JR肥薩線の大畑駅にフレンチレストランがオープン。建物は旧保線詰所をリノベーションしています。
熊本県南部の人吉・球磨地域の活性化を目指す「NOTE人吉球磨」が、2018年9月8日(土)、肥薩線の大畑(おこば)駅(熊本県人吉市)にフレンチレストラン「囲炉裏キュイジーヌLOOP(ループ)」をオープンします。これに先立ち、5日(水)に現地でレストランのお披露目が行われました。
広いデッキも設けられたレストラン。天気の良い日や桜の時期はデッキからの眺めは良さそう(2018年9月5日、皆越和也撮影)。
これはJR九州、丹波篠山で古民家再生の実績を持つ「NOTE(ノオト)」、人吉市、そして地元銀行が連携して、歴史的建築物を活用して地域を活性化しようというものです。2019年3月には同線の矢岳駅(熊本県人吉市)近くの旧駅長官舎などをリノベーションして、ホテルとして開業する予定です。
大畑駅、矢岳駅とも1909(明治42)年に当時の鹿児島本線として開業。両駅とも当時の駅舎が現存していますが、現在は無人駅です。レストランに転用されるのは開業時に建てられた旧保線詰所で、ホテルも開業時に建てられ国指定の登録有形文化財となっている建物です。
山あいにある大畑駅は、我が国唯一の、3段式スイッチバックとループ線が連続する区間に位置する駅です。駅南側の斜面は梅園があり、また駅舎北側には桜が植えられており、花の季節は見事な景色になります。
8日(土)にオープンするフレンチレストラン「囲炉裏キュイジーヌLOOP」は、ランチ営業が11時半から15時まで、ディナー営業が17時から22時まで(水曜定休)。昼はプレートランチ(1800円~2100円)、コース(3500円)、夜は「人吉球磨コース」(4800円)、「くまもと黒毛和牛コース」(7800円、以上すべて税・サービス料込み)。いずれの料理にも人吉球磨の旬の食材を使った本格的なフレンチです。
シェフはフランスや東京で腕を磨いた中務雅章さん。人吉市内の隠れ家のようなレストランのオーナーシェフでしたが、固定客も増えお店が手狭になったタイミングで「LOOP」で腕をふるうことになりました。

木を使った温もりのある雰囲気のレストランには20人ほどが入れる。オープンキッチンの脇には囲炉裏も。

ディナーの(上から時計回りに)球磨の黒豚と松の実のからしレンコン、球磨の黒豚のテットドポーク、馬刺しタルティーヌ仕立て。

2019年3月にホテルとしてオープンする矢岳駅の旧駅長官舎も築約110年の文化財。
挨拶に立ったNOTE人吉球磨の村口 隆代表(元人吉市議)は、「今日はスタート地点に立っただけでこれからが本当の勝負、試練が始まります。
明治時代の歴史的遺産を利用した新たなビジネス。過疎化や限界集落などの問題も抱えている地方の明るいニュースとなり、魅力的な施設になることを願いたいです。
ネックとなりそうなのは、肥薩線の“山線”(人吉~吉松)を運行する列車が1日3往復しかないことですが、ランチタイムであれば人気アニメ『夏目友人帳』の舞台となった景色を探してみたり、付近の散策やハイキングに出掛けたりすることも可能です。また人吉市中心部からクルマで15分程度であるため、意外に近く感じるかもしれません。
なお、レストランとホテルを運営する「CLASSIC RAILWAY HOTEL」では現在、目標額300万円でクラウドファンディングを募っています。