6月18日(日)、阪神競馬場で3歳以上牝馬によるGⅢマーメイドS(芝2000m)が行なわれる。

 今年は重賞勝ち馬がウインマイティー1頭と、やや小粒なメンバー構成となるが、このレースは条件馬が好走することも多い。

血統的視点を元に、そんな馬を探していきたい。

 過去約10年の阪神芝2000mの種牡馬別成績を見ると、ディープインパクトが25勝とダントツで、以下、キングカメハメハとハービンジャーが10勝で続く。そんな中で目立つのが7勝のキズナだ。

 まだレース数は46戦で勝利数は少ないが、勝率15.2%、連対率21.7%、複勝率23.9%という高い数字が残っている。その内訳も内容が濃く、2021年にシャムロックヒルがマーメイドSを勝利。他にもファインルージュがGⅠ秋華賞で2着、ステラリアが忘れな草賞を勝利、グランベルナデットが今年の忘れな草賞を勝利している。
キズナ産駒は阪神の芝中長距離が比較的に得意で、アカイイトがGⅠエリザベス女王杯(芝2200m)を勝利し、ディープボンドがGⅡ阪神大賞典(芝3000m)を2勝している。

 今回、キズナ産駒は2頭が出走予定。中でも気になるのがシンシアウィッシュ(牝4歳、栗東・吉村圭司厩舎)だ。

マーメイドSは小粒なメンバーの中でも「格下的存在」のキズナ産...の画像はこちら >>

前走の糺の森特別で3勝目を挙げてマーメイドSに臨むシンシアウィッシュ

 同馬は一昨年、新潟の2歳新馬戦(芝1800m)を3馬身差の完勝で制すと、GⅢアルテミスS4着、エルフィンS5着、GⅡフローラS3着など重賞・リステッドで好走を繰り返し、昨秋の1勝クラス(中京・芝2000m)で2勝目。前走の糺の森特別(京都・芝1800m)で3勝目を挙げてここに臨む。

 シンシアウィッシュは「準オープンの格下的存在」と言えるが、前述のように、このレースは条件馬の勝利が多く、過去10年でも2014年ディアデラマドレ、2015年シャトーブランシュ、2018年アンドリエッテ、2019年サラス、2020年サマーセント、2021年シャムロックヒルと、実に6頭が条件馬だった。
勝ち馬はいずれも3勝クラス(=1600万下)敗退からの参戦だったが、2勝クラス(=1000万下)を勝って参戦した12頭の成績を見ると、2着2頭、3着1頭で連対率16.7%、複勝率25.0%と悪くない数字が残っている。

 また、このタイプは2014年2着のコスモバルバラが13番人気、2017年3着のアースライズが6番人気、2019年2着のレッドランディーニが10番人気と、人気薄の激走が多く、穴狙いにもピッタリだ。

 シンシアウィッシュの血統を見ると、母の父ガリレオは重賞3勝のバスラットレオンの母の父の父で、祖母の父まマキャヴェリアンは安田記念などGⅠ3勝のソングラインの曽祖母の父、さらにアカイイトが持つミスワキも併せ持つなど、キズナ産駒の成功パターンを多く持っている。5歳春にしてヴィクトリアマイル、安田記念とGⅠを連勝したソングラインの活躍でも明らかなように、4歳以降のキズナ産駒の成長は素晴らしいものがあるだけに、重賞初制覇に期待する。

 もう1頭は、この春も絶好調だったドゥラメンテ産駒からゴールドエクリプス(牝4歳・栗東・大久保龍志厩舎)を推す。4歳にしてまだ7戦とキャリアは少ないが、前走の紫野特別(2勝クラス、京都・芝1800m)で3勝目と順調にステップアップしてきている。



 父の父キングカメハメハの産駒は2014年ディアドラマドレ、2017年マキシマムドパリと2勝していて、母の父ハービンジャーは2020年の勝ち馬サマーセントの父と、このレースと相性がいい血も揃っている。3勝すべてが1800mで、2000mは1戦して6着と距離実績はないが、好位につけて最後まで差し脚を伸ばすレースぶりや血統背景からは、距離にも対応できそう。激走に期待したい。

 以上、今年のマーメイドSはキズナ産駒シンシアウィッシュ、ドゥラメンテ産駒ゴールドエクリプスの2頭に期待する。