12月18日、阪神競馬場で2歳馬によるGⅠ朝日杯フューチュリティS(芝1600m)が行なわれる。

朝日杯FSはディープインパクトとルーラーシップの血が共通する...の画像はこちら >>

前走のサウジアラビアロイヤルCを制したドルチェモア

 昨年の同レース勝ち馬ドウデュースは、今年のGⅠ日本ダービーを制覇。
1994年のナリタブライアン以来、28年ぶりに朝日杯フューチュリティS(当時は朝日杯3歳ステークス)を制した馬がダービー馬となった。

そのほか、2着のセリフォスはGⅠマイルチャンピオンシップを、3着のダノンスコーピオンはGⅠNHKマイルCを、5着のジオグリフがGⅠ皐月賞を制するなど、4頭が今年のGⅠを勝利。さらに、6着のトウシンマカオがGⅢ京阪杯、8着のプルパレイがGⅢファルコンSで勝利を挙げており、稀に見る"出世レース"となっている。

このレースを血統的視点から分析していきたい。開催場が中山から阪神に変更されたのは2014年からだが、それ以降、レースの血統的傾向はガラッと変わった。以前はストームキャット系などスピードタイプの種牡馬の産駒が多かったが、2015年以降に勝利した馬の父馬を見るとディープインパクトが3勝、ハーツクライが2勝と、クラシックタイプの種牡馬が5勝。
直線が長くなって、よりスタミナと底力が要求されるレースとなった影響だろう。

 今年はディープインパクト産駒もハーツクライ産駒も登録がないが、このタイプの種牡馬を考えると、ルーラーシップ産駒のドルチェモア(牡2歳、栗東・須貝尚介厩舎)が気になる存在だ。

 父ルーラーシップは香港のGⅠクイーンエリザベス二世C(芝2000m)の勝ち馬。種牡馬としては、GⅠ菊花賞(芝3000m)を勝ったキセキなど、中長距離の上級馬を多く輩出している。朝日杯フューチュリティSでは、2019年にグランレイが14番人気(単勝229.3倍)ながら3着と激走。同コースで行なわれた12月11日のGⅠ阪神ジュベナイルフィリーズでも、ドゥアイズが10番人気ながら3着に入った。
ちなみに、ドルチェモア、キセキ、ドゥアイズは母の父がディープインパクトという配合だ。

 さらに今年の春には、「祖母の父がストームキャット」という配合がドルチェモアと共通するソウルラッシュが、今回と同じコース・距離のGⅡマイラーズCを勝利している。また、ドルチェモアの母アユサンは、同じ舞台で行なわれたGⅠ桜花賞の勝ち馬という良血でもある。

 血統だけでなく高い能力も実証済み。8月の新馬戦(札幌・芝1500m)を勝ち、前走のGⅢサウジアラビアロイヤルC(東京・芝1600m)を1馬身1/4差で勝利。サウジアラビアロイヤルCの勝ち馬では2017年ダノンプレミアム、2019年サリオスが朝日杯フューチュリティSも勝つなど関連性は高い。

ドルチェモアの同レースの勝ちタイム1分33秒4は、その2頭に次ぐ史上3位のタイムというのも心強い。血統、レース内容ともに申し分ないこの馬を本命に推す。

 もう1頭はオールパルフェ(牡2歳、美浦・和田雄二厩舎)に注目する。同馬はドルチェモアの父であるルーラーシップを母の父に持ち、父リアルスティールはGⅠドバイターフ(芝1800m)の勝ち馬でディープインパクト産駒。加えて、リアルスティールは母の父がストームキャットなので、ドルチェモアとは父と母を逆にしたような配合になる。

 オールパルフェも実績は十分で、朝日杯フューチュリティSの重要なステップレースであるGⅡデイリー杯2歳S(阪神・芝1600m)を勝利。
昨年のGⅡデイリー杯2歳S勝ち馬セリフォスは前述のように朝日杯フューチュリティSで2着に入り、後にマイルチャンピオンシップを勝利している。2018年には、アドマイヤマーズがデイリー杯2歳Sと朝日杯フューチュリティSを連勝しているだけに、オールパルフェも上位争いをする可能性は高い。

 以上、今年の朝日杯フューチュリティSは、ともにディープインパクトとルーラーシップの血を持つドルチェモア、オールパルフェに期待する。