案内の利便性を高めるために導入された駅ナンバリングシステム。駅ごとに1から順に番号が振られていますが、途中に新駅が開業したらどうなるのでしょうか。
駅ナンバリング(駅番号)は、特に外国からの利用客が「今どの駅にいるか」を瞬時に判断でき、日本語の知識を必要とせず鉄道を利用できるシステムとして、近年、急速に導入が進みました。駅ナンバリングシステムは既設の駅に導入する分には問題ありませんが、駅が新設される場合は、どう対応するのでしょうか。
品川駅(JY25)の次が田町駅(JY27)。新駅「高輪ゲートウェイ」設置を見越して、駅番号は開業前から飛ばして割り当てられていた(画像:写真AC)。
2020年6月には、東京メトロ日比谷線に虎ノ門ヒルズ駅が開業しました。同駅は、神谷町駅(H05)と霞ケ関駅(H06)のあいだに設置されましたが、その際、駅番号は虎ノ門ヒルズ駅を新たに「H06」とし、霞ケ関駅は「H07」、次の日比谷駅は「H08」、とひとつずつ番号を繰り下げました。
このように、駅番号は新駅ができると新たに番号を振り直す必要性が生じ、旅客案内などでも大きな影響が発生します。
今後の例としては、東武東上線の東武竹沢~男衾(おぶすま)間に2020年10月31日(土)、みなみ寄居〈ホンダ寄居前〉駅が開業予定ですが、開業後は男衾~寄居間の駅番号がひとつずつ繰り下がることが発表されています。
番号の繰り上げは影響が大きいことから、JR四国ではほかの駅に変更を与えないよう、土讃線の波川駅(K08)と日下(くさか)駅(K09)のあいだに開業した小村神社前駅には、「K08-1」と枝番号付きになりました。この方式ならば、ほかの駅番号を変更しなくてよいというメリットがありますが、「K08」「K08-1」という似たような表記が並ぶことで、一見わかりづらくなるというデメリットもあります。
このように、いちど決定した駅番号を変更するのはさまざまな手間がかかるため、駅番号を導入する段階で新駅の設置が見込まれる場合は、あらかじめ新駅に駅番号を割り当て、開業までは駅番号を空けておく措置をとる場合もあります。

高輪ゲートウェイ駅の駅番号は、JR山手線が「JY26」、京浜東北線が「JK21」(2020年6月、児山 計撮影)。
この方式を採用した例が、JR山手線・京浜東北線の品川(JY25・JK20)~田町(JY27・JK22)間に開業した高輪ゲートウェイ駅で、あらかじめ同駅に「JY26・JK21」を割り当て、両線とも駅番号を付番し直す手間を省いています。
それでは駅が廃止となった場合、駅番号はどうなるのでしょう。
ナンバリングシステム導入後に駅が廃止となった例は、JR北海道で見られます。たとえば、根室本線で2017年3月4日まで営業していた島ノ下駅(現在は島ノ下信号場)には、「T29」という駅番号が割り振られていましたが、廃止後は欠番となり、同駅の次駅となる富良野駅の駅番号は「T30」のままとなっています。
これは駅ナンバリングシステムが、必ずしも連番でなくては機能しない性質のものではなく、あえてコストをかけて付番し直す必要性がそれほど高くないためです。
このように、駅番号は必ずしも連番であるとは限らず、番号が飛んだり不自然な番号になったりしている場合は、何らかの理由が隠されているのです。
※一部修正しました(6月29日6時25分)。