ライバルは韓国製FA-50!

 トルコの航空機メーカー「TAI」(トルコ航空宇宙産業)は、現在同社が開発を進めているジェット練習/軽戦闘機「ヒュルジェ」の実大模型を、2026年4月20日から23日まで、マレーシアの首都クアラルンプールで開催された防衛総合イベント「DSA2026」に出展しました。

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 ヒュルジェは現在トルコ空軍が運用しているT-38練習機の後継を想定して2017年から開発されており、2018年7月にイギリスで開催されたファンボロー・エアショーで、初めて実大モックアップが公開されています。

今後、各国の高等練習機/軽戦闘機の座を争うであろう、ボーイング/サーブのT-7Aなどと同様、ターボファンエンジン1基で飛行する単発機です。

その強みの一つは“速さ”です。T-7Aが亜音速機(最大速度マッハ0.95、約1173km/h)であるのに対し、ヒュルジェの最大速度は超音速のマッハ1.4(1729km/h)に達しています。

ジェット練習機は必ずしも超音速機である必要はないのですが、緊急発進などに用いる軽戦闘機として使用する場合、速度性能は高いに越したことはありません。このクラスの練習/軽攻撃機では、韓国とアメリカが共同開発した「T-50」シリーズの派生型FA-50が唯一の超音速機です。

本格的な超音速戦闘機と亜音速ジェット練習機を両方保有している国はそれほど多いわけではなく、FA-50はポーランドやマレーシアに採用されていますが、ヒュルジェの開発がスムーズに進めば、現時点ではFA-50の独壇場である「練習機としても使える超音速軽戦闘機」市場で、強力なライバルとなる可能性もあります。

単なる練習機じゃない スペインも採用

 ヒュルジェはT-7Aやレオナルド(イタリア)のM-346などと同様、単なる練習機ではなく、シミュレーターなどを組み合わせた訓練システムを構成する航空機として位置づけられています。このため高度な訓練でも実機を飛ばす必要が無く、従来の練習機を使用する訓練体系より、安価で効率的に戦闘機パイロットの訓練を行うことができます。

 前述したようにヒュルジェはトルコ空軍の要求に基づいて開発された航空機ですが、2025年10月にはスペイン空軍からも、老朽化が進むジェット練習機、CF-101とEF-5Mの後継機「SAETA II」として採用されています。

 SAETA IIの開発には、スペインに本拠地を置くエアバスの防衛部門「エアバス・ディフェンス・アンド・スペース」が協力しており、スペイン空軍の仕様にカスタマイズされます。同空軍のSAETA IIの要員訓練も、スペインのセビリアに所在するエアバスのインターナショナル・トレーニングセンターで行われる予定となっています。

 筆者(竹内 修:軍事ジャーナリスト)は2026年2月にインターナショナル・トレーニングセンターを訪問していますが、この際、SAETA IIと共に訓練システムを構成するシミュレーターや、バーチャル・トレーニングシステムが開発されるとの説明を受けています。

空自「T-4」後継機のダークホースに?

 DSAが開催されたMITEC(マレーシア国際展示センター)は、空港や港湾と隣接しておらず、航空機や艦船の実物は展示できません。3階建てのMITECに限らず、屋内のエキシビションホールは上層階に行けば行くほど、重量の大きなものの展示は困難です。このため大手企業や主要な国のパビリオンが集中する下層階ほど出展料も高いのですが、にもかかわらずTAIがMITECの1階で大きな面積を確保して大型模型を展示したあたりにも、同社のヒュルジェ(SAETA II)の輸出への意気込みの強さがうかがえます。

空自T-4後継のダークホース? 韓国製の独壇場を崩す“超音速”練習機とは? メーカー「日本に強い関心」エアバスも協力
航空自衛隊のT-7後継機に提案された「ヒュルクス」(竹内 修撮影)

 実のところTAIの目は、日本にも向いています。筆者はTUSAŞの担当者へ、航空自衛隊にT-4練習機の後継機として提案する意向の有無を尋ねてみたところ「意思決定には至っていないが、強い関心を持っている」と述べていました。

 10年ほど前でしたら、筆者が日本人だとわかった上での社交辞令として聞いたのでしょう。しかしTAIは2024年、航空自衛隊のT-7初等練習機を選定するコンペに、同社のターボプロップ練習機「ヒュルクス」を中核とする訓練システムを提案しています。

 さらに、日本とトルコは2026年5月6日、両国間の防衛装備品分野での協力を加速させることを確認する文書を取り交わしており、日本とトルコの間の防衛協力は2024年時より強化されています。

 T-7練習機後継機のコンペでTAIは、日本特有の防衛装備品の導入事情に困惑したという話を筆者は耳にしていますが、今回ヒュルジェ(SAETA II)を提案するのであれば、エアバスという強力な援軍が加わると予想されます。もしかしたら、ヒュルジェ(SAETA II)はT-4後継機のダークホースになるかもしれません。

【これがダークホース!?】超音速の練習/軽戦闘機「ヒュルジェ」(写真)

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