特急形車両は通常、運賃とは別に特急料金などを支払って乗るものです。しかしこの特急形車両の列車に運賃だけで乗れる列車があります。

その例をいくつか紹介します。

途中から普通や快速になる特急列車

 リクライニングシートや洗面所などといった特急形車両の車内設備は、特急料金を別途支払った場合に利用できる特権のようなものです。しかしJR線には運賃のみで特急形車両に乗れる場合があります。2020年8月現在の例をいくつか紹介します。

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373系特急形車両は、JR東海道本線の浜松~豊橋間などで普通列車として運転される時間帯がある(2016年5月、恵 知仁撮影)。

 東京~安房鴨川間を走る特急「わかしお」のうち17号と21号は、勝浦~安房鴨川間で全席自由席の普通列車として運転されます。車両は特急形のE257系電車です。市販の時刻表にも、当区間が普通列車で運転される旨が記載されています。

 東京都区内と神奈川県西部を東海道本線経由で結ぶ「湘南ライナー」の下り列車は、大船(一部は藤沢)~小田原間は快速列車として運転されます。車両は特急形の185系電車と、特急形ではありませんが2階建ての215系電車が使われます。

 同じく東海道本線の浜松~豊橋間などでも、特急形の373系電車が普通列車に使われる時間帯があります。

「青春18きっぷ」でも乗れる特急形車両

 JR全線の普通列車が乗り放題になる企画乗車券「青春18きっぷ」では原則、特急列車に乗れません。

しかし次の区間では特例として、普通車に限り乗車が認められています。これは「青春18きっぷ」に限らず乗車券のみで利用する場合も同様です。

普通列車だけど見た目は特急 運賃だけで乗車可能 「青春18きっぷ」もOKなJRの区間とは

JR石勝線の新得~新夕張間では、特急「おおぞら」に使われるキハ283系ディーゼルカーに乗車券のみで乗れる(2009年10月、恵 知仁撮影)。

JR北海道 石勝線の新得~新夕張間
 特急「おおぞら」「とかち」のキハ283系ディーゼルカーやキハ261系ディーゼルカー

JR東日本 奥羽本線の新青森~青森間
 特急「つがる」のE751系電車

JR九州 佐世保線の早岐~佐世保間
 特急「みどり」の783系電車や787系電車

●JR九州 宮崎空港線の宮崎~宮崎空港間
 特急「にちりん」「きりしま」などの783系電車や787系電車

 これらの区間では、そもそも特急列車しか運転されていなかったり普通列車の少ない本数を補ったりするため、特急券なしで特急形車両に乗れるのです。

 ほかにも特急形車両の回送を兼ねて普通列車として営業運転するケースもあります。

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