特急形電車の185系とよく比較されました。

車内レイアウトはキハ66・67形に次ぐ

 国鉄時代から走る117系電車の廃車が続いています。

2022年5月31日(月)にトップナンバー(クハ117-1、モハ117-1、モハ116-1、クハ116-1)を含む、JR西日本吹田総合車両所京都支所に所属するT1編成(8両)が吹田総合車両所へ、翌6月1日(火)には岡山電車区の117系E-07編成(4両)が下関総合車両所へと、それぞれ回送されました。

 117系は、京阪神地区の「新快速」で使用されていた153系電車の老朽化に伴い1979(昭和54)年に登場した2扉転換クロスシート車です。国鉄における2扉転換クロスシート車はキハ66・キハ67形気動車に次ぐもので、近郊形電車では初めての採用。車体はクリーム色に茶色の帯で、「新快速」の先祖ともいえる急行電車に使われた色をベースとしていました。

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「抹茶色」となったJR西日本117系(画像:写真AC)。

 117系は1980(昭和55)年1月22日に「シティーライナー」の愛称でデビュー。1982(昭和57)年には名古屋地区の快速「東海ライナー」用としても投入され、同年3月10日から営業運転を開始しています。

 それまでの117系は0番台と呼ばれる車両でしたが、1986(昭和61)年に「新快速」増発のために増備した6両編成3本(18両)は100番台に。名古屋地区では快速増発で編成を6両から4両に短縮することで不足する先頭車(クハ117形とクハ116形)を各9両増備しましたが、クハ117形は100番台、クハ116形は200番台となりました。

 0番台では車体側面の窓が上段下降・下段上昇の二段窓でしたが、100番台と200番台は一段下降式の窓となったのが特徴です。

京阪神地区から他エリアへ

 こうして京阪神地区と名古屋地区で使われた117系でしたが、JR発足後の1989(平成元)年にJR西日本は「新快速」用に221系の投入を開始。1990(平成2)年3月のダイヤ改正で117系の一部が福知山線で使用されるようになりました。

福知山線での使用に際しては車体の塗装を変更。のちに混雑緩和のためにドア付近の座席をロングシートに改造した300番台となっています。

 1991(平成3)年には奈良線でも使用されるようになったほか、1992(平成4)年には山陽本線の岡山・広島地区に転属しています。岡山・広島地区に転属した車両は6両編成から4両編成となり、余剰となった中間車は115系へと改造されています。

 1999(平成11)年5月のダイヤ改正で117系は「新快速」の定期運行を終了。福知山線では2000(平成12)年3月以降は117系の運用が減少し、奈良線でも2001(平成13)年3月で運用を終了したことで、117系は紀勢本線、和歌山線、山陽本線の下関地区へと転属しています。

数減らす往年の「新快速」117系 国鉄近郊形電車初の2扉転換クロス車 いま乗れる路線は
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115系と並ぶ「濃黄色」の117系(右)(画像:写真AC)。

 そして近年の117系は、山陽本線の下関地区で2016(平成28)年1月に、紀勢本線と和歌山線では2019年3月に運行を終了。2022年6月現在、草津線と湖西線、赤穂線(播州赤穂~岡山)、山陽本線(岡山~糸崎)で使用されています。すでにクリーム色と茶色帯の原色の車両は存在せず、草津線と湖西線で使用される117系は「抹茶色」、赤穂線と山陽本線で使用される117系は「濃黄色」です。

 いっぽうJR東海の117系は、313系電車などの新型車両の投入により、一足早く2014(平成26)年1月で全車が廃車となっています。

 117系の製造両数は216両。

2022年4月1日現在での配置両数は64両ですが、前述のようにT1編成とE-07編成が廃車となると配置両数は56両となり、残存率は25.9%とほぼ4分の1の数となります。

 すでに117系は経年30年以上の車両であり、観光列車に改造された「WEST EXPRESS 銀河」を除き、今後の動きが気になるところです。

 ちなみに冒頭で紹介したE-07編成は、クハ117-101+モハ117-101+モハ116-101+クハ116-101で組成した100番台のトップナンバー車です。

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