大谷翔平(ロサンゼルス・エンゼルス)は過去2シーズンとも、30本以上のホームランを打っている。2021年は46本塁打、2022年は34本塁打を記録した。

 30本塁打以上のストリーク(連続記録)は、1992年~2004年のバリー・ボンズと1998年~2010年のアレックス・ロドリゲスによる「13シーズン連続」が最も長い。ただ、大谷が今シーズンもエンゼルスで30本以上のホームランを打てば、球団最長のストリークに並ぶ。

大谷翔平は2023シーズンどんな新記録を成し遂げる? 注目は...の画像はこちら >>

大谷翔平は2023年も新たな記録に挑戦する

 これまでにエンゼルスで3シーズン連続30本塁打以上を記録した選手は、1995年~1997年のティム・サーモン(34本、30本、33本)、2000年~2002年のトロイ・グロース(47本、41本、30本)、2004年~2006年のブラディミール・ゲレーロ(39本、32本、33本)、2017年~2019年のマイク・トラウト(33本、39本、45本)の4人だ。ゲレーロはトロント・ブルージェイズにいるゲレーロJr.の父。殿堂入りしている。

 エンゼルスで4シーズン続けて30本塁打以上は、誰も達成していない。

4シーズン連続にリーチをかけた4人中、1998年のサーモンは26本塁打、2003年のグロースは16本塁打、2007年のゲレーロは27本塁打。

 2020年のトラウトは新型コロナウイルスの蔓延に伴い、シーズンが1チーム60試合に短縮され、17本塁打に終わった。なお昨年、トラウトは40本のホームランを打ったが、一昨年は出場36試合で8本塁打だったので、今シーズンが30本塁打以上でも2シーズン連続だ。

 大谷は、シーズン中に延長契約を交わさないかぎり、今オフにFAとなる。そのため、この夏にトレードでエンゼルスを去る可能性もある。シーズン全体では30本塁打に達しても、エンゼルスで3シーズン連続30本塁打以上とはならないかもしれない。

 もっとも2021年の場合、シーズン30本目のホームランを打ったのは7月2日だった(2022年は8月31日)。2シーズン前と同じかそれに近いペースでホームランを量産すれば、夏に移籍しても、その前にエンゼルスで3シーズン連続30本塁打以上となり得る。

【今季48本塁打を打てば...】

 また、大谷は2018年のメジャーデビュー以降、これまでの5シーズンに通算127本塁打を記録している。この本数は、日本人メジャーリーガーのなかでは2番目に多い。昨年8月、通算117本塁打のイチローに並び、追い抜いた。現時点で大谷の上に位置しているのは、通算175本塁打の松井秀喜しかいない。

 松井と大谷の通算本塁打の差は48本だ。

今シーズンが終わるまでに大谷が松井に並ぶには、2021年と同じ本数では足りず、そこからプラス2本塁打が必要だが、決して不可能な本数ではないだろう。

 大谷自身もさることながら、成否のカギを握るのは「前後の打者」だ。

 たとえば、シーズンを通して大谷の直前にトラウト、直後にはアンソニー・レンドンが位置し、そのうえで彼らが揃って実力を発揮すれば、大谷が勝負を避けられる場面は減り、相手からのマークも分散されるはず。

 過去2シーズンのレンドンは、いずれも出場60試合に届かず、OPSは.715未満、ホームランは計11本に過ぎなかった。だが、その前の2017年~2020年(2019年まではワシントン・ナショナルズ)は4シーズン続けてOPS.905を超え、2019年は34本塁打を記録した。

 トラウトや大谷ほどのパワーはないが、2017年~2019年は3シーズンとも40本以上の二塁打を打っている。

今春のエキシビションゲームでは、打率.500(34打数17安打)、出塁率.564、2本塁打、4二塁打と好調だ(3月27日時点)。

 加えて今シーズン、大谷が途中で移籍することなく松井の通算本塁打に並ぶと、シーズン48本塁打はエンゼルスの球団記録を塗り替える。球団記録は2000年にグロースが記録した47本塁打。

 球団2位は2021年の大谷(46本)、3位は2019年のトラウト(45本)。エンゼルスの本塁打王は、2000年のグロースを最後に途絶えている。大谷とともにトラウトも40本塁打以上なら、エンゼルスの40本塁打デュオは2015年にトラウト(41本)とアルバート・プホルス(40本)以来、2組目となる。

【サイ・ヤング賞も夢じゃない】

 一方、投手としての大谷は、2019年が全休、2020年も2登板なので、実質的には今シーズンがメジャーリーグ4年目。規定投球回に達したのは昨シーズンが初めて。なので、打者としてのようなストリークやマイルストーンを達成することはなさそうだ。

 ただ、大谷は日本人メジャーリーガー初のサイ・ヤング賞投手となっても、おかしくない。

 シーズンを通し、エンゼルスが6人ローテーションを継続するか、先発投手5人とスウィングマン1人の変則6人ローテーションを採用した場合、通常の5人ローテーションで投げる他チームの投手と比べると、大谷の登板とイニングはやや少なめになる。この点は、サイ・ヤング賞の投票においては不利な要素だ。

 けれども、昨シーズンのジャスティン・バーランダー(当時ヒューストン・アストロズ/現ニューヨーク・メッツ)は28登板の175.0イニングでサイ・ヤング賞を受賞した。

昨シーズン、大谷の登板はバーランダーと同じで、イニングは9.0イニング少ないだけ。1登板平均は約0.1イニングしか違わなかった。

 バーランダーのイニングはア・リーグ16位ながら、そこで記録した防御率1.75は2位のディラン・シース(シカゴ・ホワイトソックス)より0.45も低かった。登板とイニングがやや少なくても、防御率などでほかの投手に大差をつければ、大谷にも受賞のチャンスはあるということだ。

 もちろん、ダルビッシュ有(サンディエゴ・パドレス)、前田健太(ミネソタ・ツインズ)、菊池雄星(トロント・ブルージェイズ)に、ルーキーの千賀滉大(ニューヨーク・メッツ)と藤浪晋太郎(オークランド・アスレチックス)にもサイ・ヤング賞の可能性はある。

 ちなみに、サイ・ヤング賞の投票で2位にランクインした日本人メジャーリーガーは、ふたりいる。ダルビッシュはテキサス・レンジャーズ時代の2013年がア・リーグ2位、シカゴ・カブス時代の2020年はナ・リーグ2位。前田はツインズ1年目の2020年にア・リーグ2位だ。

【日米通算記録で次の大台は?】

 このほか、大谷には通過点だろうが、北海道日本ハムファイターズ時代も合わせると、野手としては日米通算の1000安打まで174本、200本塁打と200二塁打までそれぞれ25本と27本、100盗塁まで21盗塁に近づいている。

 日米を問わずこれまでのシーズン最多は、安打が2022年の160本、ホームランが2021年の46本、二塁打が2022年の30本、盗塁は2021年の26盗塁だ。

 投手としては、あと107.1イニングを投げると日米通算1000イニングとなる。日米1000奪三振は昨年8月に到達した。現時点では1065奪三振だ。