かした6両編成です。もちろん全席コンセントや、停電時も自走可能といったN700Sの特徴も備えています。

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西九州新幹線のN700S「かもめ」(2021年12月22日、恵 知仁撮影)。

 このカスタマイズについて、見どころはやはり、JR九州らしい内外装のデザインでしょう。

 デザインコンセプトは「九州らしいオンリーワンの車両」です。エクステリアデザインでは、JR九州のコーポレートカラーである「赤」が車両下部に配色され、シンボルマークや、毛筆などで各所に書かれた列車名「かもめ」の文字が、その存在を主張します。

 既存のN700Sに「九州らしさ」を加えていくには、重量やコストなど、なかなか制約も多かったそうですが、JR九州の青柳俊彦社長は「ひと味違った九州らしいオンリーワンの車両が完成したと自負しています。先頭だけを見て、この車両がN700Sだと分かる人はいないのでは」と話します。

 デザインを担当したのは、800系新幹線「つばめ」などJR九州の車両でおなじみの水戸岡鋭治さん(ドーンデザイン研究所)。

外観の各所に多く入れられている「かもめ」「KAMOME」の文字は、乗客が車両との記念写真を楽しめるように、との思いがあるそうです。

N700S「かもめ」車内に入ってみた

 N700S「かもめ」のインテリアデザインは、「優しい、明るい、楽しい、心地よい、美しい」をテーマに、色や形、素材をセレクト。和洋折衷、クラシックとモダンを組み合わせた、懐かしくて新しい空間を表現したそうです。

 6両編成のうち3両は指定席車両で、すべてゆったりした2人掛けの座席。号車ごとに布地のデザインが異なり、1号車は「菊大柄」、2号車は「獅子柄」、3号車は「唐草」になっています。座席の基本的な構造は、九州新幹線の800系と同じです。今回、車内は「唐草」の3号車だけが公開されました。

紅白のN700S「かもめ」姿現す 西九州新幹線用の新型車両 内外装ともJR九州らしく

西九州新幹線のN700S「かもめ」(2021年12月22日、恵 知仁撮影)。

 今回は公開されていない自由席の3両は、座席が2人掛けと3人掛け。明るい車内に芥子色の座席が並びます。座席自体は、東海道・山陽新幹線のN700Sと同じです。

 ちなみに、N700S「かもめ」のエクステリアデザインについては、真っ黒な案などもあったとのこと。

そのなかから「明るく元気なものに」ということで、この「紅白」になったといいます。

 西九州新幹線のN700S「かもめ」は2022年1月以降、この山口県にある日立の工場から順次、海上輸送で長崎へ向かう予定。JR九州はその様子を船から眺めるツアーも用意しており、現在、申込みが受け付けられてます。

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