10月22日にスタートした男子に続いて、いよいよ女子も29日に2022-23 V.LEAGUE DIVISION1(V1)が開幕。10月15日に閉幕した女子世界選手権(5位)で躍動した選手など、今シーズンに活躍が期待される女子バレーボーラー10人を紹介する。



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世界選手権で飛躍、注目ルーキー、休養からの復帰も。2022-...の画像はこちら >>
■濵松明日香(はままつ・あすか)

所属:久光スプリングス ミドルブロッカー・182cm

1998年12月22日生まれ 島根県浜田市出身 誠英高校

 栗原恵らを輩出した名門・誠英高(山口県)の出身。久光入団から2年間はほとんどコートに立つことができなかったが、3年目の2020-21シーズンから出場機会が増え、昨シーズンは主力として活躍。皇后杯とVリーグ優勝の2冠に貢献した。

 ミドルブロッカーとしてはパワフルなスパイクを打つことが特徴で、今年度は日本代表にも初登録。ネーションズリーグではあまり持ち味を発揮することができなかったが、その後B代表に合流。AVCカップに出場し、全試合スタメンの活躍で金メダル獲得に貢献した。


「欧米とアジア、それぞれのブロックのつき方の違いなども学んだので、Vリーグでも活かしたい」と語る濵松はまだまだ成長途中。国際経験を経て、Vリーグでもより進化した姿を見せてくれるに違いない。

(photo by 堀江丈)

世界選手権で飛躍、注目ルーキー、休養からの復帰も。2022-2023シーズンのVリーグで期待の女子バレーボーラー10人
■林琴奈(はやし・ことな)

所属:JTマーヴェラス アウトサイドヒッター・173cm

1999年11月13日生まれ 京都府京都市出身 金蘭会高校

 金蘭会高時代は主将として春高バレーで全国制覇し、MVPも受賞。JT入団後も内定選手の時から大事な試合で起用されるなど、攻守で安定したプレーを持ち味としている。

 日本代表には2020年に初登録。翌年の東京五輪は控え選手で出番が少なく、実力が発揮されないまま不完全燃焼に終わったが、今年の日本代表ではレギュラーに定着した。
ロンドン五輪銅メダリストの新鍋理沙を思わせる正確なサーブレシーブや、海外チームの強打を拾い上げるディグ、173cmと決して高くない身長で相手ブロックをかわしたり利用したりと、巧みに決める攻撃センスを武器に活躍。世界選手権では、主将の古賀紗理那が負傷でフル出場できない中、準々決勝のブラジル戦でチーム最多の21得点を挙げるなど代表になくてはならない存在となった。

 もともとテクニックに定評のある選手だが、代表での活躍を経て、今季のVリーグではさらに磨きがかかったプレーが堪能できそうだ。

(photo by 坂本清)

世界選手権で飛躍、注目ルーキー、休養からの復帰も。2022-2023シーズンのVリーグで期待の女子バレーボーラー10人
■黒後愛(くろご・あい)

所属:東レアローズ アウトサイドヒッター 180cm

1998年6月14日生まれ 栃木県宇都宮市出身 下北沢成徳高校

 木村沙織らを輩出した名門・下北沢成徳高の出身で、バレーセンスが高く評価される逸材だった。高校時代は主将として春高バレー優勝、ユース世界選手権でベストサーバーに選ばれるなど順調なバレー人生を歩み、2017年に東レに入団。翌年には日本代表として世界選手権にも出場した。


 2020年には東レの主将に就任。22歳の若さでチームをまとめ、チームは準優勝した。2021年の東京五輪でもエースとして期待されたが、本来のパフォーマンスを見せられず、大会後に休養を発表。2021-22シーズンはVリーグの全試合を欠場した。

 その後の経過が心配されていたが、今年6月に自身のSNSでチームへの復帰を報告。今月、故郷で開催された栃木国体ではリリーフサーバーとして出場し、ファンを喜ばせた。
今季はコートに"黒後スマイル"が戻ってくることが楽しみだが、焦ることなく一歩ずつ歩みを進めてほしい。

(photo by 堀江丈)

世界選手権で飛躍、注目ルーキー、休養からの復帰も。2022-2023シーズンのVリーグで期待の女子バレーボーラー10人
■関菜々巳(せき・ななみ)

所属:東レアローズ セッター 171cm

1999年6月12日生まれ 千葉県船橋市出身 柏井高校

 2018年に東レに入団すると、いきなり正セッターに。ミドルブロッカーを活かすことができるセッターとして注目され、2018-19シーズンにチームは準優勝、関自身も最優秀新人賞とベスト6を受賞した。

