山本昌のスカウティングレポート2025年春~新2年生編
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山本昌(元・中日)がドラフト候補の技術を徹底分析する恒例企画。後編に登場するのは、今春の甲子園球場を騒然とさせた4人の2年生投手たち。
1年生の時から見ていましたが、とてつもない素材です。まだまだ体も未完成ですし、これから大きく育ってもらいたいですね。体の線やフォームのリズム感は佐々木朗希くん(ドジャース)の高校時代に近いイメージ。ただ、今春は大会直前に胃腸炎を発症し、右手の爪が割れるアクシデントがあったとも聞きました。フォームのバランス自体は、昨秋のほうがよかった印象です。ステップが少し突っ張りぎみで、ボールを引っかけるシーンも見られますが、体ができてくれば解消されるでしょう。指にかかったストレートの球質はいいし、変化球のキレもある。細かいことはそれほど気にせず、スケール感を大事にしていってもらいたいです。

市和歌山は過去に小園健太くん(DeNA)や米田天翼くん(東海大)を分析させてもらいましたが、好投手が次々に出てきますね。丹羽くんはまず、立ち姿がすばらしいです。左足を上げた際に、軸足に重心をしっかりと乗せる意識を感じます。

沖縄はしばらくこの投手の時代が続くのではないか......という予感がします。フォームのバランスがよく、2年生らしく元気のいい腕の振りが印象的です。上背がそれほどなくても、ボールの走りはとてもいいですね。独特のテイクバックで、打者もタイミングをつかみにくいのではないでしょうか。ただ、左手を横にバックスイングしてから、ボールをリリースするために縦に合わせにいく際、タイミングが合わないシーンが見られました。とくに変化球でタイミングが合わず、ボールが抜けてしまう時があります。体を強化していくなかで、最適な感覚をつかんでいけるといいですね。
まずは大きな体に圧倒されました。
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今回は3年生6人、2年生4人の甲子園出場投手について分析させてもらいました。とくに2年生に好投手が多く、驚かされました。
私が高校生だった40年以上前は、投手の持ち球と言えばストレートとカーブくらいでした。それが今は、自分に合ったボールを試して見つける選手が増えました。フォームや球質についての情報も多く、投手のレベルアップにつながっていると実感します。
今回分析させてもらった投手以外にも、全国にはすばらしい逸材がたくさんいるのでしょうね。これから夏にかけて、ますます伸びる投手もいるはずです。そんな投手の出現を楽しみに待ちたいと思います。