映画に登場した戦闘機は数あれど、なかでもF-14「トムキャット」は作品や役回りにも恵まれたといえるでしょう。逆にリアルでは空戦無敗でも映画では……『トップガン』などハリウッド映画を中心に「映画の戦闘機」を概観します。
2020年5月13日(水)、トム・クルーズが主演する映画『トップガン マーベリック』が、同年12月25日に公開されることが明らかにされました。
『トップガン マーベリック』の主役機を務めるF/A-18E「スーパーホーネット」(画像:アメリカ海軍)。
『トップガン マーベリック』は、1986(昭和61)年に公開された映画『トップガン』の続編です。アメリカ海軍の若きパイロットの成長を描いた『トップガン』は、当時スター街道を駆け上っていたトム・クルーズの人気と、軍隊を舞台にした映画にありがちな泥臭さを排除した演出に加え、アメリカ海軍の協力により撮影された、実物の戦闘機を使ったアクションシーンの人気もあいまって、アメリカでは1986年度の全米興行収入第1位、日本でも1987(昭和62)年度の洋画配給収入第1位を獲得するなど、世界的な大ヒット作となりました。
『トップガン マーベリック』は、前作では若き戦闘機パイロットだったトム・クルーズ演じるピート・ミッチェル、通称「マーベリック」が、数十年の時を経て教官パイロットとなった姿を描いた作品になると報じられています。
前作でマーベリックが搭乗していたF-14「トムキャット」は、2006(平成18)年9月にアメリカ海軍から退役しており、『トップガン』の続編製作が決定した際、ネット上ではマーベリックがどの戦闘機に搭乗するのかが話題となっていました。
その後、公開された『トップガン マーベリック』の予告編で、マーベリックの搭乗する戦闘機が、現在のアメリカ海軍の主力戦闘機F/A-18E/F「スーパーホーネット」であることが明らかになっています。
Mig-28や零戦と「共演」したF-14「トムキャット」前にも述べたように『トップガン』の製作にはアメリカ海軍が協力しており、撮影には実物のF-14と空母「レンジャー」が使用されました。
アメリカ海軍は1980(昭和55)年に公開された『ファイナル・カウントダウン』の製作にも協力しており、この作品でもF-14が大いにスクリーンを賑わせています。F-14は、実際の戦場ではそれほど戦果を挙げた戦闘機とはいえないのですが、『トップガン』と『ファイナル・カウントダウン』への出演によって、戦闘機ファン以外からの高い認知度を獲得し、2020年現在でも高い人気を保っています。
1978年に撮影された空母「レンジャー」(画像:アメリカ海軍)。
『トップガン・マーベリック』でF-14に代わってマーベリックの乗機となるF/A-18E/Fは、2001(平成13)年に公開された映画『エネミー・ライン』で、オーウェン・ウィルソン演じる主人公の乗機として登場していますが、開始早々に撃墜されるという憂き目に遭っています。
俳優にたとえるなら、これまで映画ではあまり良い役を与えられてこなかったことになるF/A-18E/Fですが、『トップガン マーベリック』でトム・クルーズの愛機という役回りに抜擢されたことで、今後は人気急上昇……ということになるかもしれません。
エイリアンの巨大円盤と戦ったりゴジラにトドメを刺したりしたのは…?F-14とF/A-18E/Fに限らず、戦闘機には出演作とそこでの役回りに恵まれている機種と、そうでない機種があると、筆者(竹内 修:軍事ジャーナリスト)は思います。
アフガニスタン上空を飛行するF/A-18C「ホーネット」(画像:アメリカ海軍)。
F/A-18E/F「スーパーホーネット」に対し「レガシーホーネット」とも呼ばれる、F/A-18A/B/C/D「ホーネット」は、1996(平成8)年に公開された『インデペンデンス・デイ』で、ウィル・スミス演じる主人公の愛機としてエイリアンの戦闘機とドッグファイトを演じ、また映画後半ではビル・プルマン演じるアメリカ合衆国大統領が自ら搭乗して、エイリアンの巨大円盤に対する反抗作戦を行なうなど、多くの見せ場が用意されていました。
また1998(平成10)年に公開された『GODZILLA』(ローランド・エメリッヒ監督版)でも、F/A-18C「ホーネット」はゴジラにとどめを刺しており、出演作にも劇中での役回りにも恵また戦闘機のひとつといえるでしょう。
反対に出演作と役回りに恵まれていない戦闘機の代表格といえるのが、航空自衛隊の主力戦闘機でもあるF-15「イーグル」です。
空では無敵のF-15「イーグル」 銀幕では…?1990(平成2)年、東映は日本版『トップガン』を目指して、航空自衛隊の若きパイロットを主人公とする『BEST GUY』を製作し、そこでは航空自衛隊のF-15Jが主人公の愛機として登場しています。
『BEST GUY』の製作には航空自衛隊が協力しており、F-15Jをはじめとする実機も多数登場し、そのシーンの迫力はいまでも高く評価されていますが、ソ連空軍(当時)のSu-27「フランカー」戦闘機に対する緊急発進のシーンでは、当時まだ黎明期であったCGを使用したため、実機の迫力とのギャップが大きく、それもあってか興行的にも成功とはいえない成績に終わり、現在ではカルトな人気を持つ「怪作」として語り継がれています。
航空自衛隊千歳基地 第201飛行隊のF-15J「イーグル」(画像:航空自衛隊千歳基地)。
海外では、1986(昭和61)年から1995(平成7)年にかけて、戦闘機パイロットを主人公に据えた映画『アイアンイーグル』シリーズが4本製作されていますが、『アイアンイーグル』というタイトルであるにもかかわらず、シリーズに登場するのはF-16やレシプロ戦闘機P-38「ライトニング」などで、F-15「イーグル」は一度も登場していません。
F-15は、空対空戦闘で一度も撃墜されることなく100機以上の敵機を撃墜し、また戦闘爆撃機型のF-15E「ストライクイーグル」も湾岸戦争などで大きな戦果を挙げるなど、確実に戦闘機の歴史に名機としてその名を刻むはずです。

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