5月28日(日)、東京競馬場で3歳馬によるGⅠ日本ダービー(芝2400m)が行なわれる。

 混戦ムードだった3歳牡馬クラシック戦線だが、ソールオリエンスが豪快な追い込みでGⅠ皐月賞を差し切り、一気に主役に躍り出た。

とはいえ、GⅡ青葉賞を勝ったスキルヴィング(牡3歳、美浦・木村哲也厩舎)の評価も高く、"2強"と見ている人も多いようだ。筆者も注目する同馬の血統を深掘りしていこう。

日本ダービー「2強」の一角、スキルヴィングの血統の信頼度は?...の画像はこちら >>

トライアル競争のGⅡ青葉賞を制したスキルヴィング

 父はソールオリエンスと同じキタサンブラックで、現役時代は有馬記念など芝2000~3200mのGⅠを7勝。日本ダービーは14着大敗と縁がなかったが、同コースで行なわれたGⅠジャパンCを4歳時に制した。

 産駒は、イクイノックスが昨年のダービーでクビ差の2着と好走。先週のGⅠオークスでは、10番人気のラヴェルが4着に粘り込んでいる。
イクイノックスはGⅠ有馬記念(中山・芝2500m)やGⅠドバイシーマクラシック(メイダン・芝2410m)も勝利しているため、この距離に不安はないだろう。

 母の父シンボリクリスエスは、現役時代にGⅠ天皇賞・秋、有馬記念をそれぞれ2勝ずつした名馬で、ダービーはタニノギムレットに次ぐ2着だった。産駒のエピファネイア、その産駒のエフフォーリアはダービーで2着と惜敗しているが、母の父にシンボリクリスエスを持つレイデオロ(父キングカメハメハ)が、2017年のダービーを勝利している。

 スキルヴィングの血統はここからさらに奥がポイントだ。祖母の父アドマイヤベガが1999年のダービー馬で、母のいとこロジユニヴァースも2009年のダービー馬なのだ。近年のダービーは「父仔制覇」が多く、2007年のウオッカ(父タニノギムレット)以降はディープインパクト産駒7頭、キングカメハメハ産駒2頭を含む11頭が父仔制覇を果たしている。
2018年のワグネリアンは父ディープインパクト、母の父キングカメハメハがダービー馬だった。

 ダービーに縁がある血統馬では、1994年のナリタブライアン、2005年のディープインパクト、2013年のキズナ、2017年のレイデオロが同牝系。遠縁だが1998年のスペシャルウィーク、2006年のメイショウサムソン、2007年のウオッカも同じ一族だ。過去まで遡れば、他にも同牝系の例は多数ある。

 こう見ると、スキルヴィングの母系は十分にダービーと縁があるし、父の父ブラックタイドはダービー馬を7頭出したディープインパクトの全兄だ。直近4年連続を含む過去15年で、12頭の勝ち馬を送るサンデーサイレンス系でもある。



 スキルヴィングはトライアル競争のGⅡ青葉賞(東京・芝2400m)の勝ち馬。青葉賞の勝ち馬はダービーで勝てていないが、青葉賞がGⅡに格上げされた2001年以降に21頭が挑戦し、2着5回、3着2回と、まずまずの成績を残している。

 母の父シンボリクリスエスも、青葉賞を勝ってダービーでは2着だった。父キタサンブラックや母の父シンボリクリスエスはダービーで悔しい思いをした馬だが、祖母の父アドマイヤベガや近親ロジユニヴァースの後押しで、ダービー制覇といきたい。

 もう1頭はドゥラエレーデ(牡3歳、栗東・池添学厩舎)を挙げる。こちらは父ドゥラメンテ、父の父キングカメハメハ、母の父オルフェーヴルがダービー馬という"ダービー配合"だ。


 今回、父が同じシーズンリッチと同馬のみが「父仔制覇」のチャンスがあり、同時に史上初の「父仔3代制覇」がかかっている。ちなみに、おじのサトノダイヤモンドは2016年のダービーで落鉄し、ハナ差の2着と惜敗。スキルヴィングとは逆で、牝系の無念を父、母の父の血で晴らしたいところだ。

 以上、今年のダービーはダービーに縁のある血統馬スキルヴィング、ドゥラエレーデの2頭に期待する。