2026年4月から九州の空に、さまざまな意味でこれまでと一線を画す、異色の飛行機が出現しています。ビジュアルもさることながら、もっとも大きなポイントは、これまでの民間機とは全く異なる駆動源で飛ぶということです。
【写真】えっ…これが北九州に出現の「いろいろ異端の航空機」全貌です
北九州空港を拠点に開始されたのは、日本初となる「電動飛行機」の実証試験です。この試験は北九州空港を拠点に、北九州市と複数の民間企業が共同で実施。同じ九州地域内の大分空港と宮崎空港間で試験飛行が実施されます。
試験に使われる機体は、北九州と電動航空機を組み合わせ「KitaQ eHawk」と愛称が着けられました。ただ、これは試験実施者側が付与した名前で、実際の機種名は米ベータ社の「アリア CX300」です。
機体サイズは翼幅15.2メートル、全長12.4メートル、全高3.8メートル。最大離陸重量は約2.9トンと、小型輸送機クラスに属します。最高速度は約250km/hと決して高速ではありません。ただし電動機としては実用域に達しています。
運用コストについてもメーカー資料によれば一時間あたり18ドル(約2700円)で、環境負荷に繋がるガスの排出も同規模の航空機と比較して75パーセントも削減されるそうです。
機体のデザインも小型機としては特徴的で、胴体は断面が四角形に近い箱型キャビンで、内部には約5.7立方メートルの空間があり、左側面には貨物積載用のカーゴドアがあります。細長い主翼とV字型の尾翼を備え、エンジンとプロペラは胴体後部に後ろ向きに付いている「プッシャー式」です。
一方でCX300は航空機を単純に電動化したものではありません。というのも、この機体は電動化によって、同サイズの航空機よりも決定的に劣ってしまった部分があるのです。
電動飛行機の大きな欠点と九州が選ばれた理由それが航続距離と積載量です。
同サイズの輸送機セスナ208が1トン以上を運べるのに対し、CX300は約500kgにとどまり、航続距離もセスナ208が約1200キロメートルに対して、CX300は約400キロメートル。つまり電動航空機は性能だけを見ると、通常のエンジン式の航空機と比較して課題が残っており、単純に入れ替えて使えるものではないのです。
ベータ社もその点は理解しており、本機を「短距離輸送向けに最適化した機体」と説明しています。電動化による低コストで、短距離でも複数回の輸送フライトを行えるのが特徴であり、これは従来の航空機が“大型トラック”だとすれば、CX300は“軽トラック”に近い存在です。
そして九州地域は「電動航空機が本当に使えるのか」を検証するためには理想的な環境だったのです。
北九州空港から宮崎空港までの直線距離は約250キロメートルで、これはCX300で飛行可能な距離です。九州地域は山岳地域が多く、道路で移動する場合は4時間以上掛かるのが、これが飛行機であれば1時間以下に短縮させることができます。
九州地域での電動航空機による輸送は、既存の物流インフラと比較すると明確なメリットがあり、その実証試験を行なうには最適な場所ということができるでしょう。
本試験では、北九州市とベータ社のほかに、商社「双日」と物流会社「ヤマトHD」も参加しています。

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