残り2編成になり、まもなく東海道新幹線から引退するJR東海の700系電車(C編成)。その車体に特別な装飾が施されました。
まもなく東海道新幹線(JR東海)から引退する700系電車に、2020年2月10日(月)、車体装飾が施されました。
JR東海の大井車両基地(東京都品川区)で「先頭車検修装置」という、各新幹線車両の先頭形状に合わせて変形する作業台が700系の正面に据え付けられ、「SHINKANSEN Series 700 ありがとう 東海道新幹線 LAST RUN 2020.3.8」と書かれた装飾が、その形状から「カモノハシ」とも呼ばれる700系の個性的な顔に貼られていきます。
引退にあたって装飾が施されたJR東海の700系(2020年2月10日、恵 知仁撮影)。
3月8日(日)のラストランと、それに向けたこの装飾の実施にあたり、車両の洗浄と合わせて補修もしているといい、JR東海 新幹線鉄道事業本部 運輸営業部の延原正蔵さんは、「最後はできるだけいい状態で、走らせてあげたいです」と話します。
その補修作業の際、「ここも、ここも補修してあげよう!」となり、700系に対する皆の愛情を延原さんは感じたそうです。
東海道新幹線引退の700系 側面は別デザイン 今後の運転予定は?700系の車体装飾は前面のほか、1・16号車の運転席側面、5・9・15号車の側面にも、異なるデザインのものが施されました。運転席側面の装飾は、かつての300系電車、100系電車の東海道新幹線ラストラン時のものを受け継ぐような、車体側面の青帯を生かしたデザインです。

引退にあたり700系の運転席側面部分に施される装飾(2020年2月10日、恵 知仁撮影)。
700系は、1999(平成11)年3月13日にデビュー。JR東海の700系は最大で60編成がそろいましたが、その役割を後輩のN700系(N700A)に譲り、現在は2編成(C53、C54編成)のみになりました。
この装飾が施されたJR東海の700系は、2020年2月12日(水)の東京発新大阪行き「のぞみ305号」から運行される予定です。どの列車にこの700系が用いられるかは、JR東海のウェブサイトで確認できます。
700系新幹線の「AMBITIOUS JAPAN!」デザインは…700系による東海道新幹線最後の列車は、3月8日(日)の臨時「のぞみ315号(『ありがとう東海道新幹線700系』のぞみ号)」。発売開始から34秒で、約1300席が完売しました。この「のぞみ315号」では、東京駅での出発式、新大阪駅での引退式、乗客への記念品プレゼントも行われます。ちなみにこの「のぞみ315号」は、C53編成の使用を予定しているそうです。

JR東海 新幹線鉄道事業本部 運輸営業部の延原正蔵さん(2020年2月10日、恵 知仁撮影)。
ちなみに、700系の東海道新幹線引退にあたって、2003(平成15)年から700系で行われた「AMBITIOUS JAPAN!」デザインの復活も案に出たそうですが、今回は「感謝を伝えたい」ということから、実現していません。ただ「リニア・鉄道館」(名古屋市港区)に収蔵されている700系で実現しており、3月16日(月)まで、同館でその懐かしい姿が見られます。
なお今回、JR東海の700系(C編成)は引退しますが、JR西日本の所有車両が今後も山陽新幹線で走ります。ただ定期列車として走るのは、色がグレーで8両編成の「ひかりレールスター」編成(E編成)のみ。JR東海から引退するC編成と同様の、白い16両編成の700系(B編成)も山陽新幹線に残りますが、臨時列車用で、日常的には見られない車両になりそうです。