8月11日に開幕したアイスショー『ワンピース・オン・アイス』。その前日にはメディアに向けて『ワンピース・オン・アイス』の公開リハーサルが行なわれ、衣装やメイクを本番同様に施し、オープニングからフィナーレの全貌がついに明かされた。

宇野昌磨がルフィ役で覚醒

 冒頭から度肝を抜かれたのが、主人公・ルフィ役の宇野昌磨の演技だった。ふだんはクールに見える宇野が、表情豊かなルフィそのものとなっていたのだ。

本田望結が宇野昌磨ルフィに「ビビッときた」氷上の『ワンピース...の画像はこちら >>

ルフィを演じている宇野昌磨

 アニメ『ワンピース』ではルフィが新境地の「ギア5」に覚醒したところだが、宇野も表現の面で大きく覚醒したと感じた。宇野本人もこう語った。

「僕はわりと表情を顔に出すということをやってこなかったので(ルフィの演技は)難しいことではあったんですけど、アドバイスをもらいながら、どうやったらこの大きな会場でお客さん一人ひとりに伝わるのか、ということを考えてきました。

 少しずつではあるんですけど僕なりに達成感というか、全力でやりきっているぞというのは演技に出せているんじゃないかなと思います」

 各キャストもキャラクターそのままの雰囲気をまとい、『ワンピース』の世界へと観る者を誘(いざな)っていく。

 3刀流の刀さばきとストイックな雰囲気がキャラそのもののゾロ(田中刑事)、卓越した演技力のナミ(本田望結)、原作から飛び出してきたようなサンジ(島田高志郎)とウソップ(織田信成)、キュートな魅力あふれるチョッパー(渡辺倫果)など、主要キャストの再現度はバツグンだった。


 また、クロコダイル(無良崇人)やMr.2 ボン・クレー(本郷理華)はキャラクターに忠実で、存在感やオーラ十分。反乱軍のリーダー・コーザ役の友野一希は、これまでの明るく親しみやすいキャラクターから一変、国を愛するがゆえに暴走してしまう男を熱演している。

●経験豊富なプロたちの演技も圧巻

 さらに、1978年に日本初のアイスショーとして生まれた『プリンスアイスワールド』のメンバーを含むプロスケーターたちの演技も注目だ。

 アラバスタ王国のコブラ国王、ペル、チャカ、カルーや、犯罪秘密会社・バロックワークスのミス・オールサンデー(ニコ・ロビン)、Mr.1&ミス・ダブルフィンガー、Mr.4&ミス・メリークリスマス、反乱軍のメンバー、ユバの街で井戸を掘るコーザの父・トトなど、大人数での群舞も数多く経験している彼らのプロフェッショナルな演技力、殺陣の迫力は圧巻。

 また、王女・ビビ(本田真凜)の幼少期を演じるのは、ノービスで活躍する星碧波。とても愛らしい滑りにぜひ注目してほしい。

 このように、キャラクターを語るだけでもまだまだ話し足りない『ワンピース・オン・アイス』だが、アイスショーという観点でも見るべきところはたくさんある。



本田望結が宇野昌磨ルフィに「ビビッときた」氷上の『ワンピース』開幕 本田真凜らも全力
8月10日に行なわれた『ワンピース・オン・アイス』の公開リハーサル

8月10日に行なわれた『ワンピース・オン・アイス』の公開リハーサル

●本田望結はルフィに「ビビッ」

 ふだんよく目にするアイスショーにはないセリフと動きの融合。

 リハーサル後の記者会見で本田真凜が「セリフを口ずさみながら感情を合わせてそれぞれのキャラクターを表すというのが、稽古の1カ月で私もキャストの皆さんもどんどん上手になっていって。見ていて感動するようなところもあります」と話すように、音楽だけでなくセリフに振付けを合わせるという新しい表現方法は、よりスケーターの動きを感情豊かに見せてくれる。

本田望結が宇野昌磨ルフィに「ビビッときた」氷上の『ワンピース』開幕 本田真凜らも全力
王女・ビビを演じている本田真凜。妹の本田望結から刺激を受けているという

王女・ビビを演じている本田真凜。妹の本田望結から刺激を受けているという

 さらに妹の望結は裏話を披露した。

「もともとは声優さんの声に合わせてセリフを言う指示はなかったんです。
本当は滑ることに集中する予定だったんですけど、『できるかもね』と振付師さんがおっしゃった時に、次の日の朝にはルフィさんが完璧にセリフを入れて演技されているのを見て、私はすごくビビッときて。

 ビビだけにじゃないんですけど......すみません(笑)。ビビッときまして、そこで私はすごくスイッチが入りましたし、宇野昌磨さんが常に皆さんを引っ張って自ら率先してくださっているのが本当にルフィのようでかっこいいなと」

本田望結が宇野昌磨ルフィに「ビビッときた」氷上の『ワンピース』開幕 本田真凜らも全力
ナミを演じている本田望結

ナミを演じている本田望結

 ストーリーそのものや実際の仕掛けは見てのお楽しみだが、『ワンピース・オン・アイス』はこれまでにない新しいアイスショーをつくり出したと言える。

 そして、それをつくり上げるためにスケーターはもちろん、演出陣、制作陣など関わる人すべてが一丸となり、最高のものをつくろうというチームとしての熱気が伝わってくる。

 このショーをつくり上げる「一日一日が楽しい」と話す宇野は、「『ワンピース・オン・アイス』を演者はみんな全力を出しきっていると思いますし、すばらしいものに絶対なるという確信があります。皆さんにこれを見ていただいてどのような感想が出るのか、僕たちもすごく楽しみです」と話し、ルフィさながらの熱い気持ちを持ってこのショーに臨んでいる。


 8月11日からの横浜公演を皮切りに、名古屋公演の千秋楽までさらに進化していくであろう氷上の『ワンピース』の世界。フィギュアスケートが好きな人や『ワンピース』が好きな人はもちろん、「ちょっと気になるな」という人もぜひ、この新しい挑戦の目撃者になってみてはいかがだろうか。

『ワンピース・オン・アイス~エピソード・オブ・アラバスタ~』 
アニメ『ワンピース』が史上初のアイスショー化。日本屈指のスケーターが集結し、アニメの声優たちのセリフに合わせ、フィギュアスケートならではのスピード感、躍動感で『ワンピース』の世界を表現。光やプロジェクションマッピングの演出によるスペクタクルなアイスショー。8月11~13日(横浜)、9月2~3日(名古屋)の全国2カ所で全10回公演。