 2019年から日本代表に初登録されるが、ワールドカップ、東京五輪のメンバーからは落選。今年のネーションズリーグから試合を任されるようになり、世界選手権では全試合スタメン出場を果たした。女子代表の眞鍋政義監督は、日本代表にふさわしいセッターの条件のひとつとして「ディフェンスのよさ」を掲げているが、東レに入団当初の関は「苦手なプレーはディグ」と話していた。
しかし今年はディグの練習に力を入れ、手応えを感じているという。

 東レは荒木絵里香、木村沙織が在籍していた2011-12シーズンを最後に優勝から遠ざかっており、関の入団後は、あと1歩のところで優勝を逃した年も。チームメイトである石川真佑とともに、世界選手権ではブラジルをはじめとした強豪と互角に戦い、自信をつけて挑む今シーズンは関にとって勝負の年になるだろう。

(photo by 坂本清)

世界選手権で飛躍、注目ルーキー、休養からの復帰も。2022-2023シーズンのVリーグで期待の女子バレーボーラー10人
■古賀紗理那(こが・さりな)

所属:NECレッドロケッツ アウトサイドヒッター・180cm

1996年5月21日生まれ 佐賀県出身 熊本信愛女学院高校

 今年度は日本代表の主将に就任。プレーでチームメイトを引っ張るタイプのキャプテンで、コート外でも後輩の選手たちをフォローするなど、きめ細やかな心配りでチームをまとめていた。

 世界選手権では第3戦の中国戦で右足首を負傷。
大怪我を負った東京五輪の時と同じような状況だっただけに心配されたが、軽い捻挫と診断され、第6戦のベルギー戦から復帰を果たすことができた。高速バックアタックが持ち味で、前衛でのスパイクやブロック、サーブなどのテクニックについても「若手の頃と比べて格段にスキルアップしている」と眞鍋監督は賞賛する。

 所属するNECでもチーム力を重視しつつ、「得点することが私の役割」と常に発言している古賀。Vリーグでもさらなる成長が見られるのか、目が離せない。

(photo by 坂本清)

世界選手権で飛躍、注目ルーキー、休養からの復帰も。2022-2023シーズンのVリーグで期待の女子バレーボーラー10人
■山田二千華(やまだ・にちか)

所属:NECレッドロケッツ ミドルブロッカー・184cm

2000年2月24日生まれ 愛知県豊田市出身 豊橋中央高校

 NECに入団した2018-19シーズンはベンチ入りもなかなかできなかったが、2019年のU20代表に選出され、世界ジュニア選手権で金メダル獲得に貢献。2019-20シーズンからはNECでもコートに立つようになった。

 もともとはブロック力を売りとする選手だったが、昨シーズンのVリーグではアタック決定率が6位(日本人2位)と攻撃面でも大きく飛躍。その後の日本代表ではネーションズリーグまではベンチアウトになるラウンドもあるなど不調の時期もあったが、世界選手権ではポテンシャルが大きく開花した。特に準々決勝のブラジル戦では19得点(スパイク12、ブロック7)を記録。フルセットの末に敗れたものの、東京五輪では出番が少なく、悔しい思いをしていた山田にとっては忘れられない試合になっただろう。

 両膝のコンディションを理由に、今年からサーブのフォームを片足から両足踏み切りに変えたが、これにより安定感が増し、世界選手権ではサーブで相手を崩して連続ブレイクする場面も見られた。所属するNECは昨シーズン4位という成績で、2016-17シーズン以来優勝から遠ざかっている。だが、今季は日本代表で覚醒した山田がチームを牽引する姿が見られそうだ。

(photo by 坂本清)

世界選手権で飛躍、注目ルーキー、休養からの復帰も。2022-2023シーズンのVリーグで期待の女子バレーボーラー10人
■福留慧美(ふくどめ・さとみ)

所属:デンソーエアリービーズ リベロ・162cm

1997年11月23日生まれ 京都府京都市出身 京都橘高校→龍谷大学

 デンソー入団2年目の昨シーズンから正リベロに定着。サーブレシーブの成績はリベロとしては目立たなかったが、ディグ力に定評があり、今年度の日本代表に登録された。母校の龍谷大学は元日本代表の江藤直美氏が監督を務めており、福留はシニアでは卒業生初の日本代表選手となった。

 7月まで開催されたネーションズリーグには選出されず、8月に岡山と姫路で行なわれた紅白戦から代表合宿に合流。2019年ワールドカップに出場した山岸あかね(埼玉上尾メディックス)、ネーションズリーグでスタメン出場が多かった小島満菜美(NECレッドロケッツ)を抑えて、世界選手権出場メンバー14人に名を連ねた。

