ジャパンモビリティーショーにて、スズキはかつて販売していた原付「チョイノリ」を復活、電動モビリティーとして装いを新たにしたモデルを出品しました。中身はほぼ「そのまま」だそうですが、最大の特徴は、電動アシスト自転車のバッテリーで走るという点です。
2023年10月25日にプレスデーを迎えた「ジャパンモビリティーショー2023」で、スズキは四輪車とともに、多数の電動小型モビリティーを出品しました。その一つが「e-チョイノリ」。今から20年前の2003年に、国産で5万9800円という価格破壊を実現した50cc(原付一種)バイクの電動版です。
e-チョイノリ(乗りものニュース編集部撮影)。
今回は参考出品という形ですが、パナソニックサイクルテックの電動アシスト自転車用バッテリーを使用する原付一種相当のスクーターとして装いを新たにしました。
スズキに電動アシスト自転車のイメージは希薄かもしれませんが、実はパナソニックの電動アシスト自転車のOEM供給を受けて販売しています。その関係から両社は今年、電動アシスト自転車の駆動ユニットを活用した新しいモビリティーの開発に合意。今回は両社の二輪車と電動アシスト自転車のノウハウが組み合わされています。
今回はこれとは別に、パナソニックの電動アシスト自転車のバッテリーを活用したもう一つのモビリティー「e-PO」も参考出品しています。こちらはパナソニックの折り畳み式電動アシスト自転車をベースに、フル電動走行を可能にした原付一種相当のいわゆる「モペッド」です。
スズキブースの係員は、「電動アシスト自転車のバッテリーは安全性も高く、商品として確立されている」と説明。また、「国内法規や排ガス規制の関係で、50ccは厳しい状態に置かれており、その代わりを模索したもの」だということです。
係員の言う通り、日本独自の規格である50ccの原付一種は、2025年に予定されている排ガス規制の適用で、現在のモデルが生産できなくなることから変化に迫られています。今回の2機種は、電動アシスト自転車のバッテリーを活用した原付の電動化と、既存のアシスト自転車の“原付化”、2つのアプローチを提示しているといえます。
とりわけ思い入れが強い「チョイノリ」電動アシスト自転車のバッテリーを活用した原付の代替を考えるなかで、チョイノリは「車両としても軽量シンプルで、ピッタリだった」のだそう。電動化したほかは「法規対応で灯火をLEDにするなどしていますが、ほぼ昔のチョイノリのまま」と説明してくれました。
ちなみに、かつてのチョイノリは物入れがありませんでしたが、燃料タンクが不要になったおかげで、シート下にハーフヘルメットくらいは入るようになっそうです。

e-チョイノリと同じく電動アシスト自転車のバッテリーを活用した原付のeーPO(乗りものニュース編集部撮影)。
かつてのチョイノリは、近距離の移動に目的を絞り、国内生産でいかに安くできるか、既存のモノづくりそのものを大きく見直してコストダウンに挑戦したモデルでした。ヒットを記録したものの、4年という短い期間で販売終了となったのは、簡易な構造ゆえに排ガス規制への対応ができなかったことだと言われています。
それでも、今なお「チョイノリはスズキのアイコン」という認識なのだとか。そこで近距離に特化したモビリティーとして、再び登板することになりました。なお、航続距離については検証中として非公開とされましたが、市販化にこぎつけられるか注目です。