サッカー日本代表 3月のメンバーは誰がいいか? 前編
サッカー日本代表のW杯最終予選バーレーン戦、サウジアラビア戦のメンバーが3月13日に発表される。予選突破目前のいま、どんな顔ぶれで臨むべきか。
【前田大然の起用法に注目】
原山裕平(サッカーライター)
FW/上田綺世(前田大然)MF/南野拓実(鈴木唯人)、久保建英
MF/三笘薫、遠藤航(佐野海舟)、守田英正、伊東純也(堂安律)
DF/伊藤洋輝(町田浩樹)、板倉滉、中野就斗
GK/鈴木彩艶
史上最強と呼ばれる現在の日本代表に新たな戦力が食い込むことが困難であるのは、第2次森保一政権発足以降の歩みを見れば明白だ。しかも、ワールドカップ出場がかかる今回の3月シリーズでは、なおさら狭き門となるだろう。
もっともケガ人の状況などを踏まえれば、決して盤石ではないのも事実。とりわけ冨安健洋と谷口彰悟が離脱中の3バックは新戦力を試したいポジションだと考える。
中央の板倉滉の立場は揺るぎなく、左は存在感を高める町田浩樹が負傷したようだが、ケガから復帰し、バイエルンで出場機会を増やす伊藤洋輝の存在があるため不安はない。一方で右は決め手を欠く。11月シリーズでは橋岡大樹と瀬古歩夢が試されたものの、インパクト不足は否めなかった。
そこで推したいのは、サンフレッチェ広島の中野就斗だ。パワフルかつタフネスな24歳は、センターバックにも、ウイングバックにも対応する万能戦士。守備能力だけでなく、昨季は5得点5アシストを記録したように、攻撃参加が求められる日本代表の3バックに打ってつけの人材だろう。今季も不動の存在として好調なチームを支えるパフォーマンスを継続しており、代表入りの機は熟しているはずだ。
タレントがひしめく中盤より前は、もはや付け入る隙はないものの、現在の好調ぶりをチームに注入し、勢いをさらに高めたいところ。
そして無視できないのは前田大然だ。スコットランドで、驚異的なペースでゴールを量産する韋駄天は、サイドではなく中央でこそ生かされることを証明している。起点を担う上田綺世、小川航基とタイプは異なり、森保監督が求める1トップ像にはそぐわないかもしれないが、このスピードスターを最前線に配置することで、新たな攻め筋を見出す可能性もある。その意味でも今回の3月シリーズでは、前田の起用法に注目したい。
【三笘薫はひとつ中での起用か】
西部謙司(サッカーライター)

MF/三笘薫(南野拓実)、久保建英(鎌田大地)
MF/中村敬斗、守田英正(田中碧)、遠藤航、伊東純也(堂安律)
DF/伊藤洋輝、板倉滉、菅原由勢(橋岡大樹)
GK/鈴木彩艶
基本的に従来のメンバーが起用されると思う。見てみたい選手は当然いるけれども、期待しても空しいだけなので、ほぼ予想メンバーそのものになった。ただ、所属クラブでの活躍やプレースタイルに変化が出てきているので、それを考慮した起用の仕方になるのではないか。
トップにはセルティックで好調の前田大然が起用されると思う。セルティックでどれだけ好調でもあまり起用されなかった古橋亨梧との扱いの差に釈然としないところはあるが、守備の貢献度が高い前田への信頼は厚いのだろう。ウイングバックでの起用も考えられるが、今回は前田1トップバージョン。W杯本大会で劣勢になった場合を想定すると、前田は重要な戦力になる。
DFに負傷者が出ているなか、伊藤洋輝の復帰は朗報。
ボランチは鉄板の遠藤航、守田英正だが、リーズで活躍している田中碧にはプレー機会があるはず。遠藤はリバプールでの出場時間を考えるとフルで2試合はない。田中にとっては序列に影響を与えるチャンスかもしれない。
ウイングからストライカーにプレーの比重が移りつつある三笘薫は外ではなくひとつ中での起用。今回はゴールゲッターとして南野拓実との競合になる。ウイングバックには伊東純也、中村敬斗のスタッド・ランスのコンビ。本来なら左は守備重視なのだろうが、今回はこれでとくに問題はないだろう。
右のシャドーには久保建英。堂安律とのコンビがすでに確立されているが、あえて伊東との共存具合を確認しておきたい。
【パリ五輪世代の積極的登用を】
浅田真樹(スポーツライター)

MF/前田大然、旗手怜央(三戸舜介)
MF/中村敬斗、田中碧(藤田譲瑠チマ)、佐野海舟、毎熊晟矢(中野就斗)
DF/高井幸大(渡辺剛)、板倉滉、関根大輝
GK/鈴木彩艶
ほぼ最終予選突破が見えた今、希望的選考基準をざっくりとまとめれば、(1)常連のヨーロッパ組はできるだけ一回休み、(2)これまで出場機会が少なかった(しばらく代表から遠ざかっていた)ヨーロッパ組の起用、(3)パリ五輪世代の積極的登用、(4)新戦力(できれば国内組)の発掘、である。
現在の日本代表は史上最強と称されるほどに選手個々のレベルは高く、しかも層が厚くなっているのは確かだが、若手(20代前半以下)の招集が進んでいない。4年前には、すでに東京五輪世代の多くがA代表を経験していたのに比べると、パリ五輪世代はその数が明らかに少ないのだ。
まだ実力が足りないのだから仕方がない、と言ってしまえばそれまでだが、日本代表は来年のワールドカップで活動が終了するわけではない。その先もずっと戦い続けなければいけない以上、年齢構成において狭間のない強化が求められる。それを考えれば、パリ五輪で活躍した高井幸大、関根大輝、藤田譲瑠チマ、三戸舜介といった選手の招集、さらには試合での起用を増やしていきたい。
また、ポジション別の話をすれば、今回は上田綺世をはじめ、FW陣にアクシデントが目立ち、従来選ばれていた選手の招集が難しい状況にある。だとすれば、ドイツで調子を上げている町野修斗も久しぶりに見てみたいし、調子のいい国内組の抜擢があってもいい。
実績のある大迫勇也や武藤嘉紀のベテラン勢が復帰するのもいいし、昨季活躍のジャーメイン良や鈴木優磨、あるいは、今まさに勢いに乗っている福田翔生あたりの大抜擢があってもおもしろい。
その他の国内組では、サンフレッチェ広島の両翼、東峻希と中野就斗にも期待している。特に中野は右利きの右ウイングとして、カットインではなく縦に仕掛けられる貴重な人材。3バックをこなせるほどの守備力も備えており、国際舞台で試してみたい選手である。
後編「4バックを推す識者たちが考えたメンバー&布陣」>>