 世界選手権では、本職がアウトサイドヒッターの内瀬戸真実(埼玉上尾メディックス)がもうひとりのリベロとしてサーブレシーブを担当し、福留はディグリベロの役割を担っていたが、2次ラウンドの後半からサーブレシーブも受けるようになった。フルセットとなった準々決勝・ブラジル戦ではひとりで5セットを戦い抜いた。このサクセスストーリーをVリーグでも継続できるか。

(photo by 坂本清)

世界選手権で飛躍、注目ルーキー、休養からの復帰も。2022-2023シーズンのVリーグで期待の女子バレーボーラー10人
■高間来瞳(たかま・くるみ)

所属:日立Astemoリヴァーレ アウトサイドヒッター・178cm

1999年8月24日生まれ 愛知県岡崎市出身 岡崎学園高校→筑波大学

 筑波大では主将を務め、全日本インカレ3位などの成績を残した大卒ルーキー。シャープなスパイクと守備力がセールスポイントで、目力のある表情も印象的だ。

 所属する日立Astemoのアウトサイドヒッターは、日本代表で今年のAVCカップに出場した主将の長内美和子や、4年目で高間と同い年の上坂瑠子、東九州龍谷高時代に春高バレーでMVPを獲得した"小さな巨人"室岡莉乃などライバルが多い。まずは持ち味を発揮して、ポジション争いに加わりたいところだ。元日本代表でバルセロナ、アトランタ、北京と3度の五輪に出場した多治見麻子監督のもと、ルーキーイヤーにどこまで成長できるのかに注目したい。

(photo by 坂本清)

世界選手権で飛躍、注目ルーキー、休養からの復帰も。2022-2023シーズンのVリーグで期待の女子バレーボーラー10人
■山形理沙子(やまがた・りさこ)

所属:トヨタ車体クインシーズ セッター/リベロ・170cm

1995年7月4日生まれ 宮崎県東臼杵郡出身 延岡学園高校→鹿屋体育大学

 大卒でトヨタ車体に入団し、5年目を迎えるセッター。昨シーズンはチーム事情からリベロのポジションに初挑戦した。もともとディフェンス力のあるセッターだったため、山形がディグリベロ、一度引退して復帰したアウトサイドヒッターの村永奈央がレセプションリベロを務めるという布陣で、格上のNECにストレートで勝利することもあった。

 昨シーズンのトヨタ車体は勝ち星に恵まれず、開幕から17連敗と非常に苦しんだシーズンだったが、前述のNEC戦あたりから巻き返し、V2との入替戦を回避することができた。「チームのためなら何でもやりますという気持ちで引き受けた」というリベロのポジション。山形は本職がセッターであることを生かし、コートではセッターの山上有紀に積極的に声をかけていたという。

 今シーズンはKUROBEからリベロの立石優華が移籍加入したため、山形がリベロを務めることはないかもしれないが、昨シーズンの経験が本来のセッターのポジションでも役立つことがあるに違いない。

(photo by 坂本清)

世界選手権で飛躍、注目ルーキー、休養からの復帰も。2022-2023シーズンのVリーグで期待の女子バレーボーラー10人
■宮部藍梨(みやべ・あいり)

所属:ヴィクトリーナ姫路 アウトサイドヒッター/ミドルブロッカー・181cm

1998年7月29日生まれ 兵庫県尼崎市出身 金蘭会高校→ミネソタ大学

 今年度は妹の愛芽世(あめぜ)とともに日本代表に選出され、姉妹で世界選手権に出場。藍梨にとっては高校以来、6年ぶりの日本代表だった。今年5月には出身地に近いヴィクトリーナ姫路への入団も発表され、今シーズン、24歳でVリーグデビューを果たすことになった。

 ナイジェリア人の父を持ち、長身でバレーセンスのあった宮部は中学生時代から注目され、高校では1年生からエースとして活躍。東京五輪に向けての強化対象選手「Team CORE」にも選出された。2年時にはシニアの日本代表に登録され、ワールドグランプリで代表デビューを果たした。

 しかし、2017年9月にアメリカに留学して以降は、アメリカの大学(2年制のサウスアイダホ大からミネソタ大に編入)でバレーボールを続け、今年度の復帰まで日本代表に選出されることもなかった。ファンも久しぶりに宮部のプレーを見ることになった世界選手権は、従来のアウトサイドヒッターではなくミドルブロッカーとして出場。途中出場の試合が多かったが、高さを生かした攻撃やブロック、サーブで得点し、チームを救った。

 姫路では「どちらのポジションで試合に出るのかまだわからない」と話していた宮部。ポジションにかかわらず、持ち前のポジティブな性格でチームに明るさをもたらしてくれそうだ。

(photo by FIVB)