特急形電車の185系とよく比較されました。
車内レイアウトはキハ66・67形に次ぐ国鉄時代から走る117系電車の廃車が続いています。
117系は、京阪神地区の「新快速」で使用されていた153系電車の老朽化に伴い1979(昭和54)年に登場した2扉転換クロスシート車です。国鉄における2扉転換クロスシート車はキハ66・キハ67形気動車に次ぐもので、近郊形電車では初めての採用。車体はクリーム色に茶色の帯で、「新快速」の先祖ともいえる急行電車に使われた色をベースとしていました。
「抹茶色」となったJR西日本117系(画像:写真AC)。
117系は1980(昭和55)年1月22日に「シティーライナー」の愛称でデビュー。1982(昭和57)年には名古屋地区の快速「東海ライナー」用としても投入され、同年3月10日から営業運転を開始しています。
それまでの117系は0番台と呼ばれる車両でしたが、1986(昭和61)年に「新快速」増発のために増備した6両編成3本(18両)は100番台に。名古屋地区では快速増発で編成を6両から4両に短縮することで不足する先頭車(クハ117形とクハ116形)を各9両増備しましたが、クハ117形は100番台、クハ116形は200番台となりました。
0番台では車体側面の窓が上段下降・下段上昇の二段窓でしたが、100番台と200番台は一段下降式の窓となったのが特徴です。
京阪神地区から他エリアへこうして京阪神地区と名古屋地区で使われた117系でしたが、JR発足後の1989(平成元)年にJR西日本は「新快速」用に221系の投入を開始。1990(平成2)年3月のダイヤ改正で117系の一部が福知山線で使用されるようになりました。
1991(平成3)年には奈良線でも使用されるようになったほか、1992(平成4)年には山陽本線の岡山・広島地区に転属しています。岡山・広島地区に転属した車両は6両編成から4両編成となり、余剰となった中間車は115系へと改造されています。
1999(平成11)年5月のダイヤ改正で117系は「新快速」の定期運行を終了。福知山線では2000(平成12)年3月以降は117系の運用が減少し、奈良線でも2001(平成13)年3月で運用を終了したことで、117系は紀勢本線、和歌山線、山陽本線の下関地区へと転属しています。

115系と並ぶ「濃黄色」の117系(右)(画像:写真AC)。
そして近年の117系は、山陽本線の下関地区で2016(平成28)年1月に、紀勢本線と和歌山線では2019年3月に運行を終了。2022年6月現在、草津線と湖西線、赤穂線(播州赤穂~岡山)、山陽本線(岡山~糸崎)で使用されています。すでにクリーム色と茶色帯の原色の車両は存在せず、草津線と湖西線で使用される117系は「抹茶色」、赤穂線と山陽本線で使用される117系は「濃黄色」です。
いっぽうJR東海の117系は、313系電車などの新型車両の投入により、一足早く2014(平成26)年1月で全車が廃車となっています。
117系の製造両数は216両。
すでに117系は経年30年以上の車両であり、観光列車に改造された「WEST EXPRESS 銀河」を除き、今後の動きが気になるところです。
ちなみに冒頭で紹介したE-07編成は、クハ117-101+モハ117-101+モハ116-101+クハ116-101で組成した100番台のトップナンバー車です。