日本信号と小田急電鉄が、世界初という遅延証明書の発行機能を備えた自動改札機を開発。同電鉄で導入が進められているほか、将来的には別の活用方法も考えられそうです。
遅延証明書を発行できるIC専用自動改札機「GX8」を、日本信号(東京都千代田区)と、東京都と神奈川県に鉄道路線網を持つ小田急電鉄が共同開発。同電鉄で2014年10月1日から導入が始められています。日本信号は鉄道や道路の信号装置、駅の自動改札機などを製造している会社で、同社によると「遅延証明書を自動改札機から発行するのは(小田急が)鉄道事業者で世界初」とのことです。
列車が遅延したとき、それを証明するため鉄道事業者が配布する「遅延証明書」。駅員がそれを制作し配布する昔ながらの方法では、その制作や配布で時間と手間が取られるほか、作りすぎて無駄が生じたり、配布を行う改札口付近が混雑するといった、特に鉄道事業者側にとってデメリットがあります。乗客にとっても、人混みのなかへ証明書をもらいに行かねばなりません。
そのため近年では、各鉄道事業者のウェブサイトで遅延証明書を発行。必要な乗客が各自プリントアウトして利用する、という方式が小田急のほかJR東日本、JR西日本、東京メトロ、近鉄など多くの鉄道事業者で行われるようになりました。
しかしウェブサイトの遅延証明書は良くも悪くもかんたんで、誰でも発行できるため、必ずしも列車に乗っていた証明にはならないことから、提出先の規定などよっては証明書として使えないケースがある、乗客がわざわざ印刷せねばならないのは面倒という、特に乗客側にとってデメリットが存在しています。
今回開発された「遅延証明書発行機能付きIC専用自動改札機『GX8』」ではそうした諸問題がクリアされるため、遅延証明書を発行する側にも貰う側にもメリットがあると考えられます。
自動改札機は情報提供端末になる?「遅延証明書発行機能付きIC専用自動改札機『GX8』」では証明書の発行が必要になった場合、その上面(ICカード乗車券の残高などを表示する液晶画面のある面)に、レシートのような証明書がでてきます。必要な乗客は自動改札機を通過する際、それを取っていくという形です。
小田急電鉄では現在この導入が進められており、2014年10月30日時点の設置駅は成城学園前、登戸、読売ランド前、向ヶ丘遊園、小田急永山、小田急多摩センター、片瀬江ノ島、町田駅。続いて11月11日以降に新百合ヶ丘駅、2015年1月中旬以降に新宿駅にも導入される予定です。また2015年度中に相模大野、海老名、本厚木、秦野、小田原、中央林間、大和、湘南台、藤沢駅へも設置される計画になっています。
また日本信号によると、この「GX8」は「遅延証明書の発行のみならず、駅を利用されるお客様に対し、様々な情報やサービスを提供することが可能」とのこと。具体的な利用方法はまだ先の話ですが、クーポン券の発行など自動改札機の活用可能性が広がっていきそうです。