日本一短い駅名として知られる「津」駅。これを、「世界一短い地名・駅名」として「ギネス世界記録」に登録しようという動きがあります。
日本には約1万の駅があります。そのなかで最も短い駅名は、三重県津市の「津(つ)」駅。JR紀勢本線と近鉄名古屋線、伊勢鉄道線が交わる県内有数のターミナルです。
日本一短い1文字の駅名「津」。しかしローマ字では3文字に(2014年3月、恵 知仁撮影)。この津駅、漢字でも仮名でもたった1文字ですが、ヘボン式ローマ字で表記すると、3文字の「Tsu」に。これでは短さが世界一はおろか日本一にもなりません。日本国内の時点ですでに、JR加古川線と北条鉄道線、神戸電鉄線の粟生(Ao)駅や、JR山陰本線の飯井(Ii)駅など、ローマ字2文字の駅が複数存在するためです。
そこで津駅が位置する津市では、表記を「Tsu」ではなく1文字の「Z」にし、日本一はもちろん「世界一短い地名・駅名」として「ギネス世界記録」に登録しようとする運動がありました。
1994(平成6)年から1995(平成7)年ごろ、津青年会議所が主導し「Z(ゼット)市宣言」なる運動を展開。
その「Z市宣言」がいま、津市職員の有志によって「プロジェクトZ」という名で再燃しています。そのメンバーのひとりである市広報課の今城さんは、こう話します。
「『Z』の名で『世界一短い地名・駅名』として『ギネス世界記録』へ申請することを2014年から市民に問いかけた結果、6000もの賛同が集まっています。そこで『ギネスワールドレコーズ』の日本オフィスに登録が可能かどうか問い合わせたところ、日本オフィスで定めている『競い合えるもの』という条件にそぐわないとの返答がありました」(津市広報課 今城さん)
「競い合えるもの」とは、たとえば競技記録など、記録の更新が可能なものを指すそうで、「世界一短い地名」などはそれに合致しないとのこと。しかし、まだ“策”はあるといいます。
「現在、海外の『ギネスワールドレコーズ』オフィスに申請すべく、準備を進めています。海外のオフィスは日本と異なり、登録可能な記録かどうかなど事前に問い合わせることができません。市名、駅名ともに申請し、審査結果を待つつもりです」(津市広報課 今城さん)
ちなみに「プロジェクトZ」では、上下の平行線を1本の線でつなぐ「Z」の形から、市民と市民、市民と企業など「ふたつのものをつなぐ」という意味などをその名に込め、地域活性や人材育成に取り組んでいるそうです。
「日本一短い駅名」は、果たして「世界一短い駅名」になるのでしょうか。今後に注目です。
